ブックカフェ・フルハウスは、
3月20日に開店しました。
https://www.minpo.jp/news/detail/2020032273963
すべり出しはなかなか好調で、ランチタイムは、並んでお待ちになるお客様のためにウエイティングリストを作らないといけないほど混んでいました。
カフェ増築費、設備・什器代、オープン後にこうした方がいいと気づいたさらなる改装費などを返済していかなければならないので、1年間は赤字だろうけど、2年目からは人件費を払っても、なんとかトントンに持ち込めるかもしれない、という手応えはありました。
コロナ……
コロナ、です。
南相馬市内で7人……
4月1日、2日に発表された南相馬初のコロナウイルス感染者は鹿島区在住の男性とその母親、3日、4日に発表されたのは鹿島の男性と同じパソコン教室に通っていた原町区在住の女性とその家族でした。
感染経路ははっきりしていました。
感染者が新たに発表されるごとに客足は引いたけれど、10人はランチ食べてくれたね、この状況で10人食べてくれるってらスゴいことだよ、などと話していたんですよ。
しかし……
4月7日に、日本政府は「全国的かつ急速なまん延により国民生活および経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある事態が発生した」と判断し、新型インフルエンザ対策本部特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令しました。対象地域は大阪府を含む7都府県で、期間は5月6日までの1ヶ月間です。
福島県は、対象地域から外れました。
再び、しかし、です。
8日夜に発表された感染者は、小高区内の宿舎に住む30代作業員で、感染経路は不明だ、という情報が、友人から流れてきました。
小高区は、原発事故によって「警戒区域」に指定され、住民数がゼロになった地域です。
避難指示は2016年7月12日に解除されましたが、帰還した住民数は3663人(原発事故前は1万2842人)です。
買い物や飲食をする店は数えるほどしかありません。
作業員のみなさんは宿舎で集団生活を行うので、一人が感染したということは、何人か続けて感染者が出るに違いない。
彼らは小高区内のスーパーマーケットやホームセンターやコンビニで買い物をし、数軒しかない飲食店を利用しているに違いない。
と、南相馬市のみなさんは推測したのでしょう。
その後の確かな筋からの情報で、
感染者は除染作業員ではなく、環境省から派遣された放射線モニタリング調査の技師で、小高に滞在したのは1週間。ほとんど出歩いていないので、濃厚接触者もいない、ということなのです。
でも、一度流れた噂は、回収することも、訂正することもできないーー。
それでなくても旧「警戒区域」で人通りの少ない小高の駅通りは閑散とし、昨日、フルハウスを訪れた客は一人もいませんでした。
フルハウスの従業員は、4人です。
何もしないで、朝から夕方まで厨房にいるのは、とても辛いことだと想います。
経営者としても、収益ゼロで、店を開けば開くだけ赤字が嵩んでい日を放置するわけにはいきません。
とりあえず今日(11日土曜日)は、誰も客が来ないという前提で、カフェ主任の松本彩華さん(20歳)に一人で本屋の方の業務を担当してもらう。
いつもレジに座っている副店長には、奥の事務所スペースで経理や書類作成や商品発注や、柳美里の秘書業務などをやってもらう。
もし、カフェに来客があったら、即座に副店長とレジを交替して、彩華さんは厨房で料理を作る、という形で営業してみます。
今日の結果を見て、(日曜日、月曜日は本来の定休日)火曜日以降営業するか休業するかを判断するしかない、と思います。
ウイルス相手だから、数日後、1週間後に福島県の浜通りがどんな状況になっているか、全く読めません。
1日、1日、ギリギリの判断をしていきます。
つらい。
わたしだけじゃない、日本全国、全世界の人がつらいんだ、と思ってみても、わたしのつらい気持ちは全く軽減されません。
ああ、なんて、つらいんだろう……