マイナス269度で超高速に リニア新幹線車両に台車取り付け
東海旅客鉄道(JR東海)が2027年の開業を目指すリニア中央新幹線。車両の心臓部は超電導磁石を組み込んだ「台車」だ。山梨県の車両基地で営業仕様車両「L0系」に台車の取り付けを完了。複数の車両をつなげて機器の連携を確認するなど、13年末の試験走行へ急ピッチで準備を進めている。
L0系は昨年11月に山梨リニア実験線の車両基地(山梨県都留市)に台車部分を未装着のまま5両を搬入。これまでに順次台車の装着を終えた。
JR東海のリニアの特徴は台車に据えた「超電導磁石」にある。台車には液体ヘリウムを使った冷凍機を搭載。マイナス269度まで冷やして電気抵抗をゼロにし、普通の磁石を大きく上回る磁力を生み出す。
この超電導技術が時速500キロメートルを実現させる。車両の床下に冷凍庫を積んで走るイメージで、車両基地で一旦電気を供給して超低温を維持すれば、長時間大きな電流を流し続けられるという。台車側面の超電導磁石と側壁に据えたコイルの作用で浮上・走行する。
台車には低速時に使うタイヤも内蔵する。接地走行用の4本と、側壁と車両の間を支える4本で計8本。これを飛行機のように出し入れする。時速150~160キロ程度までタイヤで走り、高速時は自動で収納。地上10センチで浮いたまま走る。
L0系は技術を保全するため詳細を明らかにしていない点が多い。5両は日本車両製造と三菱重工業が製造しているが、工場や超電導磁石の製造会社などは非公表だ。