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夏の終わりにビアガー電

”最大級の台風”と騒がれた台風15号の影響は熊本にも多少あり、
風が強いような・・・そうでもないような、
今にもスコールに見舞われそうな・・・そうでもなさそうな、
嬉しいような困ったような、
どこかしらざわざわと胸騒ぎがする
不穏な気配の8月27日の夜、
待望の「ビアガー電」に乗りました。

ビアガー電 出発
交通局の停車場で今宵の客を待つ「ビアガー電」♡♡♡


今や夏の風物詩とも言われ
熊本でローカルにヒットしている「ビアガー電」、ご存じですか?
7月から9月末までの夜、
ビアガーデン代わりに市電の車両を借り切って
飲み喰いしながら熊本市内を走り回ろう
という愉快なイベントで、
熊本市交通局が市電(路面電車)のPRのために
2006年から始めた夏期限定企画商品です。
ひと月前から予約受付が始まります。

貸し切りだから
友だち、家族、仲間、ご近所に声を掛け
ある程度の人数集めて申し込みます。
定員28名まで。
飲み物食べ物は持参です(ゆえに楽しい!)。

1日1便運行で
貸し出し&運行料金が1万5千円だから、
28名の場合は一人536円ほどで、
かなりお安い。
午後6時半、大江の市交通局車庫を出発し、
健軍町や上熊本を経由して
午後8時半に市交通局車庫に戻ってくる。
途中2回、トイレタイムで停車しますが
基本的にノンストップで街中を走り抜きます。

想像するだに楽しげなこのイベントは
東京にいた頃から知っていて、
ぜひ乗ってみたいと思っていたのですが、
暑い季節にさらに暑い熊本に帰る勇気がないまま月日が経ちました。
しかし昨年Uターンして
家や親のことなどで慌ただしく夏を迎え送ったあとで
ハッとそのことに気が付いて
「南阿蘇珈琲」のオーナー田中孝治さんにボヤいてみたのです、
来年こそビアガー電に乗ってみたいが知り合いが少ない自分は人集めできないなあ、と。
すると最高の答えが返って来たわけなのです。
「それはまかせてくださいよ。ぼくら毎年乗ってるんで。
 ぜひ来年ご一緒しましょう!」という素晴らしきお言葉が。

で、一昨日の8月27日がその”来年”なのでした。
ビアガー電は1日1車両の運転ですから
ひと月前の予約でもすぐにいっぱいになるそうです。
7月に田中さんが申し込んだ時点で8月はすでに満杯、
キャンセル待ちしていたところ運良くこの日が空いたとのこと。

当日は田中さんを巡る人々が集まりました。
圧倒的に女性が多いのはモテ男くんゆえの現象でしょうか。
私は東京時代からの知人で
3ヶ月前熊本にUターンした内田英喜さんを誘いました。
内田さんの年上のお知り合いに
退職して市電の運転士になられた方がいるそうです。
男のロマン?

皆さん仕事をお持ちですから平日のこの日は
スタートが6時半から7時に変更されていました。
それが正解。
6時40分を過ぎたあたりから三々五々
交通局の車庫前に”ビアガー”仲間が集まってきます。
みんな飲み物食べ物抱えて。
そして、見たまえ!
このビアガー電の窓の飾り付けを。
なかなかに気の利いた演出ではないですか!

ビアガー電 こんな車体で


本日酔っぱらいたちを乗せて2時間の運転を引き受けてくれる
熊本市電運転士の江頭伸治くん。20代、独身
ビアガー電 運転手はボクだ


そして車両内に入ると・・・
わお
いい感じじゃないですかー。

ビアガー電 車内



総勢22名(28名まで0Kだけどこのくらいが席にゆとりがあっていい、と田中さん)。
みなそれぞれに席に着き、
プオ〜ッと1音、ベルが鳴っていざ出発です。
ゆるゆると”我らの電車”が
車庫から通りへと進み出たところで全員で「乾杯!」。
運転士江頭くんは人好きのする好青年で
さっそく「エガちゃん」と親しみ込めて呼ばれており、
そのエガちゃんの嫌でも盛り上がる口調に乗せられ、
早くもこの時点で
車内のテンションは最高値へと至っております。

ビアガー電 総員22名



持ち込み分のビールやワイン、そして
「紅しょうが天・玉ねぎ天・ごぼ天」
「イカのリング揚げ」(本当はイカゲソ揚げが欲しかった)
「だだ茶豆の塩ゆで」
「たこ焼き」
「チーズ」
と自分好みの摘みが並ぶ窓辺です。

ビアガー電 流れゆく夜景

見慣れた街の景色が何故かロマンチックに見えるのは、
お酒を飲みながら、好物を頬張りながらの
日常とは異なる状況が
非日常の“旅情”のようなものを与えてくれているからでしょうね。
このムーディな気分を何とかお伝えすることができまいかと、
流れゆく景色を連写してみたのですが、
なにせ安手のデジカメなので・・・
どうですか? 伝わってます?

