亡くなった祖父から“禁断の森”の領主の座を受け継いだオンナノコのムイ。
しかしその土地は悪魔や獣人が住まうおとぎばなしのような土地だったのです。
16の身空で領主のなるというだけでも大変なのに、森の住人がそれでは落ち着くヒマもないというモノ。
はたしてムイは立派な領主となって森を守ることができるのでしょうか――。
なんといってもムイの真面目さが素敵!
面倒くさがりであることを自覚して問題を避けようとはするにしても、人として間違ったことをしてはいけないといった物の道理をわきまえているっちう。
冒頭の祖父のお葬式にしてもそう。
面倒くさがりであっても仲の良かった祖父の葬式までを蔑ろにすることは無いとことかー。
きちんと自分がそれをすべきかどうかをわかっているのですよねー。
あとこのシーンでは形式張った式よりも、式が終わったあと、祖父の友人たちが故人を懐かしみながら語り合っている方が葬送の儀式として相応しいのではないかと感想をもらしたところも良かった~。
カタチに惑わされることなく、コトの本質をとらえる目……とでも言いましょうか。
こういった利発さに加えて、約束は守るところとか、他人を思いやることができるところとか、んもー、良い子過ぎっ!
子供好きの悪魔じゃなくてもさらっていきたくなるわ!(≧▽≦)
ムイが幼かった頃に会ったことのあるラーシェンとフィンドル。
ふたりのうちではムイに向ける感情がハッキリしているのはフィンドルのほう?
いろいろとしがらみを抱えてしまっているフィンドルですけれど、彼はムイをムイとして見ているっちうかー。
ラーシェンのほうはまだ「礼を返す相手」として見ているわけでー。
……ああ、でもこういう「世間知らず」な王子様のほうが将来的には相手になってくるのかなぁ。
いまはまだそのバカ王子(ちうか、すでに彼は王ですが)ぶりが鼻につくことこの上ないので問題外ですけれどもー(笑)。
ムイの呟きに、フィンドルは大人達を怒鳴りつけたくなった。
おそらく大人達はムイに母親を思い出させて悲しい思いをさせたくないのだろう。だが今までずっとそばにいた母親を急に忘れるはずがない。
まだこんなに幼いのだ。思い出して泣いたっていいではないか。
フィンドルはこういうことに怒ってあげられる優しさをもっているのですよねー。
そこが非常に好感。
いまのところはふたりの関係はギクシャクしてますけれど、この先、そんな関係が改善していくのであろうと推測すると、思わずニヤけてしまふ~(≧▽≦)。
というわけで、わたしはフィンドル応援派です。
イラストは池上紗京センセなのですけれど、細やかな筆致に磨きがかかっているような……。
表紙イラストの存在感は圧倒的ですよ?
かわいーかわいー!
こういう描き込みするかたはコバルトでは珍しいような気もします。
コバルトって最近は淡いタッチと柔らかな色彩で描かれるかたが多いように思うので。
ところで、表紙のムイ。
よく見ると顔に汗を浮かべていたりしませんか?
やぱしこの状況に緊張したりしているんでしょうかねぇ(笑)。
とまれ、先が楽しみなシリーズです。