民主党衰退気運を一段と高める岡田克也代表選出
主権者の関心が極めて低い民主党代表選が実施されて、岡田克也氏が新代表に選出された。
これで、ますます、民主党に対する関心が低下してゆくことになるだろう。
日本においては、自民党に対峙し得る、主権者の意思を正面から受け止める野党が、二大政党の一角として確立される必要があるが、岡田氏が新代表に選出されたことで、民主党がその役割を担う可能性がさらに低下した。
新しい主権者政党が確立されなければならない状況を踏まえると、民主党の人気がさらに低下することは歓迎するべきことで、その意味では、今後の政界再編にはプラスの意味を持つ代表選になったと評価できる。
主権者に求められている野党第一党の姿は、自公補完勢力ではなく、自公対峙勢力である。
自公が掲げる政策方針に対して、正面から対案を明示する、筋金入りの「たしかな野党」が存立することが必要不可欠である。
私たちの目の前には、日本の命運を定める重大問題が横たわっている。
原発、憲法、消費税、TPP、基地、格差
の各問題である。
いずれの問題に関しても、世論調査では、安倍政権が提示する政策方針に反対する主権者が過半数、あるいは半数近くは存在する。
したがって、これらの六つの重大問題について、安倍政権にしっかり対峙する本格野党が誕生することが求められている。
ところが、岡田克也氏が提示する方針は、自公の与党勢力に対峙するものではない。
自公与党勢力の補完勢力に堕すような政策方針しか示していないのだ。
自公と変わらぬ政策方針を示す野党第一党に存在理由はない。
存在する意味がないのだ。
この方針を示す政党が選挙に打って出ても、安倍政権の政策方針に反対の考えを持つ主権者の受け皿にはなり得ない。
2005年9月の郵政解散で、郵政民営化の是非を問うとした小泉純一郎政権に対して、岡田克也民主党は何も示すことが出来なかった。
岡田氏が提示したスローガンは、
「日本をあきらめない」
という、意味不明のものであった。
私は、この選挙に際して、岡田氏に信書を送付した。
小泉政権に対して、
「天下り根絶」の旗を掲げ、
「郵政民営化と天下りの根絶。あなたはどちらが本当の改革だと思いますか」
とアピールするべきであると提案した。
そして、具体的提案として、
1.天下りの根絶
2.障害者自立支援法に示される弱者切り捨て政策の否定
3.イラク戦争に見られる対米隷属政策の排除
を掲げて選挙を戦うべきだと主張した。
しかし、岡田氏は何もしなかった。
「日本をあきらめない」という、意味不明なメッセージを提示して総選挙に惨敗した。
岡田氏が私の提案した施策に賛同できないのは当然のことでもあった。
鳩山政権が推進しようとした「天下りの根絶」に、もっとも頑強に抵抗したのが岡田克也氏である。
岡田氏は官僚が所管業界の関連企業に天下りすることを、「憲法が保障した職業選択の自由」だとして、全面擁護する人物である。
官僚の天下り利権の擁護に全力をあげてきたのが岡田克也氏である。
また、2009年総選挙の際に、普天間の県外、国外移設を政権公約に盛り込むことを阻止したのも岡田克也氏である。
この岡田克也氏が、鳩山政権の外相として、普天間の県外、国外移設を阻止するために全力を注いだのである。
岡田氏の基本は対米隷属である。
そして、障害者自立支援法の阻止にも、何らの尽力もしなかった。
障害者自立支援法とは、その言葉の響きとはまったく対極にある、弱者切り捨ての冷酷な法律である。
小泉政権はこの冷酷な法律を制定し、弱者切り捨てを強化していったのである。
民主党議員で、原発再稼働に反対、集団的自衛権行使に反対、の者は民主党を離れるべきだ。
このような根本問題で正反対の主張を持つものが同じ党に同居することは、主権者に対して不誠実である。
岡田氏が民主党新代表に選出されたことを契機に、民主党の党勢がますます弱まり、民主党が政策路線の相違を軸に分裂し、水と油の同居状態が一刻も早く解消されてることが望まれる。
続きは本日の
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