暗黙のルールっていうの、そろそろ止めにしませんか?
社会には往々にして“暗黙のルール”というものが存在します。
自分が現在の会社に入ったばかりの頃もそうでしたが、マニュアルのどこにも書いていなければ、研修時に教えてもらえるわけでもない――にも関わらず、ベテランの先輩方はしっかり把握していて、新人が「やらかす」と、「こんなの常識だろ?」という目で見てくるという――いわゆる“暗黙のルール”というモノに、新参者は苦しめられる運命にあるようです。
「そんなの初耳です」「と言うか、この業界(もしくは会社)だけの特殊ルールです(←実際、世間一般で言う“常識”と業界内(社内)での“常識”が食い違っていることはよくあります。)」と言いたくもなりますが、立場上言えるわけもなく、そんな“初耳の事実”を突きつけられるたびに、とりあえずは「スミマセン」と謝りつつ、心のメモにその“暗黙ルール”を刻んでいくより他ないのですが……
こういうの、いい加減、何とかならないものかと毎度思うのです。
うちの会社は新人さんが入っても(わりと)すぐに辞めていく定着率の低い職場ですが、その原因の何割かに、こういった“暗黙のルール”に適応できないこともあるのではないかと思うのです。
何が正しくて、何がダメなのかが“暗黙”なので分からないという、その状態自体が既に「右も左も分からない新人」にとってはストレスです。
しかし、ベテランさんたちにとって“暗黙のルール”はもはや“当たり前”のモノになってしまっているため、わざわざ新人さんに教えようともしませんし、そもそも「そのルールを新人さんは知らない」ということ自体に気づけないのかも知れません。
そして新人さんが勇気を振り絞って質問したところで、ベテランさんたちにとってそれは“常識”(←実際には常識などでなく、その会社だけの特殊ルールだとしても。)になってしまっているため「そんなことも分からないんだ?」といった迷惑そうな顔と態度で新人さんを凹ませ、「次に分からないことがあったら、また質問しよう」という気持ちを削いでいくわけです…。
(これ、すごく悪循環なんですよね。勇気がなくて質問できない→独自の判断でやる→結局“暗黙のルール”に反しているため怒られる→ストレスが増して、質問するための勇気がさらに出せなくなる、という…)
ベテランさんたちは、自分たちもそうやって新人の時の苦労を経て“暗黙のルール”を学び今に至った人たちなので、それが当たり前のことだと思っているのかも知れませんが(むしろ「同じ苦労をお前らも味わえ」くらいに思っているのかも分かりませんが)、昨今の人手不足やら何やらを思えば、もうそんな考えは捨てるべきだと思います。
人手不足は確実に、今働いている自分たちの首を締め上げていく問題です。
感情うんぬんは置いておいて、新人さんが定着していける“居心地の良さ”を作っていくべきなのです。
(これ、他人事でなく思いきり自分事なので、本当に切実です。一から教えて育てた新人さんが数ヶ月でいなくなって、また新しい新人さんを一から育ててまた数ヶ月…っていう地獄のローテーションとエンドレス人手不足は、いい加減、勘弁して欲しいのです。)
…とは言え、暗黙のルールを“暗黙でなくする”にはまず、「自分たちが何を暗黙にしてきたのか」を把握し自覚するところから始めなければならないので、そう簡単なことではないのかも知れないな、とは思います。
先に述べた通り、ベテランさんたちにとってはそれが既に“当たり前”過ぎて、“暗黙のルール”が“暗黙になっている”ことさえ自覚していない人が多くいるように見受けられますので。
まずはベテランさんがつい口にしがちな「これって常識だよね?」な事柄について、各々が意識して、「教えてもいなければ、どこにも記していないルールを勝手に相手に押しつけていないか」見つめ直していくことが大切なのかな、と思います。