シャルの羽をペイジ工房の跡取り娘にカタとして取られてしまい、めでたくも銀砂糖師となるもシャルを解放するためにペイジ工房で奮闘する女の子のお話。
やー、今回もアンのひたむきさが好感でした o(≧▽≦)o
銀砂糖師になれたというのにその代償がシャルとの別離であるというは、なんともやるせなかった前回の引き。
しかし三川センセは、そーゆー経緯へ至ることになった張本人(のひとり)には、続く刊で救済措置を与えますよねー。
根っからの悪人、利己的な人間ではない……と描くというか。
世界に悪意が無いわけではないけれど、人が悪意に染まっているということは、少なくとも「アンの物語」には居ないという。
もし居たとしても、その人は「アンの物語」においてはモブなんですよねー。
それは「読み手の物語」として言い換えることができるかもしれない。
私たちの周りに理不尽な、あるいは利己的な、そして嗜虐的な悪意というものは存在して、私たちに害を及ぼしてくるかも。
でも決してそれら悪意で世界が染め上げられているワケではない。
必ず善意が……とまで行かなくても、公正であるような気持ちがきっとある。
そんな世界像。
――もちろん、それを感じ取るためには、悪意に負けない心と前向きな行動が必要だとも伝えているのですけれどね!(笑)
ああ、難しい難しい。
由緒あるとはいえ今やうらぶれた工房の建て直しを任されたアン。
ここに残ってアンと共に再建へと歩む職人さんたちの配置も見事!
まさに「アンがまとめあげる」ために存在したといっても過言ではw
思うに工房長代理のエリオットでは無理だったと思うのですよね。
この再建劇は。
もしくは他のどんな銀砂糖師にも無理だったのではないかなー。
このドラマが成り立ったのは、アンという「女の子」の存在だったのではないかと。
男はさー、バカだからさー、うまく結びつきを表せないのよさー。
そこへ女の子が入ると、皆がそこを向くことによって繋がりが生まれるワケね。
女の子ってスゴイ!(笑)
……なにか似た作品があったなと思っていたのですが、そうか。
佐々木潤子センセの「BAN BON!」か!
大仕事を見事に成し遂げ、またひと回り成長したアン。
1巻ごとに成果を見せてくれる展開は、スピード感があって良いですね。
そしてもちろん、ラストで次巻への引きも忘れないあたりさすが。
ようやく落ち着ける場所を見つけられた感のあるアンたちの活躍が楽しみです。