近頃、わたしは図書館の学習コーナーで仕事をしています。
事件は、3月10日の夕方に起こりました。
わたしは、いつものように図書館で小説を書いていました。
『文學界』編集長の武藤旬さんに、3月10日に渡すと約束していた「飼う人vol.3 イエアメガエル」です。
書きはじめたら、(400字詰原稿用紙)200枚弱ぐらいになりそうなので、とりあえず、書けた分80枚を送ろうと(期日だし)画面から全文を切り取ったんです。
わたしは最近、筆記具をパソコンからiPadに換えていました。
iライターズというアプリです。
武藤さんへのメールに小説を添付しようとしたら、出ない。
どうやっても、出ない――。
誤操作で全文削除してしまったのです。
急いで珍念さんに駆け付けてもらい、あらゆる操作をやってもらいましたが、駄目でした。
10日は寝るまで、「やばいぃ」「困ったぁ」「つらいぃ」と呻き、涙ぐんでいました。
しかし、いくら泣いても消えた小説は戻ってきません。
別のアプリに残っていた執筆前のメモを元に書き直しはじめた矢先、息子が40℃近い熱を出し、緊急入院――。
19日までに、病院の廊下や待合室や病室などで書き直した小説が50枚。
20日は仙台でシンポジウム。
今夜から「イエアメガエル」執筆を再開します。
明日22日も一日「イエアメガエル」を書きます。
23日は、連載エッセイを書きます。
24日、25日は、6月に河出書房新社より出版予定の『ねこのおうち』初校ゲラに手を入れなければなりません。
26日に「イエアメガエル」に戻ります。
プロット通りに行けば、全体で170枚の小説なので、あと120枚です。
『文學界』6月号(5月7日発)掲載には、間に合うと思います。
間に合うように、書き進めます。