「もう私が何とかするしかない」
俳優の鈴木京香さんは、ル・コルビュジエに師事した吉阪隆正設計の住宅「ヴィラ・クゥクゥ」が取り壊されると聞いた時、心に決めた。
私費で購入した名作住宅は今、月に数回、一般向けに公開されている。
熱心なアート、建築好きとして知られる鈴木さん。9日まで開催されている現代アートの祭典「アートウィーク東京(AWT)」のアンバサダーを務める。
「美術や建築や芸術は生活に必要なものであり、とても大切で、ありがたいもの」
そう語る鈴木さんがいつからアート、そして建築にひかれるようになったのか、その遍歴を聞いた。
「気負わずに」広報役を
AWTは東京の現代アートの創造性と多様性を国内外に発信するイベント。50以上の美術館・ギャラリーが参加し、それぞれに展覧会を開催するほか、AWT独自のプログラムやイベントも展開、現代アートの今に触れる貴重な機会となっている。
今年で5回目を数えるAWTで、鈴木さんがアンバサダーを務めるのは2年連続の3回目だ。
「最初は広報大使という役目を簡単に引き受けてもいいものかしら、僭越(せんえつ)ではないかとも思いました。ですがアートファンであるとは胸を張って言えます」
スイスで開かれる世界最大級のアートフェア「アートバーゼル」も含め、海外のフェアに何度も参加してきた経験からも「『ここが楽しくてすてきですよ』ということを広める係だと思って、今は気負わずにやらせていただいています」とほほ笑む。
直近の休暇もパリでリヒター展
幼いころから絵を描くのが好きだった。自宅には画集もたくさんあり、よく眺めてもいたという。高校では美術部だった。
「小中高では美術に関しては良い成績をもらっていましたし、展覧会で入賞したこともあるんですよ」
だが、美術大学への進学は考えなかったという。「デッサンが…
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