農協改革が前進、ポイント総まとめ
安倍晋三首相が意欲を示す農業協同組合(農協)改革を巡り、政府・自民党と全国農業協同組合中央会(JA全中)の折衝が大筋で決着した。全国約700の地域農協に対するJA全中の監査・指導権を廃止し、2019年3月末までに一般社団法人に転換する。

JAグループとは何か
JAグループは全国に約700ある農業協同組合(JA)を中心にした集まり。全国農業協同組合中央会(JA全中)が頂点に立ち、指導力をふるう。全国組織として農産物の流通を担うJA全農(全国農業協同組合連合会)などがあり、総称してJAグループと呼ぶ。
全国農業協同組合中央会の制度をなくすことは、「強い農業」の実現を目指す農政にとって一歩前進になる。JA全中は規模の小さい兼業農家の利害を代弁し、政治に圧力をかけることが多かったからだ。
JAグループ 法人税率など優遇(1月4日)強い農業へ農政転換(2月7日)
農協改革の論点
農業協同組合が大きく変わった点として、農家以外の「准組合員」の増加が挙げられる。農家の減少とともに正組合員は減り続け、2009年度には准組合員が初めて正組合員を上回り、11年度には差が約50万人に広がった。
農業協同組合に対する不満の声は農家の間で多い。農林水産省が2008年度に実施した調査で、生産資材の供給に関しては「価格の引き下げ」を求める声が圧倒的に多かった。
東大教授などを務めた佐伯尚美氏は「農協が手掛ける金融は農業が中心というのが一般的なイメージだが、最近の実態はそうしたイメージとますますかけ離れてきている」と指摘した。
農協改革の論点1・創設目的と異なる姿(9月8日)農協改革の論点2・上意下達のシステム(9月9日)農協改革の論点3・乏しい利便性・経営意識(9月10日)農協改革の論点4・増える「非農家」組合員(9月11日)