この記事は以前書いた「活字離れの個人的実験場…以下略(その1)」の続きです。
果たして興味のある方がいるのかどうかは謎なのですが「活字(読書)離れ対策として個人レベルで取り組んでいること」第2弾ということで、今回はプラス要因からのアプローチを取り上げていきます。
前回も書いたように、個人レベルのことですのでマーケティングも何もできていないのが現状なのですが、それでも多少は情報を取り入れる手段があるものでして、その1つが新聞などで行っている読書に関する世論調査です。
たとえば読売新聞であれば読書週間の10月に合わせて新聞で行った読書に関する世論調査を紙面に載せてくれているわけです。
(もっともうちの場合、親が洗剤などの粗品に釣られて数ヶ月おきに新聞を替えたりするので、毎年見ることができるわけではないのですが…。10月に読売新聞を取っていた時だけはしっかり新聞記事をスクラップしています。)
そしてそこには調査対象者が1ヶ月に何冊の本を読んだだとか、本を読む理由・読まない理由、読むきっかけ、どんなジャンルの作品を読みたいか等々、実に有益な情報が載っているのです。
その中で自分が目をつけたのは「あなたが本を読む理由」そして「あなたはどんな分野(ジャンル)の本を読みたいですか」という項目です。
(毎年の結果を追えているわけではないので、その辺は少しアレなのですが…)「本を読む理由」で常に多いのは「面白いから」と「知識・教養を深めるため」の2つです。
「面白さ」は読者様が決めることであって、作者が「面白いものを書こう」と努力したところでそれは実力次第の不確実なものですので、それはとりあえず置いておいて(面白いものを書こうと努力しないという意味ではありませんよ、もちろん。)「知識・教養を深めるため」という答えに自分は注目しました。
自分自身も「本を読むことによって未知の知識や世界と出会う」ということは非常に刺激的で楽しいことだと思っているので、そんな「楽しさ」「知的好奇心への刺激」を読者様にも味わっていただけるよう、「言ノ葉ノ森」ではそんな「知識・教養」面での様々な工夫を凝らしています。
物語自体に「物事の起源(ルーツ)」や「ディープでマニアックな知識」を盛り込むのはもちろん、物語の中だけでは語りきれないそんな知識に関する雑学・コラムを「へびさんのあんよ(蛇足な解説ページ)」というおまけコーナーで紹介しています。
(たとえば古代の巫女のファッションをとっても既に東西文化の違いが表れていた、だとか、奈良時代の貴族のグルメや暮らしやお薬事情、作刀に関するアレコレ、忍者のルーツに関する伝説等々…)
作者が物語創作のために調べた資料の知識を惜しみなく披露している形ですので、そんなおまけページまで含めて読んでいただければ、読者様は物語が完結する頃には労せずして「作者と同レベルの知識」を身につけているかも知れない…というくらいの知識の大放出サービスです。
さらにはもっと上の知識を求めたい方のために参考文献ページも充実しています。
作者が物語創作に利用させていただいた文献を、ただリスト化するに留まらず、アフィリエイトで購入ページまで飛んでいける仕様にしています。
(表紙画像が使えて見映えも良くなりますし、資料が欲しい読者様にとって便利かと思いますし、資料の著者の方々へのリターンにもなって一石三鳥…と思っているのですが、実際に利用してくださっているユーザー様はまだごくわずかです。)
次に「どんな分野(ジャンル)の本が読みたいか」という項目からの対策ですが…これ、2013年の時点では「歴史小説&時代小説」が(旅行・レジャー・スポーツと並んで)トップだったのです。
そして2015年時点のトップは「推理・SF・冒険・ラノベ」でした。(←正直、この4つを一緒くたにしないで細かく分類して欲しかったと切実に思うのですが…。)
ここまで書けば、うちの小説サイトの常連ユーザー様はピンと来るかと思いますが……そうです。「歴史・時代」要素も「冒険」要素も「言ノ葉ノ森」の連載小説の中に含まれているのです。
(…と言っても正確には「和風ファンタジー小説」でフィクション部分・オリジナル設定も多いので厳密に言えば「歴史・時代小説」とはベツモノなのですが。あと「推理」要素と「ライトノベル」要素は、頑張ってみてはいますが、含まれているのかどうか、自分ではちょっと分からないところです…。)
それと個人的趣味プラス「絶対に需要はあるだろう」という個人的見解により「恋愛」要素もしっかりと含まれています。
(読売新聞の調査では分野のところに「恋愛小説」というものがそもそも無かったので実際のニーズは不明なのです。と言うか、今後の調査では分野(ジャンル)分けを本当にもう少し見直して欲しいです…。)
それと、努力目標という形にはなってしまうのですが、もう1つ注目している調査結果があります。
それは「好きな作家・著者」のランキングです。
現在、読売新聞の調査では東野圭吾さんが(2位にダブルスコアくらいの差をつけて)トップを獲っています。
自分も東野圭吾さんの作品は大好きで何冊も持っていて(←経済的理由と本棚の空きスペース的事情により全冊は持てません…。)影響も相当受けていると思います。
「東野圭吾さんのような作品を自分も…」とはおこがましくて、とても言えませんが、彼の作品の「何が魅力なのか」を分析して、それを自分の作品にも活かす努力は行っています。
(小説のどの部分に魅力を感じるのかは個人個人の感性だとは思うのですが…)自分は東野さんの作品の魅力の1つは「終盤のサプライズ(どんでん返し)」しかも「ただのサプライズではなく、心情に訴えかけてくるようなサプライズ」だと思っているのです。
なので、自分の作品にも頑張って「サプライズ」を盛り込んでいます。
とりあえず現在連載中の「夢見の島の眠れる女神」と「花咲く夜に君の名を呼ぶ」の2作品にはかろうじて「サプライズらしきもの」が仕込めている(「花咲く…」はこれから仕込める予定)と思うのですが…
サプライズがちゃんとサプライズとして効果を発揮しているか否かは作者の実力次第であり、読者様の判断に委ねるしかない部分ですので、そこはまぁ「人事を尽くして天命を待つ」しかないという心境でいます。
「プラス要因からの活字離れ対策」は以上のような世論調査を元にしたもの以外にも、個人的に考えてやっている取り組みがいろいろとあるのですが、既に結構な長文になってしまったので、それはまたそのうちに…。
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