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「つばめ」と「ソニック」で小倉まで〜その①「つばめ」編

先日、といっても2週間ほど前になりますが、
びっこを引きつつ(右足小指骨折のため)小倉へ行って来ました。
小倉の北九州美術館分館にて2月12日まで開催の熊谷守一展へ行こうと、
九州新幹線“ビックリつばめ”のチケットを買ってしまっていたからです。
いや、逆か。
「つばめ」に乗るため熊谷守一展に目をつけた・・・
と言うのがホントのところで、
だから足の一、二本折ったからとてこのチケットを
紙くず同然にしてしまうのはぜったい嫌だ、
というケチな心が、
痛みと不自由さに打ち勝ちました。

熊本から小倉へ行くのにいちばん人気があるのは
高速バス利用らしいです。
片道3,200円(往復割引5,500円)とリーズナブルで、
2時間くらいで着くと聞きました。
もっと速く行きたければ、
九州新幹線「さくら」や「みずほ」利用ってテがあり、
こちらはたった1時間ほどで小倉に着きます。
忙しい人は助かりますね。

しかし私は忙しくもないし、
ただ単に「つばめ」に乗りたいだけだから、
新幹線ながら各駅停車の「つばめ」でゆっくり博多まで行くことにしました。
「つばめ」は博多止まりゆえそこで鹿児島本線に乗り換えて、
特急列車で小倉へ向かうというルート取り。
乗り換えが好きなのでわくわくです。
所要時間は「さくら」や「みずほ」利用の2倍掛かってしまいますが、
「つばめ」に乗る以上しかたない。

“ビックリつばめ2枚きっぷ”とは、
熊本─博多間の「つばめ」指定席2枚(一人で往復でも二人片道利用でもOK)に
JR博多シティ内アミュプラザでの買い物券1,500円分の引換券が
付いて料金5,500円という人気を集めるサービスチケット。
熊本─博多往復の「つばめ」自由席の通常料金が7,000円なのですから、
買い物券など使わなくてもこれは相当お得な気がします。
5,500円という値段は
高速バスの往復割引料金5,500円に対抗してのことでしょうね。

ということで2月初めの寒い朝、
熊本駅新幹線乗り場の2番ホームに立ちました。
博多駅や鹿児島中央駅に比べ
熊本駅のこの寂しさは何だろう・・・と、
ここに来るたび考えてしまいます。
乗降客数が少ないってこともその理由のひとつでしょうけど、
何かが決定的に抜け落ちている気がしてくるのです。
何かとは何か・・・楽しさか。
鹿児島中央駅はそりゃもう楽しいったらないものなあ・・・。
などと考えているうちに
熊本始発の800系「つばめ」が静々と入ってきました。
お、久しぶり!
細面で、あいかわらずのいいお顔。

びっくりつばめ


つるっと細身で軟弱な感じとか、
左右のライトを「目玉」に見せる遊び心とか、
ベレー帽のような深い臙脂色の頭部とか気に入っています。
他の新幹線がまき散らしている「どうだ、速いだろ!」
という威圧感がとことん見られない点がいいですね。

下は旅心をくすぐる楽しいマークです。

びっくりつばめ


「つばめ」の内部は両側2席で広々です。
窓には鬱陶しいカーテンの代わりに
木のブラインドがすっきりと収まっています。
熊本駅から博多駅まで所要時間は51分。
「さくら」や「みずほ」だと、
アッという間のたった33分で博多に着いてしまう。
座席に着き荷物を棚に上げ、
コートを脱いだり靴紐ゆるめたり目薬差したりなどしていると、
すぐに博多ってことになって、
また靴紐締めてコートを着て荷物を下ろしたりしなくちゃならない。
しかし「つばめ」は各駅停車でゆっくり進む。
のんびりと缶コーヒーなど飲みながら、
短編小説なら1、2話くらいは読めてしまう。
年を取ると“速い”よりこういうことが楽しくなります。

