ESAの探査機、木星衛星の海へ
氷に覆われた大型の木星衛星を探査するJUICE計画が、欧州宇宙機関(ESA)の次の大規模ミッションに選ばれた。これは、地球外生命の兆候を探す人々にとって、とりわけ実りの多いものになるかもしれない。
木星の衛星エウロパの氷に覆われた表面。NASAの宇宙探査機ガリレオが撮影。
Image courtesy U. Arizona/NASA
ESAは5月2日、探査機Jupiter Icy Moons Explorer(JUICE)を正式に承認したと発表した。2022年に木星へ向けて打ち上げる計画だという。
JUICEは、ガリレオ・ガリレイが17世紀初めに発見した木星最大の3つの衛星、ガニメデ、カリスト、エウロパを回る予定だ。これまでの調査から、これらの衛星は、氷に覆われた表面の 下に液体の海を持つ可能性が示唆されており、そこに生命が存在することも考えられる。
JUICEはまた、木星の大気と磁場を継続的に観測し、この巨大ガス惑星と衛星の相互作用を追跡調査するという。
「ヨーロッパが単独で巨大惑星を探査するのはこれが初めてとなる。われわれにとって喜ばしいことだ」と、ESA科学プログラム委員会の委員長を務めるリシャール・ボンヌヴィル(Richard Bonneville)氏は述べている。
アメリカ、カリフォルニア州にあるNASAジェット推進研究所(JPL)の惑星科学者ケビン・ハンド(Kevin Hand)氏は、ESAがJUICEミッションを選定したことに「大きな興奮を覚える」と話す。
「JUICEは、地球以外の惑星の海を調査する初の無人探査機となる。ガニメデとエウロパは、いずれも氷殻の下に液体の海を持つと考えられる。そして地球の生命を参考にするなら、通常、液体の水があるところには、生命が見つかるものだ」と、ナショナル ジオグラフィック協会のエマージング探検家でもあるハンド氏は述べている。
◆氷殻の内部を覗く
JUICE探査機は、フランス領ギアナにあるESAの発射基地から打ち上げられ、2030年に木星系に到達する予定だ。
ESAでは、太陽電池を動力とするこの探査機に、調査用の機器一式を積み込み、高解像度画像のほか、各衛星の化学組成、磁場環境、表面の地形に関するデータを収集する計画だ。
約3年間に及ぶミッションにおいて、JUICEはエウロパへのフライバイ(接近通過)を2度行い、将来の探査(おそらくは着陸機によるミッション)に適した場所を見つけるため、エウロパの氷殻を調査するという。
続いてカリストへのフライバイを10回あまり行った後、2032年に探査機はガニメデの周回軌道に入り、この木星最大の衛星を1年近くかけて調査する計画だ。
NASAのハンド氏によると、「ガニメデとエウロパの氷殻は、その下にある海を覗く“窓”の役割を果たす」という。地球の北極と同様に、表面の氷は、その下にある海の水からできている可能性が高いため、氷殻を調べることは、液体の水の化学組成に関する情報を得ることにつながる。
JUICEが搭載するレーダーを使えば、さらにその下まで覗くことが可能だ。「氷を貫通する
レーダーは、惑星科学者にとって、妊娠中の女性に用いる超音波のようなものだ。レーダーによって氷殻の中を見ることが可能になり、もしかするとその下の、海と氷の境目まで観測できるかもしれない」とハンド氏は述べている。
>>2辺りに続く
Brian Handwerk/National Geographic News May 7, 2012
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20120507002&expand#title
◆生命の兆候を求めて
木星の衛星に、われわれの知るような生命体が存在するとすれば、JUICEは何らかの生物活動の兆候を発見できるかもしれない。JUICEの搭載機器は、炭素の存在、気温、気圧、
その他の要素を、地球の生命を存在可能にしている諸条件と比較することで、木星の各衛星の生命居住可能性を評価する。
さらには、木星それ自体も、太陽系外の恒星の周囲で見つかっている他の巨大ガス惑星の手がかりとなる。JUICEが木星系の形成と進化に関して、これまで知られていなかった情報をもたらすことは、太陽系外の木星型惑星に生命が存在する可能性を評価する上で役立つ。
例えば、「地球と金星は大きさも組成もほぼ同じだ。しかし、地球には磁場があって地球を
太陽風から保護しており、生命が発生し、保護される上で不可欠な役割を果たしているのに
対し、金星は磁場を持たない」とESAのボンヌヴィル氏は話す。
木星系の場合、「ガニメデは磁場を持つが、他の衛星は持たない。なぜか? そのようなことをわれわれは解明したい」とボンヌヴィル氏は述べている。「地球の場合、磁気を帯びた中心核が動くことで磁場が生み出される。氷に覆われた木星衛星の場合も、(おそらく)一方は活動する中心核を持ち、他方にはそれがないという同じ理由によって、磁場の有無が分かれている可能性がある」。(本文終わり)
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