震災対応に見る日本台湾の落差
日本と台湾の震災発生に対する政府対応の違いは後進国と先進国の相違をまざまざと見せつけるもの。
4月3日に台湾東部沖で発生した地震はマグニチュード7.7の巨大地震で、台湾東部で震度6強の揺れが観測された。
1月1日に能登半島で発生した地震はマグニチュード7.6で最大震度は7だった。
ほぼ同規模の地震が発生したと言える。
能登半島地震では家屋倒壊等で下敷きになった被災者の救出が著しく遅れた。
また、避難所の居住環境の劣悪さがクローズアップされた。
震災発生から3ヵ月の時間が経過するが、能登半島の避難所の居住環境は劣悪なまま放置されている。
被災地でお弁当などの食事が供給されるまでに3週間の時間を要した。
自衛隊等による炊き出しにしても必要数を大幅に下回る数しか供給ができない状況が持続した。
避難する被災者の居住スペースは確保されず、トイレも不足。
プライバシーを守る環境も整備されない状況が持続した。
台湾では地震発生直後に避難場所が確保され、避難所ではプライバシーを守るカプセル型のテントが張り巡らされた。
温かな食事も直ちに用意された。
先進国と後進国の落差はあまりにも大きい。
日本では大きな災害が頻繁に発生している。
そのたびに、前近代の、生存権さえ満たさない劣悪な避難所に被災者が収容される図式が描かれてきた。
この後進国ぶりがもたらされている最大の原因は政治の基本姿勢にある。
この国では政治権力者が一般国民の幸福を追求しない。
この国の権力者が追求するのは自己利益だけである。
財政資金がないわけではない。
財政規模は極めて巨大である。
重要なことは、その巨大な財政資金を何にどう投下するかである。
本ブログ、メルマガで何度も指摘していることだが、2020年度から2023年までの4年間に補正予算で154兆円もの財政支出予算を計上した。
政策遂行のために本予算に計上する財政資金は年間23兆円である。
財務省が公表している一般会計・特別会計歳出純計の計数を見ると、防衛関係費と社会保障関係費を除く政策支出の合計金額が1年間で23兆円。
これは2022年度も2023年度も同額。
1年間の政策支出の合計金額が23兆円。
ところが、その一方で、補正予算で年間39兆円もの財政支出を予算計上している。
そのほぼすべてが利権支出=裁量支出である。
これだけの財政資金を投下するなら何でもできる。
消費税を7年間ゼロにすることすら可能だ。
これだけの巨大な予算を編成しながら、一般国民の福利厚生、幸福のためには一切使わない。
だから、東日本大震災の際の前近代避難所の状況がいまもまったく変わっていない。
避難所の福利厚生水準にスフィア基準という国際基準がある。
内閣府HPにも「人道憲章と人道対応に関する最低基準(スフィア基準)」について解説が掲載されている。
「人道憲章と人道対応に関する最低基準(通称:スフィア基準)は、1997年にNGOグループと国際赤十字・赤新月運動が開始したスフィアプロジェクトにて、策定されました。これは1990年代における人道機関による国際的な活動の増加、さらに1994年の大湖地方の難民危機を受けて、「多くの人道援助機関及びNGOが共通して使用する人道対応に関する基準が必要である」という認識の高まりを受けたもので、紛争や災害の被害者が尊厳のある生活を送ることを目的に定められた基準です。」
この解説のなかに「スフィア基準の概要」として
「スフィア基準では、「人道憲章」、「権利保護の原則」、「コア基準」(全てのスフィア基準に共有される必須のプロジェクト基準)とともに、
「人間の存続のために必要不可欠な4つの要素:
(1)給水、衛生、衛生促進、
(2)食糧の確保と栄養及び、
(3)シェルター、居留地、ノン・フードアイテム(非食糧物資)、及び
(4)保健活動」
の分野における最低基準が定められています。
特に「人間の存続のために必要不可欠な4つの要素」に関する章では、人間が生命を維持するために必要最小限な水の供給量、食糧の栄養価、居留地内のトイレの設置基準や数、また避難所の一人あたりの最小面積や保健サービスの概要などが具体的に紹介されています。
これらの基準は比較的高い水準で定められており、そうすることで、紛争や災害時などの緊急時において、支援を必要とする人々が高い水準の援助を受けられるようにすることを目的としています。
とある。
しかし、日本政府はこの基準の達成をまったく図っていない。
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