情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

なぜ、犯罪被害者のみがクローズアップされるのか~戦没者、戦時被虐殺・被虐待者のことは忘れるのか!

2007-06-17 11:05:36 | ãã®ã»ã‹æƒ…報流通(ほかにこんな問題が)
 犯罪被害者の人権というと何か「特別に」守らなければならないような風潮になったのは、いつからだろうか? そして、確かに犯罪被害者の人権を擁護することは大切だが、それはあくまでも①その被害者の被害回復、②今後同様の被害が起きないような予防、という2つの観点からなされるべきものであるはずなのに、被害者の復讐心を満足させることが犯罪被害者の人権を擁護することになるかのようなムードがつくられたのは、なぜだろうか?

 例えば、公害被害者、薬害被害者、経済的困窮を理由として亡くなる多くの自殺者などの方々と、犯罪被害者とは、別の次元で考えなければならないのだろうか。イタイイタイ病で苦しみ人、アスベスト被害で肺ガンになった人、じん肺で苦しむ人、これらの人の気持ちは犯罪被害者のようには保護されなくてよいのだろうか。

 確かに、犯罪被害者の「敵」は分かりやすい。だから、復讐心をぶつけやすい。テレビを見ている人も感情を移入しやすい。犯行の手口は卑劣で、怒りを呼ぶものであることも多い。

 しかし、例えば、薬害被害で亡くなった方の遺族の復讐心が、犯罪被害者で亡くなった方の遺族の復讐心よりも保護されなくてよいという理屈があるのだろうか?

 そして、国家が加害者である場合、私たちは、声高に、加害者(担当官僚)を死刑にしろ、と叫ぶことがないのはなぜだろうか?

 政府は犯罪被害者対策に熱心に取り組み、自民党の新憲法案には、犯罪被害者の人権が盛り込まれている。なぜ、「犯罪被害者」のみがクローズアップされるのだろうか?

 国家が犯罪被害者に寄り添うことにより、市民の目を国家の犯罪から反らそうとしている。これが実態なのではないだろうか。つまり、国家が犯罪被害者を利用しているわけだ。

 もし、国家が本気で犯罪被害者対策を考えているならば、なぜ、第2次大戦で殺した自国や他国の多くの市民に、手厚い対策をしないのか。無謀な戦争を起こし、負けると分かっていて戦争を継続したという未曾有の犯罪行為について、なぜ、国家は真剣に取り組まないのか?

 共通の敵をつくることで国家がいかにも市民に寄り添っているように見せかける、こんな単純な手口に騙されて良いのだろうか?

 年間1万人の交通事故死亡者を本気でなくそうとはしていない政府、3万人の自殺者の対策には具体的な対応をしようとはしていない政府、自衛隊を存続させるために無用な不安を煽る政府、そういう政府がなぜ犯罪被害者対策には熱心なのか?よ~く考える必要があるのではないだろうか?   

 そして、もう一つ考えなければならないことがある。いま、光市の母子殺人事件で、被告人を死刑にしろ、とか、弁護人はトンでもない奴だ、と叫ぶ方々の中には、殺人マシーンである自動車を運転している人、あるいは、将来、運転するつもりである人も多いと思う。

 あなたの「死刑にしろ」という叫びとあなたの(将来の)運転行為は、矛盾しないのだろうか? 年間1万人が亡くなるマシーンを操ることは、殺人常習者を世に解き放つことと、社会に与える危険性という意味では、どう違うのだろうか?

 
※写真は、「イタイイタイ病患者を診察する萩野医師」(ここ←より)。


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