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今世紀に入って発掘された音源 三題

 二回目の三題噺で取り上げる三組のアルバムは、録音年代は少々遡りますが、いずれも今世紀に入って初めて発掘された未発表音源としてリアルタイムに聴いたものです。

David Liebman / Mosaic Select Pendulum
Lebel: Mosaic Records (Artist House) 
Rec. Date: Feb. 1978 (released in 2008)
Personnel: Randy Brecker (tp), David Liebman (ts, ss), Richie Beirach (p), Frank Tusa (b), Al Foster (ds)
pendulum.jpg
Disc 1: 1. Pendulum  2. Picadilly Lilly  3. Footprints
Disc 2: 1. There is No Greater Love  2. Solar  3. Picadilly Lilly  4. Night and Day
Disc 3: 1. Blue Bossa  2. Well You Needn't  3. Bonnie's Blues  4. Impressions

 Disc 1に収録された3曲の初出はArtist Houseより発表されたLP「Pendulum」で、Disc 2と3は、同じロケーションで録音された未発表音源ということで、8年ほど前にこのセットが発売された時は、この世にそれほど多くは存在しないと思われるDavid Liebmanフリーク達を狂喜させたものでした。
 本場NYの名門Village Vanguardでのライブということで、メンバーのやる気漲る熱演で、スタンダードやジャズメンオリジナルを中心とした未発表音源も、初出音源とのクオリティの差はほとんどありません。Liebmanはテナー、ソプラノともに後年に比べれば荒削りの感触ですが、それでも紛れもない彼の個性が輝く激しいプレイを聴かせてくれます。ここにRandy君がいなければ、もっと密度の濃い演奏になったでしょう。


Pat Martino / Alone Together
Label: High Note
Rec Date: 1977-1978 (released in 2012)
Personnel: Pat Martino (g), Bobby Rose (g)
Alone Together
1. For on Six  2. Alone Together  3. What are You Doing Rest of Your Life  4. Sunny  5. Left...or Right  6. Visit  7. One for My Baby  8. Israfel

 これもPat Martinoファンとして狂喜したアルバムです。Patの個人的なコレクションからCDにしたもので、録音に関しては「Recorded at various locations: 1977-1978」とあります。従って、Pat Martinoが長いブランクに入るまさに直前の録音ということになります。
 Patのリーダーアルバム「Baiyina(1968、Prestige)」「Footprints(1972、Prestige)」に参加していたギタリストBobby Roseとの全編デュオによる演奏です。もちろんBobby Roseはバッキングに徹しています。
 おそらく当時彼らが行っていた日常的なギグの中からチョイスされたもので、録音は決して良好ではないし、普段の音楽活動の「断片」と言ってもよい音源でしょうが、演奏は妙に生々しく、Patの早く、硬く、そして美しいフレーズを次から次に繰り出す「技」と「歌心」に浸ることができます。Pat氏には、この時期の音源をもっとCD化してもらいたいものです。


Warne Marsh / Live at Dana Point, 1957
Label: V.S.O.P.
Rec. Date: Oct. 1957 (released in 2004)
Personnel: Warne Marsh (ys), Joe Albany (p), Bob Whitlock (b), Red Martinson (ds)
Dana Point
Disc 1: 1. The Things I Love  2. Dahoud  3. Now's the Time  4. Billie's Boumce  5. Body and Soul  6. Limehouse Blues  7. Love is Here to Stay  8. I've Got You Under My Skin  9. Once in a While  10. Night and Day
Disc 2: 1. My Little Suede Shoes  2. Darn That Dream  3. After You've Gone  4. Easy to Love  5.  S'Wonderful  6. Tea for Two  7. The Song is You  8. The Way You Look Tonight

 3題目は年代がグッと遡ります。
 RiversideレーベルにWarne Marshが参加したJoe Albanyの「Right Combination」(1957年秋録音)というアルバムがありますが、それと同時期の1957年10月に、ほぼ同じメンバーによって西海岸で録音された未発表音源です。
 本作は上記「Right Combination」のライブ・バージョンといったアルバムで、こういう音源によくあるブツっと演奏(テープ)が途切れたりするのはお約束ですが、会場のお客さんの声など、さまざまなノイズも捉えられた良好な録音で、クラブでの演奏の模様がリアルに伝わってきます。
 Joe Albanyも当時にしてはかなり突出したピアニストだったと思いますが、1950年代Warne Marshのまさにワン・アンド・オンリーの個性的なプレイをタップリ味わうことができる嬉しい発掘盤でした。

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半世紀ジャズを聴いている新米高齢者♂です

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