「通貨安競争せず」G7申し合わせ 緊急共同声明
現状の円安を容認
主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁は12日、緊急共同声明を発表した。各国の財政・金融政策は「国内目的の達成に向けられており、為替レートを目標にはしないことを再確認する」と初めて明記。各国が自国通貨を安く誘導する「通貨安競争」をしないことを申し合わせた。安倍政権の政策は為替操作にあたらないとし、政権発足後の円安は容認した。
麻生太郎副総理・財務・金融相は12日、記者団に「日本の政策がデフレ不況対策であり、為替相場に使っていないと各国から正式に認識された」と述べた。
声明では各国の財政・金融政策は「国内の手段を用いて国内の目的を達成することに向けられてきている」と指摘。安倍政権でこれまで進めてきた積極的な金融緩和などの政策は、デフレ対策が目的との認識で一致した。
その一方で「今後もそうしていくこと」と付け加えた。各国が自国通貨を安く誘導するような政策をとって通貨安競争にならないようけん制した。自民党が公約としていた政府・日銀による外債購入ファンドなどは為替相場に影響を及ぼす可能性があり、導入が難しくなったとの見方もある。
G7が緊急共同声明をまとめたのは、15~16日にモスクワで開く20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を前に、先進国として統一見解を示す狙いがある。
安倍政権が打ち出した積極的な金融緩和策に対し、「為替操作は敏感な問題になりつつあり、日本への懸念が出ている」(ドイツのメルケル首相)などG7の一部の国から批判が出ていたことが背景だ。欧州では日本の金融緩和で円安・ユーロ高が進めば日本企業の輸出競争力が高まるとの警戒感が高まっていた。こうした声に対し、日本政府は金融・財政政策は為替操作にあたらないとの説明を繰り返してきた。
声明ではほかに「為替レートは市場で決定されること」と、これまでのG7での合意を再確認した。為替市場では日本が名指しで非難されなかったとして声明の発表直後は円が売られたが、G7が円安を容認するわけではないとの見方もあり、円は再び買い戻された。