流れゆく夜景 2



ムードに酔っていたら早くも健軍町に到着。
ここが市電の東方面の終点です。
普段は長く感じる距離も
楽しいことをしているとアッという間に着くから不思議。
折り返しのこのあたりから車内では
皆それぞれに持参した
飲み物食べ物が飛び交い始めました。
わいわいと何とも愉快な晩餐風景に
酔いもいっそう回るというもので、
羞恥心も消え去ったらしく、
窓外を走る車の運転席に
やみくもに
手を振り続ける自分がいました。
反応としては、
ただただ訝しげに見返すだけのドライバー、
横顔が笑っているタクシーの運転手さん、
多いに手を振り返し
写真まで撮ってくれているオープンカーのカップルさん、
まったく“無視”のお父さん。
いろいろありですね、人生は。


電車が水道町、通町筋、熊本城前などの中心部に入る前から
「さあ、これからがメインイベントですよー!」
とエガちゃんがけしかけます。
で、みんないっせいに外に向かって手を振るつもりが、
意外や人影が少ないのです。
いつもなら人・人・人でごった返している
下通・上通の入口付近も人影まばら。
なんだか肩すかしくらったみたいでがっかりですが、
それでもしつこく手を振り笑顔をまき散らしていると、
ぽつぽつながら
外国からの旅行者や
サラリーマン風情、女子大生風情が手を振り返してくれました。
手を振り合ったからって何だってのさ、いったい?!
と問われたら返す言葉もないのですが、
とにかく何だか楽しいわけで。
というか、
自分が乗っているこの「ビアガー電」を外から見てみたい自分がいて、
しかしそれは不可能だから
外にいる人の反応にその答えを求めているような
自分勝手な喜びとでも言いますかしらん。


熊本の市電は繁華街の辛島町から
JR熊本駅方面へ行くのをA-Line、
北側のJR上熊本駅方面行きをB-Line
と2つに分かれて走ります。
「ビアガー電」は今のところB-Lineのみの運行で、
辛島町から先は
人影途絶えた古い町を上熊本駅へと進みます。
熊本市内の街灯は数年前からの節電対策により
明度を落とした薄暗いオレンジ色の灯になっています。
それが古い町並みをさらに古めかしく見せていて、
人っ子ひとりいない一角が
まるで映画のセットのように私には映り、
思わぬ情景に「へええ」と感嘆していると、
暗い夜空を背景ににょっきりと新幹線の線路が登場。
高架下には味気ない工事現場が続き
しばらくしたら上熊本駅に到着しました。
ここがB-Lineの終点で、
トイレタイムとなって全員降車。
当然記念撮影ですよね。

ビアガー電 上熊本駅到着


現在上熊本駅の保存を呼びかける動きがあります。
上熊本駅


駅舎のレトロな雰囲気にお似合いのレトロかわいい構内ポスター。
駅構内のポスター



上熊本駅で折り返して交通局の倉庫まで、
街中を通る戻りのコースがまだ残されてはいるのですが、
来年もみんなで来れますようにとここで全員集合の記念撮影をしてみました。
楽しい「ビアガー電」タイム2時間のうちの
1時間30分を充分に味わい尽くした証しの皆の笑顔です。

ビアガー電 記念撮影



 追伸 あまり個人的なことを書いてもしょうがないと思い
     ひかえていたのですが、
     ウチの仔猫たち生後4ヶ月半となりました。
     早すぎますよねえ、
     手のひらサイズだったのがもう大きいんです。
     現在むーたん2300グラム、
     すみれが2000グラム。
     2匹抱えるとずしりと重い。
     わずかひと月前までは私の両腕両腰に
     2匹でぶら下がっていたというに。
     で、近影をご覧下さい。
     もういっぱしの「猫」なんです。

この頃のむーたん
ときどきこういうすまし顔をするようになったむーたん。


この頃のすみれ
食いちぎった紙切れを付けたままのオテンバすみれ。


飛行機を見るのが好き
近頃は空飛ぶ飛行機を眺めるのが好き。

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