たい‐ばん【胎盤】
胎盤
胎盤(たいばん)
胎盤 (たいばん)
胎盤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/21 07:19 UTC 版)
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胎盤 | |
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母体、胎児と胎盤の位置関係 | |
英語 | Placenta |
器官 | 内分泌器、女性器 |
胎盤(たいばん、英: placenta)は、有胎盤類などの雌(人間の女性も含む)の妊娠時、子宮内に形成され、母体と胎児を連絡する器官である。
子供を雌の体内で育てる生殖形態のうち、胎盤をつくるものを胎生と呼び、卵胎生(非胎盤型胎生)と区別する(ただし両方含めて胎生と呼ぶこともある)。
胎盤はプラセンタとしても利用される。
概要
胎盤は、母体由来の基底脱落膜と胎児由来の絨毛膜絨毛部とから構成されている。
形態は動物種により異なり、馬、豚などにみられる散在性胎盤、反芻類にみられる多胎盤、食肉類にみられる帯状胎盤、ヒト、猿、マウスなどにみられる盤状胎盤に分類される。胎盤と胎児は臍帯で連絡されている。
胎盤の主な機能は母体側と胎児側の代謝物質交換、ガス交換や胎児側への免疫学的支援である。また、ホルモンを産生し、妊娠を維持する。胎盤は分娩時、胎児のあとに後産として娩出される。後産として共に出てくる羊膜・臍帯などを含めて胞衣(えな)と称される。さらに残存している変性した胎盤や胎膜、子宮粘膜の分泌液、血液などの、ほぼ完全に排出されるまで続くものを悪露という。
胎盤を持つ動物
胎盤を形成することは哺乳類の特徴とされることもあるが、実際は、哺乳類の一部の系統である有胎盤類(真獣下綱)のみが胎盤を持つ。現生では単孔類と有袋類が胎盤を作らない。ただし有袋類は、一般的に胎盤と呼ばれる胎児を十分に成長させる高機能な漿尿膜胎盤は作らないが、低機能な卵黄嚢胎盤を作る。
胎盤は哺乳類に限るものではなく、サメの一部(ホホジロザメ、メジロザメ、オオメジロザメ、シュモクザメなど)が胎盤を作る。ただし、サメの多くは胎盤を作らない卵胎生で、さらに完全な卵生の種も少なくない。
ヒト成熟胎盤の構造
胎児側では胎盤は羊膜で境され、次にある絨毛膜板から樹状に絨毛が生えている。樹幹にあたる幹絨毛から枝のように分枝絨毛が形成されている。樹の最上位部で基底脱落膜に付着、固定している絨毛が付着絨毛で、それ以外の付着していない絨毛を浮遊絨毛という。絨毛内は胎児血管が走っている。
母体側では基底脱落膜から母体血管が開口し、母体血が噴出している。絨毛はこの血液の中をただよっている。基底脱落膜の一部は、絨毛膜板に向かって隆起し、区画分けしている。この隆起を胎盤中隔と呼ぶ。胎盤中隔は、絨毛膜板には付着しておらず、全ての区画は開通している。
注意すべきことは、母体の血液と胎児の血液とは直接混合していないことである。酸素・栄養分・老廃物などの物質交換は血漿を介して行われている。このため、母体と胎児の血液型が異なっていても、異型輸血のような凝血は起こらない構造になっている。この構造をプラセンタルバリア (placental barrier) という。このことから、胎児から見ると胎盤は羊膜の外側にあるが、胎児側の臓器とも言える。
ヒト胎盤の内分泌
主に産生される蛋白質ホルモンは、ヒト絨毛性ゴナドトロピン (hCG) およびヒト胎盤性ラクトゲン (hPL) がある。ステロイドホルモンは、プロゲステロン、エストロゲンがある。
- ヒト絨毛性ゴナドトロピン (hCG) - 黄体を維持する
- ヒト胎盤性ラクトゲン (hPL) - 乳腺を刺激する
