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羽田発着枠、日航「納得いかぬ」 全日空に重点配分

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2013年3月に配分される羽田空港国内線の新たな発着枠が30日、決まった。焦点だった全日本空輸と日本航空2社の1日当たりの配分枠数は、全日空8に対して日航が3。配分にあたり国土交通省が日航の経営破綻を考慮したため、大きな差がついた。日航再建については自民党などから過剰支援との批判が強い。異例の傾斜配分はそうした声を受けたものと見ることもできる。

日航との差が縮小

今回の発着枠配分の結果について全日空は30日、「羽田の枠を活用し、地方路線を充実してきた努力を評価していただいたと認識している」とする伊東信一郎社長のコメントを発表した。

現在、羽田国内線枠は全日空163.5に対し日航が180.5。国内線全体の旅客数シェアで全日空は49.3%(12年3月期)と日航を12.7ポイント上回るにもかかわらず、国内で最も利用者が多い羽田空港で日航の後じんを拝してきた。今回の配分で日航との差は17から12に縮小する。

羽田空港の国内線発着枠(合計発着枠、シェアは配分後。単位:シェアは%)
今回配分
(前回)
合 計
発着枠
発 着
シェア
日本航空3(  7.5)183.540.1
全日本空輸8(11.5)171.537.4
スカイマーク4(4   )36  7.9
エアドゥ2(4   )23  5.0
スカイネットアジア3(4   )25  5.5
スターフライヤー5(5   )19  4.1

対照的な反応を見せたのが日航。30日には「納得いくものではない」とするコメントを出した。

羽田空港の発着枠は1枠当たり年間平均20億~30億円の売り上げが期待できるとされる。今回の配分により、収入面で全日空と100億~150億円の差がつく計算だ。

日航の13年3月期の連結売上高は1兆2150億円になる見通し。収入の差が収益に与える影響は限定的だが、同社に不安が広がる。9月19日の再上場まで全面支援をしてきた国交省の姿勢に変化を感じるからだ。

「公的支援の期間は独り立ちできていないわけだから評価に値しない。経営破綻した責任は重い」。発着枠の配分を決める直前の11月半ば、ある国交省幹部は日航への厳しい見方を示した。

国交省の変化には伏線がある。「航空局は緊張感を持って日航を監視するように」。11月15日、自民党航空問題プロジェクトチーム(PT)座長の望月義夫氏は居並ぶ航空局幹部にそう言った。

経営再建の期間を減点

自民党には公的支援でスピード再建を果たした日航が新たな路線獲得や投資に動くのは「市場競争をゆがめる」との声がある。同日のPTでも日航が新規路線の開設を検討しているという報道の真意をただそうと、航空局幹部に詰め寄る場面があった。

「このままでは設備投資や路線開設など航空会社としての基本的な戦略も打ち出しにくくなる恐れがある」。日航幹部がそんな雰囲気を感じるなかで、国交省は今回の発着枠配分を決め、日航再上場後初となる行政スタンスを示した。

この中で国交省は秘策をひねり出した。配分は過去5年間の実績を点数化して決めるが、日航が公的資金を受けた2年2カ月分(全体の約4割)は「実績がない」として減点。結果として日航への配分を全日空の半分以下にする案をまとめた。

いま日航は国交省が8月10日に公表した「日航の企業再生への対応について」と題する2枚紙の行方に気をもむ。同資料は全日空との競争環境に配慮して日航の経営を監視することを明示している。来春にも同省が取りまとめる「公正競争の指針」は同資料を反映したものになる見通し。経営を左右しかねない内容に神経をとがらせている。

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