こつ‐ばん【骨盤】
骨盤
骨盤
【英】:Pelvis
骨盤を形づくる骨は左右の寛骨とされらの間にある仙骨ならびに尾骨とである。寛骨は腸骨、坐骨および恥骨の3個の骨が合して1つの骨となったもので、胎生期から少年期までは軟骨によって結合されているが、16~17才頃に骨化して完全にくっつく(骨結合)。これら3つの骨がY字型に合するところは股関節の関節窩に相当し、寛骨臼といわれ、臼のような形に凹んでいる。仙骨は5個の仙椎が癒合して1つの骨なったものであり、また尾骨も3~6個の小さい尾椎がくっついて1つの骨になったものである。さて、左右の寛骨は前の方では線維軟骨によって結合(線維軟骨結合)されており、恥骨結合とよばれる。後ろの方では寛骨の茸状面と仙骨の同じ名の面とが仙骨関節によって結合される。
仙腸関節は関節という名がついているけれども、向かい合う関節面の形や大きさがほぼ同じで、そのうえ関節包は狭く、且つ4つの短いが、強い仙腸靱帯により結びつけれているので、ほとんど動かない(半関節)。
骨盤は大骨盤と小骨盤とに区分され、その界には分界線がある。分界線は岬角(第5腰椎と仙骨の結合するところで、前下にとびだしている)、腸骨の弓状線、恥骨櫛および恥骨結合の上縁を結ぶ線の事で、その囲む面は平面に近い。
大骨盤は広く、浅い鉢のような容器で、腹腔の下部に位し、腹部内臓を容れる。外側には腸骨翼があり、後ろには仙骨の上端があるが、そのほかに第4、5腰椎と腸骨稜との間に張る腸腰靱帯もまた後壁をなす。しかし前は開放されている。また上前腸骨棘と恥骨結節との間には鼡径靱帯があり、これと腸骨前縁との間を腸腰筋や血管が通る。小骨盤は短い円筒状で、骨盤腔の中に骨盤内臓を容れる。ふつう骨盤といえば小骨盤(狭義の骨盤)だけをさすが、大骨盤を含めた広義の骨盤は骨格の中でも性差の最もはっきりした部分で、産科学で重要視される。
小骨盤の前壁は恥骨、両側壁は坐骨と腸骨の一部でつくられる。前外側壁には閉鎖孔があり、閉鎖孔のところだけを残して閉鎖膜が張っており、筋のつき場所となる。後壁は仙骨と尾骨でつくられるが、大部分は骨のないところで、ほぼ縦に走る仙結節靱帯と、その前でこれと交叉するように横に張る仙棘靱帯の両者がここを補っている。大と小の坐骨切痕は仙結節靱帯によりそれぞれ大と小の坐骨孔にわけられる。そして大坐骨孔は梨状筋(仙骨前面から起こり、大転子につく)が骨盤の外へ出る通路をなし、またこの孔の中で梨状筋より上の部分を梨状筋上孔といい、上臀神経と同名の血管が通る。下の部分を梨状筋下孔といい、坐骨神経、下臀神経と同名の血管、陰部神経と同名の血管が通る。また小坐骨孔は内閉鎖筋(骨盤の内面)で、閉鎖膜とそのまわりから起こり、大転子につく)の腱が骨盤の外へ出る通路をなす。
小骨盤の入口は分界線によって囲まれ、小骨盤の出口は坐骨結節、恥骨下縁および尾骨の下端を結ぶ凸凹の線によって境される。なお骨盤の入口と出口の前後径の各中点を通る前に向かって凹な曲線を骨盤軸といい、分娩のとき胎児の頭が通る道(産道)の軸をなす。恥骨結合の下部は恥骨価格といわれ、男では角度が急であり、女では角度が鈍く弓状をなすので、恥骨弓と呼ばれる。骨盤の出口をふさぐ軟部組織として前上に尿生殖角隔膜と深会陰横筋がある。これらを男では尿道、女では尿道と膣が貫く。また後ろ下には肛門拳筋があり、内閉鎖筋の筋膜の一部(腱弓といわれ、特に丈夫になっている部分)から起こり、漏斗上に肛門に付く。骨盤は全身の骨格のなかで性差の最もはっきりした部分で、特に目立つのは小骨盤腔(狭義の骨盤腔)が女では男よりもひろく、たけが低いことであるこれは分娩ということを考えれば当然である。
Pelvisはギリシャ語のpelisに由来するラテン語で、ローマ時代には縁がややめくれた広口の深い容器を意味した。骨盤のことをpelvisというようになったのは16世紀の末である。
[臨床]骨盤の分類として骨盤上口はとくに女性において分娩の進行形と関係があるので、臨床的に重要である。女性骨盤は、形状によって、次の4基本型に分けられている(コールドウェル-モロイの分類Caldwell-Moloy classification)。しかし、実際には混合型もあって、明らかに分類出来ない場合も多い。①女性型骨盤gynecoid pelvisは女性骨盤の特徴をもつ代表的なもので、上口の形状は円いが、横径は前後径より若干大きい。恥骨下角は鈍角である。約40%。②男性型骨盤android pelvisは上口はハート形、骨盤腔は漏斗状で男性骨盤に似ている。15~30%。③類人猿(縦長)型骨盤anthropoid pelvisは上口は前後径が横径より大きく、前後方向に長軸をもつ楕円ないし卵円形を呈する。骨盤腔は深い漏斗状、恥骨下角は小さく鋭角に近づく。20~40%。④扁平型骨盤platypelloid (flat) pelvisは上口の横径はほぼ正常であるが、前後径は比較的小さい。約2%
骨盤
骨盤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/19 20:26 UTC 版)
恥骨前部に前恥骨(袋骨)を持つ。この骨は、初期群を除いた真獣類では失われている。
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「骨盤」の例文・使い方・用例・文例
- 腹部(または骨盤の)ひれは、四足獣の後ろの手足と一致する
- 臀部が母の骨盤出口で現在である胎児の位置
- 膣からクルドスコープを差し込んで行う、女性の骨盤の器官の内視鏡検査
- 体腔(骨盤のようなもの)の中の臓器の外科的切除
- 鳥のような骨盤を持つ絶滅した陸生のハ虫類:鎧をつけた恐竜(装盾竜)
- 鳥のような骨盤を持つ草食恐竜
- クロコダイルのような三つに分かれ尖った骨盤を持つ草食性または肉食性恐竜
- エロティックに踊る、または骨盤を前に上向きに押し出して踊る
- 官能的に誘うように骨盤を回転させて踊る、しばしば1人のパートナーと、足を絡ませるように接触しながら
- 細長い魚で、腹びれと骨盤帯が欠けているか縮小している
- 骨盤の、または、骨盤に関する
- 骨盤の検査
- 骨盤の炎症
- 腰のくびれと尻の間の骨盤の後部の、腰のくびれと尻の間の骨盤の後部に関する、または、腰のくびれと尻の間の骨盤の後部の近くの
- 女性の骨盤組織を視覚的に検査するための特殊な内視鏡
- 骨盤計測を実行するための測定器
- 骨盤の半分を形成する大きな朝顔形の骨
- 骨盤の後ろの一部を形成する5本の融合脊柱からなるくさび形の骨
- 骨盤と脚に血液を供給する大動脈の1つ
- 内腸骨動脈から始まり、骨盤筋と骨に血液を供給する動脈
骨盤と同じ種類の言葉
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