- プロゲステロン - 妊娠を維持する
- エストロゲン - 子宮や乳腺を刺激する
産後の胎盤
利用
娩出後は、臓器としての役割を終えて脱落する。産後に羊膜等と一緒に胎盤を食餌して分娩による消耗を補填する動物もいる。
医薬品等への転用
ブタ、ウマ、ヒトなどの胎盤は、医薬品として漢方薬の紫荷車などのほかに化粧品や健康食品などに利用されている。日本では俗にプラセンタと呼ばれる。
処分
日本では胎盤や臍帯を勝手に処分することはできない。また、妊娠12週以前の死胎も同様である。これらは、手術に使われた綿やガーゼなど他の産汚物などとともに地方自治体が処分方法を条例で定めている。東京都では「胞衣及び産穢物取扱業取締条例」により処分方法を規定している。
中世日本においては、胞衣を埋める場所の習俗が東西では異なっていたことが指摘されている(後述書)。東国では戸口に埋め、西国では産室の床下か縁の下に埋められたが、これは東が血を忌むことが少ない縄文文化的習俗の名残=狩猟的文化があり、血を忌む西との違いにつながったものと考えられている(網野喜彦 『中世再考 列島の地域と社会』 講談社学術文庫 2000年 p.179)。
「母衣」の由来?
母衣(ほろ)は、戦で甲冑の上から纏って膨らませる大きな布であり、弓矢や投石から身を守るのに使う。
新井白石は『本朝軍器考』において「母衣」と呼ぶ理由として用途と形状を胞衣になぞったとする説を述べている。一方、民俗学者南方熊楠は、典籍の「羽衣」の誤写であるとする説を述べている[1]。
脚注
参考文献
- 南方熊楠「国立国会図書館デジタルコレクション 母衣」『南方随筆. 続』岡書院、1926年、233-240頁 。
関連項目
外部リンク
胎盤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 05:48 UTC 版)
感染は通常腸管で起こるが、マクロファージに侵入し血流に乗って全身へ広がることができる。このとき宿主が妊娠していると、胎盤を経由して胎児に伝染する場合がある。伝染のリスクは感染時期によって異なり、妊娠初期の感染では低率で、しだいに増加し妊娠末期ではリスクは70%に達する。ただし、胎児の症状は感染時期が早いほど重篤になる。
※この「胎盤」の解説は、「トキソプラズマ症」の解説の一部です。
「胎盤」を含む「トキソプラズマ症」の記事については、「トキソプラズマ症」の概要を参照ください。
胎盤
「胎盤」の例文・使い方・用例・文例
- 有胎盤哺乳動物
- 細胞の分化が起きる有胎盤哺乳類の胞胚
- 子宮壁の胚盤胞の移植の後、栄養芽層は2枚の層、絨毛膜と胎盤に分かれる
- 胎児の絨毛膜から突き出て、胎盤形成する母親の子宮組織と結合する小型絨毛の1つ
- 胎盤によって起きる、またはそれを持つ、またはそれに関する
- 単孔類と有袋類以外のすべての哺乳動物が有胎盤哺乳類である
- 胎盤を通して、または、により起こるさま
- 栄養分の経胎盤の通路
- 胎盤がないさま
- 単孔類と有袋類は無胎盤の哺乳動物である
- 胎盤を持つ哺乳動物
- 様々な大型有胎盤哺乳動物の子、例えば、クジラ・キリン・ゾウ・バッファロー
- 齧ることに特化した一対の常に成長する門歯を持つ比較的小さな胎盤性の哺乳類
- 各足に奇数の指がある蹄を持つ胎盤哺乳類
- 各足に偶数の機能的な足指のある蹄を持つ胎盤哺乳動物
- 霊長類の中の有胎盤哺乳類のどれか
- 脳下垂体前葉と胎盤によって分泌されるホルモン
- 胎盤と胎児を結ぶ膜状の管
- 赤ん坊が生まれた後子宮から排出される胎盤と胎膜
- 胎盤の胚珠の、また卵巣の胎盤の配列
胎盤と同じ種類の言葉
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