以下のIT速報というブログのエントリがはてブでホッテントリになっていた。
竹中平蔵氏「労働時間の削減ばかりに目を向けているが、労働時間を10%減らしてもGDPが10%減るだけです」 : IT速報
はてブでは当の発言主である竹中を誹謗するコメントにスターが集まっている。
元の発言は以下だ。
理想と現状にはまだまだ差があります。本来は、自由な働き方を認めて、それぞれの働き方の中で不平等がないようにすることが重要です。
最後の一文にある「企業のシステムを変えずに」の部分がタイトルでは削ぎ落とされている。
ここだけ読むと、企業のシステムを変えれば労働時間を減らしても問題はないという視点を竹中が持っている可能性がある。
むしろ、この文章は労働時間だけなく企業のシステムにも問題があることを提起しているようにも読める。
それもそうだ、大元の記事では企業の評価制度がメインテーマなのである。
この部分はメイントーク後の質疑応答でのちょっとした応答部分なのだ。
IT速報のタイトルでは、まるでここが竹中の主張の重要部であるかのような抜き出し方である。
さらに読み違えるような省略をしたタイトルの付け方はかなり恣意的で問題がある。
IT速報のエントリで引用されてる部分は先の引用よりも長く、それを読むだけでこの部分が重要でないことは分かる。
少なくとも、大元の記事を読むまでもなくIT速報内の引用部分を読むだけでこのタイトルがピント外れの要約であることは分かるはずだ。
ただし、今の働き方改革で意義があると感じるのは、約70年間変わらなかった労働基準法を変えようとしていること。
世界のホワイトカラーの間ではすでに認められている裁量労働制にけちをつけるなど、抵抗の動きもあります。ですが、そこに切り込んでいくことで、真の働き方改革が実現できるといえるでしょう。
ここではホワイトカラー・エグゼンプションの導入に竹中が賛成しているように読み取れる。
しかし、これだけではこの先この問題にどのように切り込んでいくべきなのか具体的に主張はされていない。
労働基準法は、一例だが違反しても罰則が軽微なため違反しようともやったもん勝ちではないかとも言われているように、課題のある法律だ。
それが変わることに対して竹中が好意的であるようだが、やはりそれがどうあるべきなのかについて引用部分では述べられていない。
少なくとも文章の上では、労働時間を削るな(さらに言えば増やせ)という主張など竹中はしていないし、IT速報のタイトルが無かったらこれで何をどう騒いでいいのか分からない内容である。
竹中が彼自身の利害関係から本心ではどう思ってるかなどすら問題にならない。
労働時間については、実際の社会では問題だとしても、この文章では中心的な話題になっていないので、この部分だけで竹中が経済学者として云々と結論付けることも出来ないだろう。
タイトルで煽動するブログもブログだが、これを受けてコメントで誹謗するはてブユーザは冷静さを欠いているように見える。
もし内容を見ても同じ主張をしているのならさらに落ち着けと言いたい次第である。
特に竹中の主張は(経済法則上)間違っているといったものに対してだ。
もしかしたら、上で「あくまで文章の読解のレベルの話だ。」という発言を私がしたため、元の竹中の発言にツッコミを入れた人がいるのかもしれない。
しかし、この増田は竹中や経済法則について、というよりもまとめブログ周りネットリテラシーに関する話題なのだ。
つまり、まとめブログの恣意的な要約、それも元の文章構造を無視した要約は大元の発言者を叩く根拠になるのかという疑義がこの増田なのである。
もし竹中の発言に間違いがあるとしても、更にその発言を歪めた要約を前提とした議論は一体何なのだろう。
だから、竹中による主張の個別の真偽については、今回のIT速報のエントリを媒介にする限り(ここ重要)、そこを言及しても意義はないと私は思っている。
(蛇足1:私個人も労働時間を減らしてほしい。給与もあげてほしい。時々、どうにかしてくれという叫びに似たものが湧き出てくる。というかGDPなんぞ下がってもいいだろとすら感情的に無責任に言いたくなる。いくつかのコメントには首肯した。だが、それは少なくともここでの主題とは別の話なので、あえて無視する次第である。)
(蛇足2:竹中はXXX(例えば、某企業の経営者、失われた20年の原因)だから、その発言は全て無価値といったような、発言者の立場を根拠として発言内容の評価を決定するようなコメントについて。これらは基本的に批判の根拠を発言内容ではなく発言者の外的立場に見いだしている点で表現上偏見的だが、それ以前にやはりこの増田の話題とは無関係なので無視する。)
(蛇足3:なんだ結局、手垢の付いたまとめブログ批判じゃないかと思ったはてブユーザ諸兄がいるかもしれない。私もここまで書いていてその気配を感じている。いやはや。)
ふむ たしかに勇み足だったかもしれんな
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