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『浄土和讃』『高僧和讃』『正像末和讃』

  • 2010/11/30(火) 21:49:57

一つ前の投稿の続きです。



■ 浄土和讃 ■

三帖和讃(『浄土和讃』『高僧和讃』『正像末和讃』)の一つ。

文明本では、
・冠頭和讃 2首
・讃阿弥陀仏偈和讃 48首
・浄土和讃大経意 22首
・観経意 9首
・弥陀経意 5首
・諸経のこころによりて弥陀和讃 9首
・現世利益和讃 15首
・『首楞厳経』によりて大勢至菩薩和讃したてまつる 8首、
合計118首から成る。


  • 冠頭和讃は序讃ともいい、浄土和讃の大綱をのべる。
  • 讃阿弥陀仏偈和讃は曇鸞大師の『讃阿弥陀仏偈』によって弥陀の光明と浄土の荘厳を讃えたもの。
  • つぎに浄土三部経の意を讃えた大経意・観経意・弥陀経意の和讃があり、
  • さらに諸経の意により弥陀を讃えた諸経和讃を加える。
  • 現世利益和讃は主に『金光明経』によって念仏者が現世において受くべき利益を讃め、
  • 勢至和讃は『首楞厳経』によって法然上人の本地である大勢至菩薩の徳を嘆じたもの



■ 高僧和讃 ■

三帖和讃の一つ。

・龍樹讃 10首
・天親讃 10首
・曇鸞讃 34首
・道綽讃 7首
・善導讃 26首
・源信讃 10首
・源空讃 20首
の計117首からなる。

★七高僧の徳を称讃し、その教旨を簡潔に述べたものである。


■ 正像末和讃 ■

三帖和讃の一つ。国宝本・顕智書写本では『正像末法和讃』となっている。

★専修寺に所蔵されている顕智書写本は一応の完成形体を伝えており、巻頭に『般舟讃』の文と夢告讃をかかげている。
次に、
・正像末法和讃 58首
・愚禿述懐 22首(末尾に「已上疑惑罪過22首とある)
・愚禿悲歎述懐 11首がある。

  • 「正像末法和讃」では、正像末の三時における仏教の興廃を述べ、弥陀の本願のみが末法における時機相応の教であることをのべる。
  • 「愚禿述懐(疑惑罪過)」では、阿弥陀仏の本願を疑惑し、末法の時に不相応な教法に救済を求める人々に対して、その過を示し疑を誡めたものである。
  • 「愚禿悲歎述懐」では、真実の教に帰しても、みずからは虚偽・不信・邪悪であり、一般の僧俗が信心をまちがえて行儀を改めようとしない事を悲歎し、如来の廻向を讃えるのである。


★蓮如上人が文明5年(1473年)に開版した「三帖和讃」では『正像末和讃』の構成は、
・夢告和讃 1首
・正像末浄土和讃58首
・愚禿悲歎述懐和讃 16首
・善光寺和讃 5首
合計104首から成り、
末尾に「親鸞八十八歳御筆」とあり、その後に「自然法爾」の法語を収める。
この文明本は、国宝本・顕智本と比べると、相違点が多く、その底本は不明。