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次回アップ予定:Scene-268 野川『八幡橋、榛沢橋、野水橋、飛橋、飛橋人道橋、相曽浦橋人道橋、相曽浦橋、御狩野橋』(05/24 12:00)
現在、遡上中の『ぶらっと遡上探索』野川編の『#55大沢橋』から北600m程に国立天文台の三鷹キャンパスが在ります。子供から大人まで見処タップリで楽しめる場所なので、Spotで紹介します。京王電鉄の調布駅北口、11番バス乗り場から小田急バスの境91・鷹51系統、12番バス乗り場から京王バスの武91系統で、約15分で天文台前に着きますよ。先ずは、正門右手に在る受付で氏名、入場時間を記入して案内マップと見学者用ワッペンを貰います。敷地内は武蔵野の森に覆われ緑が深く、静寂で癒される場所です。
国立天文台(NAOJ)は、理論・観測の両面から天文学を研究する日本の研究所・大学共同利用機関で、国内及び海外の観測所や観測局、此処の三鷹キャンパスなどを総称して国立天文台と呼ばれています。見学可能日時は年末年始期間を除く毎日午前10時から午後5時迄で、見学は無料です。正門から正面のNAOJ中央棟から左方向に見学コースを100m程進むと、左手に三鷹キャンパス内で最古の建造物(1921年(T10)完成の国の登録有形文化財)である第一赤道儀室が在り、中に口径20cmの屈折望遠鏡が首を上げています。赤道儀と云うのは、天の北極を軸として地球の自転と同期して星を追いかける装置で、望遠鏡で捉えた星が静止した状態での観測や撮影が出来ます。因みに天の北極は北極星の方向で、北極星から少し(0.85度)ずれているそうです。
第一赤道儀室から次に寄る大赤道儀室までの道筋に太陽系ウォークなる展示が在ります。太陽系の大きさを140億分の1のスケールに縮めて、各惑星の並びで紹介しています。説明板によると、太陽から土星までの距離は14億kmで、歩くと4万年も掛かりますが、此の太陽系ウォークでは数分で到達出来、一歩が約700万km相当だそうです。因みに惑星の並びと曜日の並びが違いますよね。古代では天球上の見かけ上の動きが遅い順に、土星、木星、火星、太陽、金星、水星、月としていて、此の順番に、1時間ずつ地上を守護すると考えられていました。土星から順番に24時間並べると火星で終わり、次の日は太陽から始まり、次の日は月、火星、水星、木星、金星と云う並びで、第一時間目の守護星は、同時に其の日の守護星ともされ、現在の曜日の並びに成るそうです。
太陽系ウォークの突き当りに在るのが1926年(T15)に完成した高さ約20mの大赤道儀室(国登録有形文化財)で、中に焦点距離10mに及ぶ国内最大口径65cmの屈折望遠鏡が聳えています。薄暗いドームの中に浮き上がる白い望遠鏡、迫力がありますね。1998年(H10)で研究観測から引退し、現在は静態保存されており、周囲の壁には天文台の歴史や、ガリレオの望遠鏡のレプリカなども展示されていて、天文台歴史館として利用されています。
大赤道儀室の南側100m程に1930年(S5)完成の太陽分光写真儀室(国登録有形文化財)が在ります。地上5階建てで、高さ20mの天辺のドームから入った光は、シーロスタット(平面鏡2枚)に反射して垂直に取り込まれ、地下の大暗室で7色のスペクトルに分けられる構造になっています。塔全体が望遠鏡の筒の役割を果たしている事から太陽塔望遠鏡とも呼ばれています。内部へは立ち入り出来ず、外観見学のみです。
太陽分光写真儀室から戻り、40m程進むと左手に展示室(西4棟)が在り、国立天文台が行っているプロジェクト(すばる望遠鏡、VERA、アルマ望遠鏡、TAMA300、太陽観測衛星ひので、TMT等)の紹介や、観測・研究成果などの天文学に関する展示がされています。また、次世代超大型望遠鏡模型や野辺山宇宙電波観測所の45m電波望遠鏡、アルマ望遠鏡などの模型も展示されています。通路の壁に貼ってあった赤外線画像による星雲の写真が綺麗でしたので、パチリ。一つはイータ・カリーナ星雲、2枚目は何処でしょう?因みにウルトラマンの故郷はM78星雲でしたよね(笑)。
西4棟の隣に建つタイル貼りの建物は1930年(S5)に建てられた旧図書庫(国登録有形文化財)で、外観のみ見学出来ます。旧図書庫脇の細道を西方向に70m程進むと、右手に子午儀資料館(国登録有形文化財)が在ります。ドイツ製のレプソルド子午儀によって観測が行なわれていた1925年(T14)の建物で、内部に子午儀が展示されています。子午儀とは、天体の子午線上を通過する天体を観測し、其の場所の経度や時刻を決める望遠鏡で、子午線面内(真北:子の方角)と真南:午の方角)でのみ正確に回転する仕組みです。
子午儀資料館から更に40m進むと、1924年(T13)建設のゴーチェ子午環室(国登録有形文化財)が在り、内部に口径:20cm、焦点距離:310cmの子午環が展示されています。子午環は、先程の子午儀に加えて、天頂からの角距離(高度)を測れる望遠鏡です。
ゴーチェ子午環室から西50mに1982年(S57)に建てられた自動光電子午環が在ります。光電マイクロメータを用いた自動光電子午環は、従来の眼視観測の5倍の観測能率を持つ精密位置観測に使っていた施設で、屈折望遠鏡は口径:19cm、焦点距離:257.6cmです。現在は天文機器資料館として、収蔵品が展示されています。資料館内には場違いな、布袋様が鎮座しています。此れ何じゃ?傍に置いて在った資料を捲ると、天文台構内には1915年(T4)に建てられた官舎1号棟が文化財として整備され、中に天文学者の部屋を再現する時に東京天文台教授で退官された虎尾正久氏の書斎備品が寄贈され、其の一部に含まれていたのが布袋様で、遊び心で展示したそうです。
天文機器資料館の屋外に、1953年(S28)に完成した口径10m電波望遠鏡跡が在ります。施設は、太陽電波観測が野辺山観測所に写った際に撤去され、現在は自動光電子午環で使用された子午線標が南北に鎮座しています。傍に1.2mパラボラアンテナ電波望遠鏡が在ります、1971年(S46)~1992年(H4)まで野辺山太陽電波観測に使用されていたものです。
見学可能箇所は以上で、構内の食堂が利用出来るので寄って見ます。途中に八重桜が未だ咲いていますね、葉っぱが多くなったけど、其れなりに綺麗です。コスモス会館(食堂・売店)に着きましたが、丁度、お昼時で職員の方で長蛇の列、テーブル席も埋まっているので止めておきます。受付に寄って、出門時間を書いてもらい見学終了です。天文台前バス停にタイミング良く大沢橋近くを通るバスが来る時間で、歩き疲れていたので乗車(笑)、2区間で降りて、野川の遡上探索を継続します。
最後までご覧頂きありがとうございました。赤道儀や子午儀に子午環、聞きなれない言葉だらけで、脳味噌がリフレッシュしました。地軸を北へ伸ばした方向に在る北極星が、天の北極から、0.85度ずれているとは知らなかったね、勉強になりました。次回は通常Sceneに戻り、大沢橋から遡上して、八幡橋、榛沢橋、野水橋、飛橋、飛橋人道橋、相曽浦橋人道橋、相曽浦橋、御狩野橋までの紹介です。
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Author:mark60
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