報道の“偏り”との上手な向き合い方

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(画像著作者:freepik)

ゴールドオンラインに掲載された「老後資金の課題、ほとんどの人は〈なんとかなる〉のだが…懸念の放置が「さらなるお金のリスク」を呼び込むワケ」という記事を読みました。

老後不安が語られる場面は少なくありませんが、この記事では、必要以上に不安を煽る論調に流されず、事実を丁寧に確認する姿勢の大切さが示されていました。読んでいてとても腑に落ちる内容でした。

私たち個人投資家の周りには、評論家やマスコミや野党など、何かと不安を掘り起こす人たちが多いと感じています。もちろん、問題点の指摘は必要なのですが、煽り気味の主張に触れていると、冷静な判断がしにくくなることもあるのではないでしょうか。

公的年金報道には濃淡がある!?

公的年金の運用状況は四半期ごとに発表されています。ところが、政府の年金運用が好調だったときには報道が小さく、損失が出たときには野党からの批判が大きく取り上げられ、マスコミも大々的に報道するという構図がしばしば見られます。これは決して珍しい話ではなく、長年観察していると明らかに「報道量の濃淡」が存在していると考えています。

私はブログで、公的年金の運用実績とそれに対するマスメディアの報道状況を概ね四半期ごとに調査しています。残念ながら、ゴールドオンラインの記事の筆者が書いていたとおり、政府の年金運用が利益を出したときにはほとんど記事にならず、損失が出たときだけ大きく扱われるケースが多々見られます。運用実績そのものではなく、ニュースとして“ネタになるかどうか”で扱いが変わっているようにも見えるのです。

運用は絶好調なのに報道は静かだった理由を考えてみる

例えば、私のブログ記事「【マスコミ調査】公的年金2025年度2Q運用実績は絶好調 なぜマスメディアは年金財源が大幅に増えた事実を報道しないのか」では、運用益が大きく積み上がったにもかかわらず、主要なメディアの報道が驚くほど少なかったことをまとめています。


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データを見ると、収益率は +5.52%、収益額は +14.4兆円という結果でした。累積収益額は +180.2兆円(累積)、収益率も +4.51%(年率)とこちらも「絶好調」に推移している状態です。それにもかかわらず、新聞各紙やテレビの扱いは少なく、報道されているものもきわめて小さかったのです。

過去の報道を見ていると、運用にマイナスが出た期はほぼすべてのメディアで大きく取り上げられる傾向がありました。これらを考えると、残念ながら、マスコミ各社は世の中の不安を煽ることで、視聴率・閲読率を上げて利益を得ているのだという推論が成り立ちます。

もちろん、マスコミ各社も営利企業なので、利益優先になるのはある程度仕方ないことだという面はあります。したがって、私たち情報の受け手が、冷静に情報を取捨選別する目を持つことが必要になってきます。

老後不安よりも先に確認しておきたい大事なこと

老後資金についても、同じような構図を感じています。不安を強く訴える言説を耳にすると、つい「今のままで大丈夫なのか」と思ってしまいます。しかし、考えてみると、受け取れる公的年金は仕事や働き方などによって人それぞれ大きく異なります。であるならば、報道される「平均」の年金受給額を見て不安になるのではなく、「自分」の場合は実際にいくら年金を受け取れるのかを、日本年金機構の公式サイト「ねんきんネット」で確認し、具体的な金額を把握することが先ではないでしょうか。

そのうえで、不足しそうなら節約、貯蓄、投資などで対策を講じればよいし、なんとかなりそうなら評論家、野党、マスコミ報道などに煽られることなく、どーんと構えて自分のやるべきことに集中していればよいと思います。もちろん、人それぞれ状況は異なりますので、楽観しすぎるわけにはいきません。ただし、必要以上に悲観する必要もないと考えています。

不安につけ込むビジネスに飲み込まれないために

さらに本当に注意すべきは、不安を煽って高額な商品やセミナーを売りつけようとする人たちです。人は不安が高まると冷静な判断ができなくなるという点を、彼らはよく理解しています。私たちの不安は“煽りビジネス”を行う者にとっての養分なのです。

スマートフォン全盛のいま、とめどなく情報が私たちの手元に送られ続けてきます。私たちはマスコミに気をつけていればよかった昔よりも、むしろ不安になりやすく、騙されやすくなっているともいえます。これは注意し過ぎることはないほど要注意です。

自分の判断軸を持つ大切さ

長期投資では、短期的なニュースに振り回されず、データと事実を積み重ねる姿勢が大切です。報道の“偏り”を前提にしつつ、自分の判断軸を持つことが、これからの時代にはより重要ではないでしょうか。


 
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