デジタル庁発足で何が変わるのか。「日本のインターネットの父」と呼ばれ、内閣官房参与としてデジタル政策分野で政府に助言も行ってきた村井純・慶応大教授(コンピューターコミュニケーション論)に聞いた。【聞き手・後藤豪】
行政手続きの簡素化加速
――デジタル庁発足で行政のデジタル化は前進するのでしょうか。
◆現在の行政手続きは煩雑で、役所で何度も申請用紙に記入したり、ハンコを押したりする必要がある。デジタル庁ができれば、こうした問題の解消に向けた取り組みが加速する。市民にとっては、まずそれが直接、実感できる利点になるだろう。
情報漏えいの防止など安全対策の精度を上げる必要はあるが、しっかりとした体制を築くことができれば、デジタル技術を活用して安心・安全な仕組みが構築できると期待している。我々が幸せに生きていける環境の実現に、デジタル社会は必ず貢献できる。デジタル庁の開設がそのための大きなステップになると信じている。
――デジタル庁が期待通りの機能を発揮するにはどうすればいいですか。
◆重要なのは各省庁の協力だ。「一緒に良いものを作ろう」という霞が関の協調体制ができるかどうかが重要になる。各省庁には「なぜ協調しないといけないんだ」「どうしてデジタル庁の指示でシステム整備をやらないといけないのか」といった反発もある。それを説得し、納得させる明確な理由をデジタル庁側が示さないと各省庁は動いてくれないだろう。
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