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最高裁が不当判決ーこれが「憲法の番人」なのか/警察・検察の弾圧を「合法化」する葛飾ビラ配布事件判決ー

2009-12-02 02:32:38 | 憲法裁判
きわめて反動的な判決
葛飾ビラ配布弾圧で市田氏

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 日本共産党の市田忠義書記局長は30日、国会内で記者会見し、葛飾ビラ配布弾圧事件で被告の荒川庸生氏を有罪とした同日の最高裁判決について、「憲法の精神に照らして許されない、きわめて反動的な判決だ」と批判しました。

 市田氏は、「マンションの廊下や階段を通ることが生活の平穏を侵害する犯罪でないことは誰の目にも明らかだ。国民の常識に反した今回の判決は、自由と民主主義、人権の点から厳しく批判されなければならない」と強調。「マンションの管理組合がビラ配布の禁止を決めた事実はないし、そもそも憲法が保障する表現の自由を管理組合が禁止できるという考え方が誤っている」とのべました。

 また、この判決は国民の目、耳、口をふさぐものであり、他の分野に広がらないよう世論を喚起していく必要があると指摘。「政治的立場を問わず、こういうことが許されていいのかと警鐘乱打し、世論を広げたい」とのべました。

ビラ配布 不当判決
最高裁 上告棄却 弾圧を追認

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 東京都葛飾区のマンションで、日本共産党の区議団ニュースや区民アンケートなどを配布した僧侶の荒川庸生(ようせい)さん(62)が住居侵入罪で不当に起訴された葛飾ビラ配布弾圧事件の上告審判決が30日、最高裁第2小法廷であり、今井功裁判長は、荒川さんの上告を棄却する判決を言い渡しました。罰金5万円とした二審の有罪判決が確定します。日中穏やかにビラを配っていただけの荒川さんの行為を「犯罪」に仕立て上げた違憲・違法捜査に基づく弾圧事件を追認した極めて不当な判決です。

 判決言い渡しの前に、松井繁明主任弁護人による異例の意見陳述が認められました。

 松井氏は「商業ビラの配布は日常的に行われており、なぜビラ配布が犯罪なのかという国民の素朴な疑問に判決は答えるべきだ」とのべ、「本件があからさまな共産党弾圧であることは明らか。司法の名でこれを容認するのか」と厳しく指摘しました。

 しかし、判決は「憲法21条1項は表現の自由を無制限に保障したものでなく、思想を発表するための手段であっても、その手段が他人の権利を不当に害することは許されない」などとしました。そのうえで、マンションの玄関ホールにチラシやパンフレットなどの投函(とうかん)を禁止する張り紙があったことなどから、「立ち入りが管理組合の意思に反することは明らか」などと形式的判断に終始しました。

 同事件で、一審東京地裁は2006年、「ビラ配布を処罰対象とする社会通念は確立していない」として無罪判決。07年、東京高裁が逆転有罪の不当判決を言い渡していました。

 判決後、荒川さんは「自由と民主主義、ビラをまき、受け取る権利を勝ち取るたたかいをこれからも続ける」と語りました。

主張
葛飾ビラ配布事件判決
これが「憲法の番人」なのか

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 東京・葛飾でのビラ配布弾圧事件の上告審で、最高裁第2小法廷は11月30日、マンション各戸へのビラ配布を「犯罪」とした東京高裁判決を追認する判決を言い渡しました。

共同住宅も配布は自由

 僧侶の荒川庸生さんは2004年12月、日本共産党の「葛飾区議団だより」や区民アンケートなどをマンションのドアポストに配布しました。この行為は一般に市民が普通にやっている当たり前の行動であり、マンションの廊下や階段などを通ったことが住居の平穏を侵害する犯罪などではないことは誰の目にも明らかです。

 一審は無罪、二審は有罪。最高裁が「憲法の番人」として求められていたのは、表現の自由と民主主義を守って無罪を言い渡すことです。国民常識に反した今回の判決は、きびしく批判されなければなりません。

 マンションや旧公団など共同住宅へのビラ配布は、政党の政策であれ、労働組合の宣伝であれ、市民運動であれ、商業広告であれ、全住民に対して誰でも気軽にできる大切な表現手段です。とりわけ荒川さんが行ったビラ配布は、都議会、区議会の現状や議員の活動を有権者に知らせ、住民要求を集約するもので、民主主義と地方自治を支える重要な活動です。

 ところが最高裁判決は、言葉の上では「表現の自由は、民主主義社会において特に重要な権利として尊重されなければなら」ないとのべながら、マンション管理組合の管理権にもとづくビラ配布の禁止措置は認められるとしました。これは、共同住宅で現実に行われているビラ配布の実態からかけ離れている点でも、最高裁が憲法の民主的原則を棚上げする点でも、まったく説得力のないものです。

 荒川さんが配布したマンションの管理組合は、住民の総意で政治活動用のビラ配布の禁止を決めた事実はありません。荒川さんの件で被害届も出していません。そもそも、憲法の表現の自由で保障されているビラ配布を禁止することを管理組合が決定できる、という考え方が間違っているのです。

 わが国では、自衛隊のイラク派兵が強行されるなかで、政治の民主的改革や「憲法を守れ」と要求するビラ配布に対する弾圧が相次ぎました。葛飾ビラ事件や、国家公務員が休日に職務と無関係に「しんぶん赤旗」号外を配布したことを、国公法・人事院規則の政治活動制限に違反するとした堀越事件、世田谷事件がそれです。

