Marty Ehrlich / Line on Love
Label: Palmetto Records
Rec. Date: Dec. 2002, Jan. 2003
Personnel: Marty Ehrlich (as, bcl), Craig Taborn (p), Michael Formanek (b), Billy Drummond (ds)
1. Hymn
2. Like I Said
3. Line on Love
4. Julian's Theme
5. Turn Circle and Spin
6. Solace
7. St Louis Summer
8. The Git Go
Don Grolnick / The London Concertで少し触れたマルチリード奏者Marty Ehrlichのワンホーン・カルテットのアルバムです。
Marty Ehrlichは、参加メンバーが面白そうだったら聴いてみようか・・・私にとってはそういうポジションのミュージシャンです。Marty Ehrlichが大フィーチャーされているわけではありませんが、彼の師匠Julius Hemphill名義のサックス・アンサンブルによる「Fat Man and the Hard Blues(1991、Black Saint)」と「Five Chord Stud(1993、Black Saint)」の2枚は私のお気に入りです。
このアルバムのリズムの三人のうち、ドラムのBilly Drummondは少々「異質」に感じますが、過去にMarty Ehrlichのリーダーアルバム「Song(1999、Enja)」で共演しています。
演奏される楽曲は全てリーダーのオリジナルです。
静かなピアノのイントロが導く"Hymn"(賛美歌)と題された穏やかな曲からスタートし、このアルバムを支配する「優しさ」のサウンドに聴く者を引き込みます。ところどころでCraig Tabornらしい「尖り」を垣間見せる場面もありますが、アルバム全体を通じて、いつもは強面のこのピアニストは、牙を隠して優しくリーダーに寄り添っています。
Marty Ehrlichは1~5と7曲目はアルト、6、8曲目はバスクラを吹いていますが、アルト、バスクラともに楽器が実に「鳴って」いて、なかなかに聴かせます。この深いトーンは彼のリード奏者としての際立つ個性だと思います。特に6曲目の不思議な雰囲気のバラードでのバスクラのプレイは秀逸です。
また、リーダーの作る楽曲はどれもよく練られていて、彼が元々持っているであろう「前衛性」というか「攻撃性」がしっかりと消化されて、知的で実に味わいあるメロディに結実している、そんな印象を受けます。このアルバムを聴いていると、演奏される楽曲の魅力というのはとても大事な要素だな、と今更ながらに思ってしまいます。
リズム陣では、「異質」と思ったドラムのBilly Drummondのプレイがとても気が利いていて、バンドのサウンドをより「優しい」ものとするのに間違いなく一役買っています。
マルチリード奏者として、また作曲家としてのMarty Ehrlichの実力が100%発揮され、リズム陣もリーダーの意図を充分に理解したプレイで支えている、味わい深いワンホーンの力作です。
Rec. Date: Dec. 2002, Jan. 2003
Personnel: Marty Ehrlich (as, bcl), Craig Taborn (p), Michael Formanek (b), Billy Drummond (ds)
1. Hymn
2. Like I Said
3. Line on Love
4. Julian's Theme
5. Turn Circle and Spin
6. Solace
7. St Louis Summer
8. The Git Go
Don Grolnick / The London Concertで少し触れたマルチリード奏者Marty Ehrlichのワンホーン・カルテットのアルバムです。
Marty Ehrlichは、参加メンバーが面白そうだったら聴いてみようか・・・私にとってはそういうポジションのミュージシャンです。Marty Ehrlichが大フィーチャーされているわけではありませんが、彼の師匠Julius Hemphill名義のサックス・アンサンブルによる「Fat Man and the Hard Blues(1991、Black Saint)」と「Five Chord Stud(1993、Black Saint)」の2枚は私のお気に入りです。
このアルバムのリズムの三人のうち、ドラムのBilly Drummondは少々「異質」に感じますが、過去にMarty Ehrlichのリーダーアルバム「Song(1999、Enja)」で共演しています。
演奏される楽曲は全てリーダーのオリジナルです。
静かなピアノのイントロが導く"Hymn"(賛美歌)と題された穏やかな曲からスタートし、このアルバムを支配する「優しさ」のサウンドに聴く者を引き込みます。ところどころでCraig Tabornらしい「尖り」を垣間見せる場面もありますが、アルバム全体を通じて、いつもは強面のこのピアニストは、牙を隠して優しくリーダーに寄り添っています。
Marty Ehrlichは1~5と7曲目はアルト、6、8曲目はバスクラを吹いていますが、アルト、バスクラともに楽器が実に「鳴って」いて、なかなかに聴かせます。この深いトーンは彼のリード奏者としての際立つ個性だと思います。特に6曲目の不思議な雰囲気のバラードでのバスクラのプレイは秀逸です。
また、リーダーの作る楽曲はどれもよく練られていて、彼が元々持っているであろう「前衛性」というか「攻撃性」がしっかりと消化されて、知的で実に味わいあるメロディに結実している、そんな印象を受けます。このアルバムを聴いていると、演奏される楽曲の魅力というのはとても大事な要素だな、と今更ながらに思ってしまいます。
リズム陣では、「異質」と思ったドラムのBilly Drummondのプレイがとても気が利いていて、バンドのサウンドをより「優しい」ものとするのに間違いなく一役買っています。
マルチリード奏者として、また作曲家としてのMarty Ehrlichの実力が100%発揮され、リズム陣もリーダーの意図を充分に理解したプレイで支えている、味わい深いワンホーンの力作です。