トークショーのご報告
前々回お知らせした「橙書店」開催の鈴木るみこさんとの“おべんとトーク”、
おいでになれなかった方から
どんな状況だったのかのお訊ねがいくつかあって、
今回はその報告です。
10月18日当日は
本番前にとりあえずカフェ「オレンジ」で打ち合わせ。
ワインを飲んで緊張をほぐしつつ、
毎日お弁当作ってくれる人となら結婚してもいいな、とか、
今までで一番美味しかったお弁当は、とか、
つい口にして、
いけない、いけない、今ここでお弁当話はしちゃいけない、と
慌てて封印しました。
今盛り上がっては本番が二番煎じになりかねませんからね。
いよいよトークが始まりました。
進行役は「クウネル」編集長の戸田史さんで、
「クウネルが創刊したとき“エブリデイ・マイ弁当”というタイトルで始まった連載が
もう10数年続いて・・・」とクウネルお弁当隊の歴史から紹介。
定員30名の予定でしたがそれ以上においで下さり、
ドア付近のほか正面ロフトの階段にも腰を下ろしていただきました。
中央にお座りのシルバーな男女は私の小学2年のときのクラスメートのお二人で、
面白がって来てくれたとのこと。
トーク終了後お話ししたのですが、
「小2のあなたをよく覚えている、今と変わらない」とおっしゃるのです。
冗談が過ぎますよ、ですが、
しかし私は当時のことは失礼ながらほとんど覚えていません。
恐縮すると、
「いる、いる、そういう人はいるよ」と笑って済ませてくれました。
すみません、
でももう、忘れませんよ。
「今回の『明日も私たちのおべんとう』は3冊目で、
その前に2冊でていまして」と説明する鈴木るみこさん。
まずは今回の本の中から
お互い一番食べてみたいお弁当をあてっこしましょうということに。
「じゃあ、私から先にるみちゃんのを当てるわね」とヨシモト。
「これじゃない?」と示すと、
「あれ、どうしてわかるんですか?」とるみちゃん。
曲げわっぱのお弁当箱に、
焼き塩鮭、がんも煮、なすの田舎煮、塩麹入り卵焼き、
ゆでいんげん、ごま味噌、黒米入りごはんが
整然と入っています。
しぶいですねー。
1週間のお弁当が紹介されていて、
そのどれもが
見かけは地味でも中身は滋味深い”ジミベン”で、
いかにもるみちゃん好みというか。
作り手はお弁当歴13年(取材時)という羽部律子さん(35歳・設計事務所勤務)。
早く帰宅した夜や日曜日にまとめ作りや下ごしらえなさるという。
塩麹やお好み味噌などの手作りの発酵食材を多用されて
地味でもメリハリの利いたお弁当メニューです。
「じゃあ、ゆみさんの当てますね」とるみちゃん。
「これじゃないですか?」とるみちゃん。
「あ、もちろん、それもいいなと思っていますよ」とヨシモト。
このお弁当の作り手はアズマ カナコという方(34歳)で
省エネ生活研究家でいらっしゃいます。
現在は冷蔵庫のない暮らしを実践されており、
そのモットーは、
食材にしろなんにしろ「生かしきる」「ムダを省く」「あるものでなんとかする」。
お弁当のおかずは残りものやあるもので工夫。
ふつうなら捨てる部分もすみずみまで生かして作っておいでです。
たとえばこの四角いお弁当のとうもろこしごはんは
実を削いで残った芯からだしを取り一緒に炊き込んだもの。
皮は1枚ずつ乾かして、
ごはんとおかずの仕切り、バランに使っておられる。
「でも私の一番はこれなんです!」と
みなさんにページを開いてお見せしているのは
飾り気も何もない超シンプルな“丸干し弁当”。
片口いわしの丸干し5本、きゅうりの漬け物、ねぎ入り卵焼き、ごはん、
という私にとって禁断の果実に近い魅力のお弁当です。
そうなのです、丸干しはなぜか5本と決まっている!
店でも家でもお弁当でも。
この作り手は加藤茂雄さん(49歳・医師)。
いかにも男の弁当ですね。
加藤さんおっしゃるに、
「とにかく白いごはんが好きだから、ごはんのおかずになるものを詰めているだけ」
であって、その定番はいわしの丸干しと塩鮭なのだそう!
なんと、まあ、
私と好みが似ているというか、同じなのでしょうか。
魚のわたが好きだから丸干しなんて最高、とおっしゃるし、
焼くと白い粉が吹くほど塩のきいた昔の塩鮭は
「うまかったんだよねえ」ともおっしゃるし、
御意!御意!御意!