びっくりつばめ

九州新幹線「つばめ」は全線開通の去年の3月12日の前までは、
熊本の新八代駅と鹿児島中央駅の5区間を行ったり来たり走っていました。
“スピード”を売りにしていたそれまでの新幹線とは異なり
“楽しく快適な旅”がモットーで、
しかも見た目おしゃれな「つばめ」は新鮮で、
どうしても乗りたくて4年ほど前の鹿児島出張の折り、
用もないのに鹿児島中央から川内までの1区間を往復したことがあります。
鹿児島中央駅の新幹線乗り場バーカウンターで
“お好み組み合わせ「焼酎+さつまあげセット」500円”を購入し、
ウキウキと乗り込みました。
鹿児島中央にはそういう(バーカウンターのような)
旅行者が思わず寄りたくなるような
楽しい一角がいろいろ取り揃えてあるのです。
どなたの発想なのでしょう。
柔らかな遊び心がうらやましい。

翻って熊本駅ですが、
ここにはそういう遊び心はありません。
“新幹線開通”は
次世代駅作りの絶好のチャンスだったのに、
いったいどなたの構想なのか、
(肥後もっこすのオヤジの案と私は推察しています)
現在のところ、
従来通りの、何の変哲もない、
無味乾燥な新幹線構内で終わっている。
キオスクに土産品を並べるだけじゃダメですよぉ〜。
何でもかんでも“くまモン”頼りじゃダメですよぉ〜。
もっと何かアイデア絞ってさぁ、
若い感性をどんどん取り入れてさぁ、
・・・なんてことを考えていたら、
早くも博多駅到着のアナウンスが流れてきました。
ビル群が見え、
それらを縫うように走る高速道路も見えて、
わっ、都会じゃないかー、と思わず起立。
こんな光景、久しぶりなので、つい。
そういえば心なしか空が狭いように感じます。
いやあ〜、博多は都会ですねえ。
電車の乗り換え、大丈夫だろうか・・・。


    ─────── その②「ソニック」&小倉編へ続く ──────

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「つばめ」と「ソニック」で小倉まで〜その②「ソニック」&小倉編

51分間「つばめ」を楽しみ、博多下車。
博多駅も混雑は東京並みでした。
人もてんこ盛りだしホームも腐るほどあって、
ヒョコヒョコ歩きのびっこ引きは
ホームtoホームがかなり大変。
やっとの思いで鹿児島本線上りホームに到着して息を整えていたら、
電光掲示板に
大分方面の次の特急列車は「ソニック」との表示。
足に響かないようそっとですけども小躍りしましたよ。
「ソニック」ですかあ、
久しぶりだなあ、うれしいなあ。

博多〜大分間(ときには佐伯まで)を走るこの列車には、
“青”か“白”かとときめく“お楽しみ”が付随しています。
全身メタリック・ブルーに染まってSF的でカッコいいのが
883系の通称「青いソニック」です。
車内デザインも未来派趣向で、
トイレや洗面所のあるデッキブースは何と全体が玉虫色に輝いておるのです!
ヘッドレストの着いた座席もかなりSFチックだし、
前に乗ったときはあまりの楽しさに興奮して、
座っていられず、
車両の隅々までを観察して回りました。
でも“白”は未踏のままです。
ゆえに今回“白”ならいいなと願いながら、
ちょいと周囲を見渡したのです。
すると、まあ、何とも、ハア・・・
贅沢すぎる光景が目の前いっぱいに広がっているじゃないですか。

すぐ先のホームには、
純白ボディもエレガントな特急「かもめ」(博多〜長崎)が
白い羽根を休めていました。
その向こうのホームには、
特急「ゆふいんの森」(博多〜由布院・大分)が
女優ロミー・シュナイダーの愁いに満ちた瞳を思わせる緑色の長い身体を
優雅に横づけて佇んでいました。
これだけでも何たる幸運!のその上に、
線路のはるか向こうから私が乗るべき特急列車「ソニック」が、
少しずつ姿を膨らませながらやって来るではないですかッ!
そしてその色は“白”じゃないですかッ!
「白いかもめ」に「ゆふいんの森」に「白いソニック」。
3つの花形列車を同時に目に出来るとは、
ゴージャスすぎて頭がクラクラしてきましたよ。


