柳美里の今日のできごと

福島県南相馬市小高区で、
「フルハウス」「Rain Theatre」を営む
小説家・柳美里の動揺する確信の日々

今日 14:04に、『創』篠田博之編集長に送ったメール

2014年10月16日 19時44分55秒 | 日記

『創』編集部
篠田 博之さま

9月1日にメールを送り、私は篠田さんの誠意あるお返事、そして稿料の振込をお待ちしておりました。

連載締切である9月20日前後にはご回答をいただけると思っていました。
連載をやめることになるにせよ、このままでは長年読んでくれていた読者に失礼なので、お別れのエッセイを書かなければならないな、と考えていたのです。

しかし――、いただいたメールには「ショッキング」「力になれずにいて申し訳ありません」と意味がとれない内容が書いてありました。
休載の場合、毎回必ず、篠田さんは「今月の編集室から」に事情をお書きになられるので、稿料未払いの件を読者に説明していただいているだろうと思い、『創』11月号の最後のページを読みましたが、私の連載の休載についてはただの一行も触れられていませんでした。
これでは、私が原稿を「落とした」と読者に誤解されてしまうと考え、昨日、ブログで事情を説明したのです。

先程篠田さんからいただいたメールに、
「近々伺いたいと思いますので、お時間をとっていただけないでしょうか。今月号に連載のことについて説明をしなかったのは、話し合いをしてからと思ったからです」
とありましたが、いったい何を話し合うというのでしょうか?
「稿料を支払えないために、連載を継続することが不可能になった」と事実を説明するしかないのではないでしょうか?
そして――、
「本当はこちらが気を利かして連絡すべきものですが、なかなか余裕がない状況で申し訳ありません」
と篠田さんは言い訳をされています。
掲載した原稿に対して稿料を支払う、というのは、原稿執筆労働者に労働の対価を支払うということです。気が利く、気が利かない、余裕がある、余裕がない、の問題ではないのです。

「柳さんとは長いおつきあいだし、表現者として尊敬している人なので、誠意をもって対応するつもりです」

この言葉もおかしいです。
稿料は、長い付き合いだから支払う、表現者として尊敬しているから支払う、という筋合いのものではありません。
原稿執筆労働者は、肉体労働者が1時間いくらで働いているように、400字詰め原稿用紙1枚いくらで働いているのです。

7年間の連載で私は原稿用紙何枚の原稿を書きましたか?
『創』は何枚分の稿料を支払い、何枚分の稿料を未払いのまま放置していますか?
原稿用紙1枚いくらで計算しますか?
(依頼時の約束は、原稿用紙3枚と写真で5万円というものでした)
それを計算していただいた上で、
いつまでにいくら支払うのかを明らかにし、その約束を守っていただきたい。
分割払いにも応じますが、今月は収入が少ないので来月まで待ってほしいとか、単行本が思ったより売れなかったので支払えないなどという言い訳は受け付けません。
こちらは、何年も待ち続けたのです。

『沈黙より軽い言葉を発するなかれ』の印税が全額支払われているのかどうかも、お調べの上、ご連絡ください。

とにかく、稿料を支払う、という当たり前のことをしてください。

柳美里

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