先生、御意にござりまする!
「おべんと作らない主義」の人間が、
これなら作ってみようかとマジで考えたほど御意で。
しかし、丸干しには失敗談がありまして、と
昔の苦い思い出を打ち明けてみなさんの笑いをかってしまいました。
話はこういうことです・・・・
10年ほど前、区の検診で骨密度検査を受けたらドクターから
「このままじゃあと数年であなたは骨粗鬆症になりますよ」と言われたヨシモト、
カルシウム摂取につっぱしり、
毎日毎日、
小松菜、ちりめんじゃこ、そしていわしの丸干し5匹を食べ続けたわけなのです。
そして自信満々で迎えた一年後の検診、
結果は再びドクターの眉をひそめさせることとなりました。
血液検査のガンマーだかなんだかの数値が異様に高いのです。
「これはアル中おやじや超グルメおやじにしか出せない数値だ、
いったいどうしたんですか?!」とご叱責。
で、食事内容を話したら
みるみるドクターの顔が「バカか?」という色に染まって行って、
最後おっしゃるに、
「ヨシモトさん、何にでも限度というものがあるんですよ。
丸干しとかじゃことかはたとえ小さくても一つの命ですよね、
じゃこを一口食べるとき、いったいいくつの命を胃袋に収めていると思いますか?
あれらは、山のようにとか毎日とか食べるものではありません。
強すぎます、身体が壊れてしまいます」ということだったのです。
するとるみちゃん、言いにくそうに「実は・・・」と笑って
曰く、
「雑誌の記事を本にまとめるときは取材してから何年も経っているので、
相手の方にもいろいろ変化が起きているんですね、
たとえば愛妻弁当作っていた人が離婚してもう作らなくなったとか、
転職してお弁当が要らなくなったとか、結婚して環境が変わったとか。
この加藤さんはお医者さんですけど、
実は身体をこわされて、もうお弁当作っていらっしゃらないのです。
あ、今は回復されていますけど」。
やはり!
と驚きました。
ドクターの言ったとおりですものねー。
うう〜ん、“丸干し”、やはり侮れませんね。
でも好きなので止められない。
現在は連日ではなく1週間に2度ほど5本づつ食べています。
トークショーも1時間半が過ぎました。
最後にみなさんに「お弁当作っていますか?」と聞いてみました。
半分ほど手が上がりました。
お弁当自作派、けっこう多いんですね。
私は自分では“おべんと作らな主義”です。
そのわけは
“お弁当の楽しみは蓋を取るまで中身が判らないことにある”からで、
人に作ってもらうことこそお弁当の醍醐味と思うからで、
そう思いませんか? と言うと、
みなさんから返ってきた答えは、
「朝自分で作ったお弁当が
食べる頃にはクシャッとなったりベシャッとなったり、
ごはんに味が染みたりして、見た目も味も変化しているのは楽しい」、
「自分で作ったからこそ食の安全を感じられていい」、
「夜準備して朝作るからそんなに手間暇かからないし、作るという行為が好き」
などなどで、
誰かに作ってもらうのが好き派は意外なことに皆無でビックリしましたが、
かくしてトークは無事終わりました。
ご参加の皆様、ありがとうございました。
トーク終了後、本にサインするるみちゃん。
この日は10数冊買っていただいたとか。
編集作業の質問にも丁寧に答えて、談笑して、
何かしら奥ゆかしいるみちゃん。
カフェのほうでは
京都から応援に駆けつけてくれた
オオヤコーヒ焙煎所のオオヤミノルさんが美味しいコーヒーを
淹れてくれていました。
何度見ても、何度教えを請うても、
オオヤさんの“おいしいネルドリップのおとし方”は
なかなか、なかなか、真似できない。
見ているとき、話を聞いているときは、判った気がするのです。
けれど家で一人で淹れるとき、
同じような微妙な手の動きが取れませんのです。
オオヤさんは
「それはヨシモトさんがガバッとした性格だからやないの」とおっしゃいます。
ガバッとした性格?
それ、どういう意味でございますの?
何もかも終わったあと、
「橙書店」「オレンジ」の久子さん、アシストの有希子ちゃんの
手作りお弁当がテーブルに並びました。
トークショー出演の打診があったとき、「終わってお弁当作ってくれるなら」という条件を出しておいたのです。
わ〜い、これぞ馬に人参ですね。
久しぶりのお弁当、みなで美味しくいただきました。
ごちそうさま!
