北朝鮮 ラオスで高級カラオケ出店 露朝蜜月で制裁「骨抜き」に
国連安全保障理事会(安保理)による対北朝鮮制裁決議への違反の有無を調べる専門家パネルが4月末、約15年間続いた活動を停止した。ロシアがパネル委員の任期延長議案に拒否権を行使したためだ。パネルがなくなれば、制裁破りへの歯止めは弱まる。北朝鮮の外貨稼ぎ活動は活発化しているのか。専門家パネルの報告書でも活動が指摘されるラオスで、「核開発の資金源」の実態を追った。
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7月27日夜、ラオスの首都ビエンチャン中心部の最高級ホテルを訪ねた。ちょうど同じ日に開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)に出席した中国の王毅外相やロシアのラブロフ外相らが宿泊したのも、このホテルだ。
北朝鮮レストランの名前は「東京」?
目指したのは「東京」という名のレストランだ。日本料理店のような名前で、実際には北朝鮮の従業員が働き、朝鮮料理を出すとの情報があったからだ。しかし、ホテル地下1階で「東京 寿司&鉄板焼き」とののれんがかかる店内に入ると従業員はラオス人で、厨房(ちゅうぼう)で和食を作っていたのは中国人だった。
「ここは以前、北朝鮮料理店だったのでは?」とラオス人従業員に聞いた。すると「2カ月前に別の場所に移った」と言う。
言われた通りの方向に向かった。メコン川を望むホテル本館から敷地内の庭を100メートルほど歩くと、3階建ての白いガラス張りの建物が目に入る。そこから男女の大きな歌声が響いてきた。
1階はレストランだ。歌声が聞こえてくる2階を見ようとエレベーターに乗った。すると中年男性5人と、ミニスカートをはいた若い女性1人が乗り込んできた。男性が中国語で女性に聞いた。「北朝鮮のどこの出身?」
女性は中国語でこう答えた。「平壌です。平壌の大学を出ました」
一行は2階で降り、カラオケルームに入っていった。5室あり、うち4室から歌声が聞こえてくる。扉が開いた瞬間、中をのぞくと、5、6人の男性たちがミニスカート姿の女性と一緒…
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