年商5億円でなぜ? 厨房に戻った人気ラーメン「すみれ」の社長

冬季限定のラーメン店「ムラナカラーメン研究所」で自ら作ったラーメンを提供している、すみれの村中伸宜社長=札幌市豊平区で2024年11月11日午後3時23分、伊藤遥撮影
冬季限定のラーメン店「ムラナカラーメン研究所」で自ら作ったラーメンを提供している、すみれの村中伸宜社長=札幌市豊平区で2024年11月11日午後3時23分、伊藤遥撮影

 濃厚なみそスープに、黄色い縮れ麺が絡む「札幌ラーメン」。その代表格「すみれ」を全国的な有名店に押し上げた社長が自ら厨房(ちゅうぼう)に立つ店がある。「ムラナカラーメン研究所」(札幌市豊平区)。年商5億円超を稼ぐラーメン界のレジェンド、村中伸宜(のぶよし)社長(67)が、冬の間だけ街の外れでひっそりと店を開く理由を尋ねた。

 冷たい雨が降る11月中旬、日曜日の昼過ぎ。ぽつりぽつりと入ってくる客を、温かな湯気とスープの香りが迎える。

 カウンターとテーブルで計約20席。店内は、暖色系の明かりとモダンな木目調テーブルで統一されている。

 メニューは「30年前の味噌(みそ)ラーメン」「テールラーメン」「醬油(しょうゆ)ラーメン」「塩ラーメン」の4種(各1300円)。ほかにチャーハンやカレーもある。

 みそに次ぐ人気のテールラーメンは、黄金色の澄んだスープを一口すすると、ニンニクの香ばしさと牛のうまみがガツンと口の中に広がる。硬めの中太麺に、具は、道産牛肉をみそに漬け込んだローストビーフ、メンマ、刻みネギ、のり、ほうれん草、卵、ワンタンなど。最後に残ったスープを飲むと、ほんのり野菜の甘みが感じられる。

 このラーメンが好きで通っているという近くの会社員、有馬裕貴さん(42)は「毎回食べた瞬間に『うまっ』と思う。すみれの社長なので、やっぱりちゃんとおいしい」と話した。

全国展開でピーク時年商15億円

 村中社長が創業したすみれの源流は1964年、母明子さんが札幌市内に開いたラーメン店「純連(すみれ)」にある。

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