本の中のカット以外
写真はすべて写真家の齋藤圭吾さんが撮ってくれたのですが、
使用カメラは私のボロカメなのです、
ゆえに粒子が粗くてもうしわけありません。
おいでになれなかった方から
どんな状況だったのかのお訊ねがいくつかあって、
今回はその報告です。
10月18日当日は
本番前にとりあえずカフェ「オレンジ」で打ち合わせ。
ワインを飲んで緊張をほぐしつつ、
毎日お弁当作ってくれる人となら結婚してもいいな、とか、
今までで一番美味しかったお弁当は、とか、
つい口にして、
いけない、いけない、今ここでお弁当話はしちゃいけない、と
慌てて封印しました。
今盛り上がっては本番が二番煎じになりかねませんからね。
いよいよトークが始まりました。
進行役は「クウネル」編集長の戸田史さんで、
「クウネルが創刊したとき“エブリデイ・マイ弁当”というタイトルで始まった連載が
もう10数年続いて・・・」とクウネルお弁当隊の歴史から紹介。
定員30名の予定でしたがそれ以上においで下さり、
ドア付近のほか正面ロフトの階段にも腰を下ろしていただきました。
中央にお座りのシルバーな男女は私の小学2年のときのクラスメートのお二人で、
面白がって来てくれたとのこと。
トーク終了後お話ししたのですが、
「小2のあなたをよく覚えている、今と変わらない」とおっしゃるのです。
冗談が過ぎますよ、ですが、
しかし私は当時のことは失礼ながらほとんど覚えていません。
恐縮すると、
「いる、いる、そういう人はいるよ」と笑って済ませてくれました。
すみません、
でももう、忘れませんよ。
「今回の『明日も私たちのおべんとう』は3冊目で、
その前に2冊でていまして」と説明する鈴木るみこさん。
まずは今回の本の中から
お互い一番食べてみたいお弁当をあてっこしましょうということに。
「じゃあ、私から先にるみちゃんのを当てるわね」とヨシモト。
「これじゃない?」と示すと、
「あれ、どうしてわかるんですか?」とるみちゃん。
曲げわっぱのお弁当箱に、
焼き塩鮭、がんも煮、なすの田舎煮、塩麹入り卵焼き、
ゆでいんげん、ごま味噌、黒米入りごはんが
整然と入っています。
しぶいですねー。
1週間のお弁当が紹介されていて、
そのどれもが
見かけは地味でも中身は滋味深い”ジミベン”で、
いかにもるみちゃん好みというか。
作り手はお弁当歴13年(取材時)という羽部律子さん(35歳・設計事務所勤務)。
早く帰宅した夜や日曜日にまとめ作りや下ごしらえなさるという。
塩麹やお好み味噌などの手作りの発酵食材を多用されて
地味でもメリハリの利いたお弁当メニューです。
「じゃあ、ゆみさんの当てますね」とるみちゃん。
「これじゃないですか?」とるみちゃん。
「あ、もちろん、それもいいなと思っていますよ」とヨシモト。
このお弁当の作り手はアズマ カナコという方(34歳)で
省エネ生活研究家でいらっしゃいます。
現在は冷蔵庫のない暮らしを実践されており、
そのモットーは、
食材にしろなんにしろ「生かしきる」「ムダを省く」「あるものでなんとかする」。
お弁当のおかずは残りものやあるもので工夫。
ふつうなら捨てる部分もすみずみまで生かして作っておいでです。
たとえばこの四角いお弁当のとうもろこしごはんは
実を削いで残った芯からだしを取り一緒に炊き込んだもの。
皮は1枚ずつ乾かして、
ごはんとおかずの仕切り、バランに使っておられる。
「でも私の一番はこれなんです!」と
みなさんにページを開いてお見せしているのは
飾り気も何もない超シンプルな“丸干し弁当”。
片口いわしの丸干し5本、きゅうりの漬け物、ねぎ入り卵焼き、ごはん、
という私にとって禁断の果実に近い魅力のお弁当です。
そうなのです、丸干しはなぜか5本と決まっている!
店でも家でもお弁当でも。
この作り手は加藤茂雄さん(49歳・医師)。
いかにも男の弁当ですね。
加藤さんおっしゃるに、
「とにかく白いごはんが好きだから、ごはんのおかずになるものを詰めているだけ」
であって、その定番はいわしの丸干しと塩鮭なのだそう!
なんと、まあ、
私と好みが似ているというか、同じなのでしょうか。
魚のわたが好きだから丸干しなんて最高、とおっしゃるし、
焼くと白い粉が吹くほど塩のきいた昔の塩鮭は
「うまかったんだよねえ」ともおっしゃるし、
御意!御意!御意!
先生、御意にござりまする!
