欧米巨大保険に新規制、金融安定理事会
資本上乗せ求める
【バーゼル=上杉素直】主要国の金融監督当局で構成する金融安定理事会(FSB)は25日、世界経済への影響力が大きい巨大な保険会社を対象に新しい規制を導入すると発表した。各国政府の一般的な基準に上乗せする形で資本を積むよう求める。大手銀行に続いて保険会社も財務の健全性を高め、2008年に起きたような金融危機の再発を防ぐ狙いがある。
FSBのカーニー議長(英中央銀行次期総裁)が25日、バーゼルの国際決済銀行(BIS)で記者会見して新規制導入を表明した。カーニー議長は「7月に対象となる保険会社の当初案を公表する」と語った。対象は欧米勢が中心になる見込みだ。
現在、各国当局は保険会社に「ソルベンシー規制」などと呼ばれる健全性基準を課している。FSBは選定する巨大保険会社について、各国の基準を上回る資本の蓄積を求める見通し。将来は、この基準が世界の保険業界で健全性の目安の一つとなる可能性もある。
FSBは、保険監督者国際機構(IAIS)と連携して作成する新規制の詳細を20カ国・地域(G20)に順次報告していく。14年のG20首脳会議(サミット)で、新規制の最終決定を目指す。
主要国は金融危機の反省を踏まえ、国際的に活動する大手行に従来より厳しい資本規制を導入した。日本の3メガ銀を含む巨大28行には、一段と高い資本比率を要求することが決まっている。
今回は、これと似た枠組みを保険会社へと広げることになる。ただ、行き過ぎた規制の強化により業界の投資意欲をそぐことへの懸念もあり、何らかの工夫を求める声が出てくる可能性もある。