■教育ポータル構想書

教育ポータル構想書

（マイナポータル連携型・国内UI活用版）

一　背景と気づき

朝の台所で、母親が炊飯器のスイッチを入れるように、

子どもたちはスマホの電源を入れて一日を始めている。

学校の教室でも、路地裏の公園でも、

小さな画面の中で言葉が飛び交い、笑いも涙も、

ときにいじめも、指先ひとつで広がってしまう。

一方で、父や祖母の世代は、

「このスマホ、また勝手に変わった」と戸惑いながら、

役所の申請も、病院の予約も、

誰かの手を借りなければできない。

私たちの暮らしは、

もう“デジタル”という言葉では括れないほど、

ご飯や野菜のように、

あたりまえのものになってしまった。

だからこそ――

誰もが安心して使える国産の基盤を整えること。

それが、この構想の出発点である。

二　目的

（1）国民生活の基盤として

デジタル機器を、米や水と同じように、

途切れず、安全に、誰にでも行き渡らせる。

（2）デジタル主権の確立

私たちの生活が、

いつのまにか海外の広告モデルの上で転がされている。

その仕組みを少しでも国の手に取り戻す。

（3）使いやすさの再発見

LINEのような見慣れた画面、

メールのようなやさしい操作感を大切にし、

子どもにも高齢者にも「触ってわかる」端末を。

（4）行政アクセスの一元化

マイナポータルと教育ポータルをつなぎ、

「どこに何を出せばいいのか」という

あの小さな混乱を、もう繰り返さない。

（5）子どもの安全と早期支援

いじめの「撮る」「送る」「拡がる」を技術で止める。

そして、傷ついた心に早く気づけるAIを。

（6）世代をつなぐ操作感

ケータイに慣れた手、タブレットに慣れた指先――

その両方が自然に動くようなUIをめざす。

（7）災害への備え

停電しても、ネットが切れても、

大切な人の安否を確かめられる「小さなOS」を。

（8）国内産業の育成

NECやLINE、そして若い技術者たちの手で、

日本発の端末・OSを育て、働く場を増やす。

（9）透明で倫理的な利用

「誰が、いつ、どの情報を見たか」を明らかにし、

プライバシーを守る仕組みを制度として定める。

三　過渡期モデル（Androidベース・国内UI活用）

学校で配られるタブレットが、

子どもたちの勉強と生活を支える窓になる。

高齢者の端末は、

孫の顔を見たり、健康を記録したり、

役所の手続きまでを一つにまとめる。

いずれの端末も、

「話す・見る・押す」だけで完結できるようにし、

外の危険な通信は遮断する。

災害時には、電波がなくてもつながる小さな回路が働く。

そしてAIが、

いじめや自傷の兆しを、

人の目よりも早く見つけ出す。

四　政府OSへの移行

この道のりは、一足飛びにはいかない。

まずは、Androidの上で国内UIを磨き、

やがてTRON系の軽量OS「Life-TRON」へと移す。

見た目も操作感も変えずに、

裏側だけを静かに入れ替えていく。

IPAやTRON協会、NEC、LINEが力を合わせ、

その互換レイヤーを作る。

スタートアップたちは、新しいアプリの呼吸を吹き込む。

やがて教育現場と高齢者施設で実証が行われ、

一歩ずつ、全国へ広がっていく。

五　実行体制

政府：方針とIDの管理

企業（NEC・LINE）：端末・UI設計

スタートアップ：アプリ・AI開発

学校と教育委員会：現場の運用

保護者と地域：見守りと理解

それぞれが、自分の持ち場で小さく働く。

けれど、その総和が、

子どもたちの安全で穏やかな未来を支える。

六　これからの道すじ

試験校で教育ポータルを導入

試作端末とアプリを開発

マイナポータルとの技術連携を検証

教師と保護者への説明と操作教育

運用ログとAI検知の精度を確かめる

結びに

これは単なる「教育のデジタル化」ではない。

誰かが取り残されないように、

暮らしの隅々まで、

やさしく光を行き渡らせるための計画である。

朝の炊飯器のように、

誰でも迷わず使える――そんな端末を。

それが、この国の新しい「手ざわりのあるデジタル」になる。

Permalink | 記事への反応(0) | 15:38

ツイートシェア