「おべんと作らない主義」の人間が、
これなら作ってみようかとマジで考えたほど御意で。
しかし、丸干しには失敗談がありまして、と
昔の苦い思い出を打ち明けてみなさんの笑いをかってしまいました。
話はこういうことです・・・・
10年ほど前、区の検診で骨密度検査を受けたらドクターから
「このままじゃあと数年であなたは骨粗鬆症になりますよ」と言われたヨシモト、
カルシウム摂取につっぱしり、
毎日毎日、
小松菜、ちりめんじゃこ、そしていわしの丸干し5匹を食べ続けたわけなのです。
そして自信満々で迎えた一年後の検診、
結果は再びドクターの眉をひそめさせることとなりました。
血液検査のガンマーだかなんだかの数値が異様に高いのです。
「これはアル中おやじや超グルメおやじにしか出せない数値だ、
いったいどうしたんですか?!」とご叱責。
で、食事内容を話したら
みるみるドクターの顔が「バカか?」という色に染まって行って、
最後おっしゃるに、
「ヨシモトさん、何にでも限度というものがあるんですよ。
丸干しとかじゃことかはたとえ小さくても一つの命ですよね、
じゃこを一口食べるとき、いったいいくつの命を胃袋に収めていると思いますか?
あれらは、山のようにとか毎日とか食べるものではありません。
強すぎます、身体が壊れてしまいます」ということだったのです。
するとるみちゃん、言いにくそうに「実は・・・」と笑って
曰く、
「雑誌の記事を本にまとめるときは取材してから何年も経っているので、
相手の方にもいろいろ変化が起きているんですね、
たとえば愛妻弁当作っていた人が離婚してもう作らなくなったとか、
転職してお弁当が要らなくなったとか、結婚して環境が変わったとか。
この加藤さんはお医者さんですけど、
実は身体をこわされて、もうお弁当作っていらっしゃらないのです。
あ、今は回復されていますけど」。
やはり!
と驚きました。
ドクターの言ったとおりですものねー。
うう〜ん、“丸干し”、やはり侮れませんね。
でも好きなので止められない。
現在は連日ではなく1週間に2度ほど5本づつ食べています。
トークショーも1時間半が過ぎました。
最後にみなさんに「お弁当作っていますか?」と聞いてみました。
半分ほど手が上がりました。
お弁当自作派、けっこう多いんですね。
私は自分では“おべんと作らな主義”です。
そのわけは
“お弁当の楽しみは蓋を取るまで中身が判らないことにある”からで、
人に作ってもらうことこそお弁当の醍醐味と思うからで、
そう思いませんか? と言うと、
みなさんから返ってきた答えは、
「朝自分で作ったお弁当が
食べる頃にはクシャッとなったりベシャッとなったり、
ごはんに味が染みたりして、見た目も味も変化しているのは楽しい」、
「自分で作ったからこそ食の安全を感じられていい」、
「夜準備して朝作るからそんなに手間暇かからないし、作るという行為が好き」
などなどで、
誰かに作ってもらうのが好き派は意外なことに皆無でビックリしましたが、
かくしてトークは無事終わりました。
ご参加の皆様、ありがとうございました。
トーク終了後、本にサインするるみちゃん。
この日は10数冊買っていただいたとか。
編集作業の質問にも丁寧に答えて、談笑して、
何かしら奥ゆかしいるみちゃん。
カフェのほうでは
京都から応援に駆けつけてくれた
オオヤコーヒ焙煎所のオオヤミノルさんが美味しいコーヒーを
淹れてくれていました。
何度見ても、何度教えを請うても、
オオヤさんの“おいしいネルドリップのおとし方”は
なかなか、なかなか、真似できない。
見ているとき、話を聞いているときは、判った気がするのです。
けれど家で一人で淹れるとき、
同じような微妙な手の動きが取れませんのです。
オオヤさんは
「それはヨシモトさんがガバッとした性格だからやないの」とおっしゃいます。
ガバッとした性格?
それ、どういう意味でございますの?
何もかも終わったあと、
「橙書店」「オレンジ」の久子さん、アシストの有希子ちゃんの
手作りお弁当がテーブルに並びました。
トークショー出演の打診があったとき、「終わってお弁当作ってくれるなら」という条件を出しておいたのです。
わ〜い、これぞ馬に人参ですね。
久しぶりのお弁当、みなで美味しくいただきました。
ごちそうさま!
本の中のカット以外
写真はすべて写真家の齋藤圭吾さんが撮ってくれたのですが、
使用カメラは私のボロカメなのです、
ゆえに粒子が粗くてもうしわけありません。
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