世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者間で行われた養子縁組を巡り、実態解明が難航している。詳しい状況は公表されていないが、厚生労働省が送った2回目の質問書に対して、教団側は大半の回答を拒否したという。水面下で何が起きているのか。【小鍜冶孝志】
従来と変わらぬ説明
「(情報を)精査しつつ、関係省庁とも連携し、今後とるべき対応の検討を進めている。具体的に今後のスケジュールを申し上げる状況にはない」。2回目の質問書の回答を教団から受け取ってから4週間が過ぎた17日、閣議後記者会見で加藤勝信厚労相は従来と変わらない説明を繰り返した。その言葉に手詰まりとなった様子がにじみ出る。
旧統一教会内の養子縁組は、元2世信者が「教義のために養子縁組が行われている」などと訴えて注目が集まった。教団本部広報部によると、1981~2021年に信者家庭間で745人の養子縁組があり、かつては子どもがいない信者家庭のために本部があっせんしていたという。
ここで問題となったのが、あっせんが最近まであったのかどうかだ。18年に施行された養子縁組あっせん法では、あっせん事業を行う際は事前に都道府県知事らの審査・許可を受ける必要がある。しかし、教団は無届けだった。同法施行以前の「届け出制」の時代にはなかった「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」という罰則も設けられ、違法性を問えるようになっていた。
厚労省は22年11月下旬、教団側に事実関係を確認するため質問書を送付した。この時は具体的な回答があり、同法の施行以降、教団内で31件の縁組があったことを認めたという。ただ、教団側は20年ほど前から組織的な関与はなくなり、信者同士の個人的な縁組だったと主張している。
外堀を埋める試み
この回答を受け、厚労省は外堀を埋めようと試みた。同法施行を前にした17年の同省の通知文書では、「あっせん」を養親希望者と子どもの父母の両者の情報に関連する連絡をした場合にも該当すると位置付けている。「あっせん事業」にあたるか…
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