885系の通称「白いソニック」。
宇宙戦士のような「青いソニック」に比べ女性的な魅力が人気。
白いソニック


乗車口付近の車名天井灯。ひかえめなサイズと書体がおしゃれに見える。
白いソニック


案内灯も小さくひかえめ。
白いソニック



デッキブースの照明もいい感じ。
白いソニック


下の写真はデッキブースの窓に付いている外向きカウンターです。
自由席きっぷで席が取れなくても、
ここで景色を眺めながら、
飲み物を飲んだり、
本を読んだり、
何なら手紙も書けてしまう。
席に縛られない自由さが楽しいので、
私は博多から小倉までの44分間を
このカウンターに寄りかかって景色を眺め、
鼻歌まじりで過ごしました。
足下まで窓になっているから
デッキとはいえ開放感があります。
自分の部屋のようにすっかりリラックスできます。
反対側のまるでバーのような板張り壁には
小さな腰掛けがついていて、
おじさまがひとり腰を下ろされ、
しばしの間、
物思いに耽っておられました。

白いソニック


以上の列車のデザインは
すべて水戸岡鋭治さんの手になるものです。
JR九州の列車は水戸岡さんデザインが多く、
さまざまに特徴があって楽しいので、
「乗るだけでも」
という私のような”鉄男(鉄子)”手前の列車好き人間が乗り込み、
九州のあちらこちらを旅することに繋がっています。
島原鉄道が廃線になったのはちょっと残念ですが、
JR九州がなかなか頑張り、
今や九州は鉄道王国の感ありです。

ということで、やっとのこと到着した小倉の町。
長い旅路の気がしましたが
けれど所要時間は2時間弱。
費用と労力は余分に掛かったとはいえ、
時間的には高速バスとそれほど変わりなく着けました。

小倉は好きな町です。
一時は移り住もうかとさえ思いました。
町のサイズがいいですね、
小さくて。
なのに文化度は非情に高い。
映画、演劇、音楽の
発進力も吸収力も普及度も、
九州ではダントツと思います。
(残念ながら熊本はこの点かなり遅れてマスね、しょぼしょぼしょぼ)
そういう町なので思い切り歩き回りたいところですが、
でも今日は寒い上にびっこ引きだから
目的地に行くだけにして、
広い紫川に架かる勝山橋をとぼとぼと渡りました。
写真右手前に見えているのが目的地の
劇場、映画館、美術館、大学、新聞社、
そして衣食住の店舗が入った「リバーウォーク北九州」です。

リバーウォーク


紫川の対岸から見た「リバーウォーク北九州」全景。
といっても私のカメラに全景は収まりきれず、
このカットはパンフレットの表紙の写真を撮ったもの。
色も形もばらばらな建物の集合体なのに
美しい調和を見せているから不思議。

リバーウォーク



小倉行きのもうひとつの目的、熊谷守一展は、
その4階と5階にある「北九州市立美術館分館」で行われていました。
熊谷守一の絵の大胆な輪郭線と鮮やかな色彩は昔から好きで、
もう30数年も前の話になりますが、
池袋の西武美術館での展覧会、
その後の東武百貨店での展覧会と、
よく出かけては見入ったものです。
で、現在、私は
心の襞と毛並みの柄が異様に複雑な三毛猫と暮らしていて、
確かそっくりな三毛猫を熊谷画伯の絵に見た気がして、
それを確かめに来たのでした。
はい、ほら、ありましたよ、三毛猫画。
もう一枚の方がウチのには似ているのですが
まさか絵そのものを撮るわけもいかず、
このカットはポストカードを撮影したものです。
やはり、な〜んか、いいですねー。

リバーウォーク




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