 これに対し、国連自由権規約委員会は昨年12月、日本政府に言論表現の自由を守る措置をとるよう勧告しています。裁判所が言論表現の自由を守ることができない現状が続いていることに、国内外からさらにきびしい批判が寄せられるのは避けられません。

日比谷集会の成功を

 言論表現の自由を守るたたかいを粘り強く広げてきた全労連、国公労連、自治労連、国民救援会、自由法曹団など実行委員会は4日、「言論・表現の自由を求める12・4日比谷集会」を開催します。

 憲法で保障された言論の自由を現実にゆきわたらせるため、葛飾ビラ配布最高裁判決に抗議し、ビラ配布の権利を守る世論をいっそう広げましょう。その新たな一歩として日比谷集会を大きく成功させることをよびかけます。

(出所:日本共産党HP 2009年12月1日(火)「しんぶん赤旗」)

ビラ配布禁止掲示 どう考える?

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 〈問い〉 最近、私が入居したマンションにビラ配布禁止の掲示があります。管理組合で話し合いたいと思っていますが、言論の自由、政治活動の自由と、住民の安全等との関連をどう考えたらいいのでしょうか?(神奈川・一読者)

 〈答え〉 マンション住民が安全に暮らしたいという願いと、言論、政治活動の自由を尊重することとは、当然両立できるものです。

 マンションの多くは、建物ができた時から「ビラ・チラシお断り」「チラシなど無断立ち入り禁止」などの掲示がされています。管理組合で議決して同種の掲示をしているところもあります。

 しかし、そこにはよく考えなくてはいけないことがたくさんあります。まず、外部の人が来てマンションの集合ポストなどにビラ配布をする行為がただちに居住者の安全等を侵害するというものではありません。警察が住民の不安を利用し、ビラ配布に対し安全を侵害するとみなした防犯対策を奨励していることも問題です。

 政党や諸団体の政策や活動を知らせるビラの配布は、何よりも憲法の保障する言論・表現、政治活動の自由として最大限に尊重されなければなりません。

 それは、国民が政治的意思を形成するうえで重要な媒体です。政治活動ビラは「民主主義社会の根幹を成すものとして…商業的宣伝ビラの投函(とうかん)に比して、いわゆる優越的地位が認められている」との判決もあります(東京地裁八王子支部、04年12月16日判決)。ですから、政治活動ビラの配布に不安や迷惑を感じる人も、政治活動を保障するため、ビラ配布を認めることが大切だといえるでしょう。

 同時に、居住者にとって配布されたビラを読むのは、知る権利を実現することです。管理組合が、ビラを読みたいという居住者の意思を無視して配布を制限することはできません。

 実際にビラ配布を一切禁止すると、どんな問題が起こるでしょうか。東京のある管理組合で「ビラの一切禁止」の掲示が問題になりました。そこでは、議論の結果、自治体の断水工事や電気会社の欠陥製品対応のお知らせが届かなくなれば、「生活に不便だから配布一切禁止はダメ」「配布は認めよう」と合意し、さらに「『このビラはよい、政党のビラは悪い』などと管理組合で一般的に選別することはできない。ビラを読む・読まないは居住者が決めることだ」と一致、掲示内容を「風俗関係の広告物は厳禁します。防犯のため不審者は警察に通報します」に変えました。

 管理組合は、政治活動の自由と居住者の知る権利を保障しつつ、安全や防犯対策をすすめることが必要だと考えます。(岡)

(出所:日本共産党HP 2006年9月2日(土)「しんぶん赤旗」)

違憲立法審査の現状は?

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 〈問い〉 最高裁の違憲立法審査の現状はどうなっているのでしょうか?(京都・男性)

 〈答え〉 違憲立法審査権は、司法権の立法権に対するチェック機能としてきわめて大切な意義をもち、憲法第八一条で「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審の裁判所である」と定められています。

 最高裁が具体的事件をもとに違憲立法かどうかの審査を求められることは多いのですが、違憲立法だとの判断をくだすことにはきわめて消極的です。歴代自民党内閣が最高裁裁判官の任命権を利用して政府の意にそう裁判官を集めてきた結果です。

 最近は、憲法の民主的条項を尊重する日弁連推薦の弁護士出身の最高裁裁判官が任命されるようになり、世論の高まりを背景に、違憲立法審査の判断に一定の変化が生まれつつありますが、衆院・参院の定数格差是正を求める訴訟、嫡出子と非嫡出子との間に相続分の格差を設けた民法の規定は法の下の平等に反するとの訴訟でも、違憲判断をする裁判官は依然として少数にとどまっています。

 日本共産党は、最高裁判所裁判官の任命のあり方を、真に国民の意思が反映するよう、国民各層の代表者で構成される最高裁裁判官任命諮問委員会をつくり、内閣の最高裁長官の指名と最高裁裁判官の任命にあたっては、諮問委員会の答申を尊重させることによって、内閣の恣意的人事を排し、任命の民主化をはかることを提案しています。

 総選挙時の最高裁裁判官国民審査でも、判決に対する各裁判官の態度について日常的に積極的な広報や報道をおこなうことや、投票では信任は〇印、不信任は×印を記入することとし、無記入投票は棄権とみなすなど改善が必要です。違憲が争われている裁判について、国民のあいだでの宣伝や署名運動を広範に発展させ、裁判所を国民世論で包囲するようなとりくみが大事です。(光)

〔2004・2・14(土)〕

(出所:日本共産党HP 2004年2月14日(土)「しんぶん赤旗」)
コメント (21)
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