活字離れ対策の個人的実験場…以下略(その3)
この記事は以前投稿した活字離れ対策の個人的実験場としての小説サイト(その1・2)の続きです。
読書に限らず、誰かを何かに惹きつけるためには2つの段階があり、それぞれの段階で求められるモノが違っている、というのが自分の持論です。
それは「出会ってもらう」「手に取ってもらう」という1つ目の段階と「継続してもらう」「リピートしてもらう」という2つ目の段階です。
まずはとにかくそのものに「興味を持ってもらい」、実際に「触れて」もらわないことには始まりません。
そのためには「興味を引く」ための戦略や技術、あるいは「魅力に気づいてもらう」ための努力が必要となります。
しかしそこからリピーターになってもらうためには、また別の戦略なり努力が必要になってくると思うのです。
どんなに斬新で奇抜な「何か」で人目を惹いて「手に取って」もらったとしても、すぐに飽きられてしまうようでは「次」にはつながりません。それでは意味が無いと思うのです。
だから「出会い」の次には「飽きの来ない魅力」――自分の考えるところでは「しっかり積み上げた基礎の上に成り立つ堅実で上質なクオリティー」が必要になってくるように思うのです。
それらを踏まえた上で自分が行っている取り組み、これから行おうと考えている取り組みを以下にまとめてみました。
- エンターテイメント性で惹きつける
- ネット小説にはWEBならではの機能により紙媒体の小説にはできないことができる、というメリットがあります。
「活字離れ対策…(その1)」でも書いたようなカスタマイズ機能やワンクリックでの用語解説表示機能などもその一部ですが、さらに自分はWEBならではの機能を利用してサイトに「仕掛け絵本のような」エンターテイメント性を仕込む、という試みも行っています。
たとえば「夢見の島の眠れる女神」の用語解説フレーム内に表示されるドレス画像などがそうですが、マウスをONすると変化があったり、そもそもアニメーションしていたりなど「見た目にも楽しい」ページを目指しています。
あとはタイトルロゴや背景壁紙などを特定の章で変化させる「演出」や、キャラクター紹介をドット絵付きのRPG風にして「ゲームっぽさ」を演出する、などの工夫もしてみています。 - ビジュアル化で視覚に訴える
- TOPページや各小説のもくじページ、ページ機能のガイドなどで行っていることですが、単に文章だけでなく画像を積極的に使うことで「視覚に訴える」効果を狙っています。
たとえばTOPページでは各小説の内容(コメディなのかシリアスなのか、ほのぼのなのかシビアなのか…等)を星の数の比率で表してみたり、各小説のもくじページでは「内容紹介」にビジュアル的工夫を施すことでパッと見で目を惹きつけるという効果を狙っています。
ページの機能説明(ガイド)についても、ただ文字を連ねただけでは真っ当に読んでもらえなかったり、ユーザー様が読むのをイヤになってしまったりするだろう、という思いから、画像を使って分かり易く(?)図解しています。 - ネーミングの努力
- 「興味を持ってもらうキッカケ」として「名前」というものもかなり重要だと思っています。
実際、今まで売れなかった商品が名前を変えたら売れるようになったという事例もあるそうですし、そういう面でもユーザー様の目にパッと触れやすい「タイトル」や「章タイトル」は大事だと思うのです。
そんなわけで、自分もタイトルや章タイトルにはそれなりのこだわりを持って名付けています。
もっとも自分の場合、初めてのユーザー様を惹きつけるためのネーミングというより、小説を最後まで読み切っていただいた読者様に「ああ、タイトル通りの物語だったな」という感慨を抱いてもらって印象に残してもらうためのネーミングになってしまっている気がしますが…。 - 先の読めない展開
- 一旦「出会って」もらった物語を継続して最後まで読み続けていただくためには「飽きられない」ことが大事です。
そのためには「マンネリ」や「どこかで見たような展開やパターン」を避け、読者様に先の展開を「予想させない」ことが重要になってきます。
(もっとも、良い意味での「ベタさ」や「王道パターン」は個人的に好きなので、そこを否定したりはしませんし、できないのですが…。)
なので、自分の場合も物語全体だけでなく、各章の中でも細かく「起承転結」を作り、さらにはその中でも「転」を大切にしているのです。
(次の章も読んでもらうために、あえてその章を「転」で止めてヒキを作るという週間少年マンガのようなノリを多用してみたり…。)
幸い、ひねくれ者なせいか、ストーリーにヒネリを加えること自体は苦ではなかったのですが、逆にヒネリが多過ぎて読者様が混乱しないかが心配だったりはします…。 - 未知の知識や概念との出会い
- 「活字離れ対策…(その2)」でも書いていますが、本の中で、それまで知らなかった知識や考えに出会うことは知的興奮や快感の元となりますし、世界や見識を広げてくれます。
なので、そんな「幸せな未知との出会い」があるとその読書経験自体を幸福だと思えたりするのです。
というわけで、自分も物語の中に読者様にとって「未知」であろうと思われる知識や概念を積極的に盛り込もうと努力しています。
と言っても、読者様のそれまでの世界とあまりにもかけ離れたものでは興味を持てなかったり、とっつきにくいだろうと思うので、現実の社会なり現代なりと何らかの「つながり」を持つ「未知」の知識を盛り込むことを目指しています。 - 他のメディアに無い魅力を
- 大事なことですが、純粋な「読書」人口を増やすためには、ドラマやアニメ、マンガなど他のメディアには無い「活字ならではの魅力」を伝え、理解してもらう必要があります。
そのためにはまず活字に携わる一人一人が「活字(あるいは小説)の持つ魅力とは何か」をもう一度見つめ直し、その魅力を活字に興味の無い人々に伝える努力・工夫をしていく必要があると思うのです。
自分もまだその「答え」を見つけられているわけではありませんが、1つぼんやりと考えていることは「文章には、絵や動画では伝えきれない『何か』を伝える力があるのではないか」とういことです。
たとえば温度(ぬくもりや冷たさ)や匂い、雰囲気・空気感、絵で表しきれない形にならない『何か』を、文章なら比喩やオノマトペ、その他の文章表現に託して伝えることができるのではないか、ということです。
文章はビジュアルを持たない分、いかに読者の「想像力」を引き出せるかが重要になってきます。
それは絵や動画で訴えかけるより難しいものですが、絵や動画に縛られない分、文章力と想像力次第では「現実には存在しえない」レベルの素晴らしいものを相手の頭の中に創り上げることも可能なのではないかと思うのです。
実際、名著の中には読むだけで快感を覚えるような珠玉の文章があったりもするわけで、そういう部分に活字ファンを集めるための活路があったりするんじゃないかな…などと思うのです。 - 小説ならではのトリック
- 他のメディアにはない「魅力」「武器」の1つとしてパッと思いついたのがいわゆる「叙述トリック」というものです。
ビジュアルが無いメディアであるがゆえに、読者を良い意味で「ダマし」サプライズを演出することも可能、ということです。
…自分にそれができるかどうかはともかくとして…。 - 「読書」の魅力をPRする
- これから取り組むべき課題として考えていることですが、読書離れを食い止めるためには「読書にはこんな効能がある」「読書をすればこんな風に人生に役立つ」ということを、活字離れを食い止めたいと願う個々人がもっと積極的にアピールしていった方が良いのではないかと思うのです。
なので自分もこれからそれを考え、PRしていこうと思います。
その中身については長くなりそうなので、またそのうちにまとめますが…。
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