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第12章:プロジェクト調達マネジメント(その4)

ここでは、プロジェクト調達マネジメントをまとめます。
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keywords
 ・入札説明会
 ・入札公告
 ・プロポーザル
 ・発注先選定
 ・契約
 ・契約管理
 ・契約完了

ステップ3: 引合(p.153-154)
引合とは、プロジェクトのニーズをどのように満たすかについて、納入候補からの提案を得ること。ここでのキーワードは「Q&A」、つまり納入候補からの質問と、その回答の場が引合であり、具体的には入札公告や入札説明会となる。

入札説明会(p.154)
コントラクター説明会、ベンダー説明会、事前入札説明会とも呼ばれる。調達文書を受け取れば、すぐさま納入候補が見積もり→プロポーザル作成ができるかというと、そんなワケがない。当然、質問や確認したい点が出てくるだろうし、条件次第で、さらによいソリューションを提案できるのに…という場合があるだろう。これをクリアにするための場が入札説明会となる。プロジェクトマネージャの役割は以下の通り。


  • 入札説明会に出席して質問に答える
  • 説明会での質疑応答をとりまとめ、調達文書に追記する←これが納入者にとっての「スコープ」となる

入札公告(p.154)
納入候補を増やすため、新聞、雑誌、専門誌などの刊行物に公告を載せる。US政府では政府調達のほとんどは公告を必要とする。

プロポーザル(p.154)
プロポーザルとは、提案(proposal)文書のこと。要求された調達品を供給する能力・意志を示した文書であり、納入候補が提示する。納入候補は、技術的な要求事項と契約上の要求事項の両方とも満たしていることを書き表す。

ステップ4: 発注先選定(p.155-156)
発注先選定とは、入札書やプロポーザルを受け取って、評価基準を適用し、納入先を選定すること。キーワードは「ひとつ選び取る」。納入候補が標準契約先として一社選定される場合や、交渉継続として、納入候補がさらにプレゼンを行う場合、納入候補リストをさらに絞り込み、プレゼンを行う場合がある。発注先選定方法としては、以下の方法がある。


  • 重み付け法: 先入観による影響を最小化するため、各項目の評価基準に対し、数値による重みをつける。次に評価基準で納入候補を採点した後、採点結果と重みを掛け合わせ、全体のスコアとする方法
  • スクリーニング・システム: 最低基準を満たしていない納入候補を排除するために行う。一定のボーダーライン・条件を定め、これを満たしていない候補を「足切り」する。例えば「PMP資格者をプロジェクトに参加させる」といった条件など
  • 独自見積もり・査定見積もり: 調達組織そのものが独自に見積もることで、スコープのズレ・誤解が生じていないか、あるいは提示された価格が妥当かを判断する。独自に見積もった結果と納入候補が見積もった結果に大きな差異があれば、スコープを誤読しているか、ボっているかのいずれかだろう

契約(p.156)
発注先選定のアウトプットとして「契約」が発生する。PMBOKでの契約の定義は次の通り。契約とは、納入者に特定の調達品を供給する義務を負わせ、購入者にそれに対して対価を支払う義務を負わせる、互いに他を拘束する協定のこと

あたかも発注者が受注者を「支配」するような意味合いを持って振り回される場合があるが、支払いの義務があることを忘れがち←特に「自分で」支払う義務のない発注者の社員は、ね。

ステップ5: 契約管理(p.156-158)
契約管理とは、契約を管理すること、といったらミもフタもないので少し補足する。契約で求められているアウトプットを納入者が出せるよう、管理すること。着目するべきは前提条件。契約書にある前提条件が満たされた後、求められるアウトプットが得られる。言い換えると、前提条件が変化する場合、求められるアウトプットが(時間的に、品質的に、コスト的に、スコープ的に)得られないかもしれない。

契約形態により、契約管理において注意するべき点が異なる。


  • 定額契約の場合: ありがちなのが手抜き。スコープの通りの仕事がきちんと実施されたかを注意する。手を抜いても額が一緒だから。次にスコープ変更対応の追加料金がボられていないか注意する。定額だったのが増額するチャンスは、ボるチャンスでもあるので。最後にスコープの誤解がないかを注意する。「その指示書はそんな風に解釈するとは思いませんでしたー」は手抜き作業の典型的な逃げ口上
  • T&M契約: 毎日のチェックが必要。時間払いなので、向いている方向が違うとプロジェクトの目標と大きくかけ離れた方向へ行ってしまうため。見落としがちなのが、成果物とスケジュール。他の契約が「契約で示された成果物」を目標とする一方で、T&M契約は目標が具体化していなくても契約、着手できる。言い換えると「成果物が一切できなかったとしても、支払う義務が生ずる契約」ともいえる。したがって、求める成果物を得られているか? 最初に見立てたスケジュール通りに進んでいるかについて注意を払うべき(アウトプットがなくても時間がたった分だけ支払う必要があるため)
  • 実費償還契約: 費用明細内訳に尽きる。かかった費用が妥当かどうかをチェックすることに注力すべし。不当に水増しした費用が計上されていないか、ムダな作業が織り込まれていないか、要はボられていないかに注意する

契約をめぐる衝突は契約管理の段階で生じる。重要なのは、契約を変更できるのは、その契約を結んだ主体(人、部署)であること。「出るトコ出る」話になるということは、契約書にサインした人がでてくるということ。そして、契約管理部門のマネージャとプロジェクトマネージャが衝突する可能性が潜在的にある、ということ。

ステップ6: 契約完了(p.158-159)
契約完了とは、調達品の検証と契約の完了手続きのこと。契約の途中打ち切りも契約完了の特殊ケースとして見なされることに注意。つまり、契約上での作業が終わってなく、契約を打ち切る場合も「契約完了」として扱われる。

契約完了では、成果物の検証、契約記録の最終更新、契約報告、公式な終結手続き、契約文書のアーカイブ化が行われる。

試験に出るところは、プロジェクト完了手続きと契約完了はどっちが先? というネタ。当然契約完了が先。全ての調達先との契約完了を行った後、プロジェクト完了手続きを終えることができる。

もうひとつ試験に出がちなところは、プロジェクト完了手続きでの「教訓」に相当するのは、契約完了での「調達監査」という点。調達監査とは、調達計画から契約管理までの調達プロセスの体系的なレビューのこと。その結果は「教訓」として次のプロジェクトに生かされることになる(といいな)。

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投稿: 政府調達情報 | 2009.03.03 15:46

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