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Steve Lehman's Camouflage Trio / Interface

Label: clean feed
Rec. Date: May 2003
Personnel: Steve Lehman (as, ss), Mark Dresser (b), Pheeroan akLaff (ds)
Lehman Steve_200305_Interface
1. Structural Fire
2. Hamlet
3. Complex C
4. Huis Clos
5. Rison
6. Motion
7. Interface
[all compositions by Steve Lehman]

 ここではアルトとソプラノを吹くSteve Lehman(スティーブ・レーマン、1978年NY産)率いるCamouflage Trio名義の『Interface』というアルバムを取り上げます。
 本作はスティーブ・レーマンのリーダーアルバム第三作に当たり、ベースMark Dresser(マーク・ドレッサー、『Satoko Fujii(藤井郷子) / Bell the Cat!』で既出)とドラムPheeroan akLaff(フェローン・アクラフ、『Reggie Workman / Summit Conference』及び『Anthony Braxton / Knitting Factory (Piano/Quartet) 1994, Vol. 1』で既出)とのピアノレス・トリオによるポルトガル・コインブラでのライブ盤です。
 後年はバンドのサイズがだんだん大きくなり、アンサンブルに力点をシフトしてサウンドを展開していくスティーブ・レーマンですが、ここではミニマムなトリオという編成で、いずれも名手のベース・ドラムをバックにひとりのサックス奏者として勝負に出た、そういったアルバムでしょう。

 スティーブ・レーマンはこれぞフリージャズのサックス奏者というタイプでは必ずしもありませんが、時折フリーキー・トーンを交えながら、それでいて決して熱くなりすぎることなくアウトする(ひたすらアウトし続ける)そのさまは、私の好みとするところです。また、3, 6, 7曲目で吹く彼のソプラノも悪くありません。語彙が豊富というか、色々な引き出しを持っているという点では、ソプラノの方がむしろ個性が尖っているように聴こえます。このようにこのアルバムでは、後年の彼のプレイに比べるとずっとフリー(ジャズ)に近いところで勝負していますので、こういうピアノレスの編成ということもあり、まずこのような彼のサックス・プレイを受け入れられるかどうか、ここが大きな分かれ道でしょう。

 ベース・ドラムについてですが、基本的にビートはステディにキープされ(6曲目では長いベース・ドラムのソロがあったりしますが)、さすがにこの名手二人は安定度抜群のリズムを叩き出しています。この二人がいるからこそ、これだけフリー(寄り)のピアノレス・トリオを長い時間聴いていられる・・・それくらいの安定度です。特にこのアルバムの場合ベースのマーク・ドレッサーの力強く、技巧的に優れ、さらに弾力性のある(粘っこい)ベースに負うところが大きいでしょう。この人は「効いてるね」と感心させられるようなプレイを聴かせてくれることがしばしばあるように思います。

 15分以上のトラックが二つ(1, 6曲目)あって総収録時間70分を超えるライブですので、やはりやや冗長に感じるところもありますが、きっとスティーブ・レーマン本人にとっては、力量申し分なしのベースとドラムをバックにやりたいことが目いっぱい出来たという、言わば会心のライブだったのではないかと思います。

Tim Berneのデュオ・アルバム(補遺)

 三年ほど前の『特集:Tim Berneのデュオ・アルバム』で彼のデュオ・アルバムを六枚取り上げたところですが、その際うっかりして漏れてしまったアルバム(下記①)があって、ずっと気になっていたところです。また同記事以降にプレス盤CDとしてリリースされたデュオ・アルバムが二枚(②、③)ありますので、今回はそれら三枚を一緒に取り上げたいと思います。


① with Michael Formanek / Ornery People
Label: Little Brother Records
Rec. Date: Oct. 1997
Personnel: Tim Berne (as, bs), Michael Formanek (b)
Berne Tim_199710_Ornery People
1. Jiggle the Handle [Formanek]
2. Byram's World [Berne]
3. Stubborn Love [Berne]
4. Are We There Yet? [Berne]
5. Emerger [Formanek]
6. Brincident [Berne, Formanek]

 ティム・バーンとは共演の多いベースのマイケル・フォーマネクとの唯一のデュオ・アルバムです。
 この二人のデュオらしく、コンポジションの部分はしっかりと構築され、二人が絡むようにインプロへと展開していくというのが基本形です。音域も音量もダイナミックレンジの広いティムのアルトはキレキレで、脂が乗った力強いプレイは絶好調です。アルトだけでなく3, 6曲目で吹くバリサク(かなり攻めてます)だって良い感じです。そして、やはりフォーマネクの存在によるところが大きいと思いますが、全体にコンポジションもインプロの部分も「メロディアス」(そして「リズミック」・・・4, 6曲目あたりがその典型)で、前の特集記事で取り上げたフランスのベーシスト、ブルーノ・シュヴィヨンとのデュオ作『Old and Unwise』よりもずっと明快で具体的なサウンドです。
 ライブということもあってベースの音がほんの少し籠り気味(我が家の装置のせいかもしれません)で、ずっしりとした彼のプレイが捉え切れていない録音が残念と言えば残念ですが、それを差し引いても、深く理解しあった二人による純度の高いデュオであることは間違いありません。


② with Gregg Belisle-Chi / Mars
Label: Intakt Records
Rec. Date: May 2021
Personnel: Tim Berne (as), Gregg Belisle-Chi (g)
Berne Tim_202105_Mars
1. Rose Bowl Charade
2. Purdy
3. Gastrophobia
4. Microtuna
5. Frosty
6. Big Belly
7. Rabbit Girl
8. Palm Sweat
9. Dark Shadows
10. Not What You Think Thet are
11. Middle Seat Blues
12. Giant Squids
 [all songs by Tim Berne, arranged by Berne and Gregg Belisle-Chi]

 Gregg Belisle-Chi(グレッグ・ベライル・チ)はアジア系アメリカ人で、シアトルを拠点に活動するギタリストだそうです。私は聴いていませんが、ギター・ソロで演奏したティム・バーン楽曲集のアルバムもあるようで、きっとティムの信奉者(?)なのでしょう。本作もデュオによるティム・バーン楽曲集で、グレッグは全曲アコースティック・ギターを弾いています。
 断片的に聴こえる場面があるものの基本的にコンポジションの部分を骨格(中心)に構成された演奏で、1曲当たり3~5分程度、全12曲で収録時間45分程度のアルバムです。アルトとギターとのデュオという編成も編成ですので、ティムが熱くブロウするというのではなく、互いの音を注意深く意識しながらの丁寧な演奏という印象を受けます。この初対面のギタリストは、懇ろにティムに寄り添う姿勢で、ティムの伴奏をしているだけということではありませんが、どちらかと言えば主役はティムというポジショニングです。
 上記のフォーマネクとのデュオのようにジャズ的スリル(と言うかジャズ的な絡み)は濃厚ではありませんが、録音は良好ですし、ティムのアルトと生ギターの組み合わせが新鮮に響いて、しんみりと聴かせるデュオです。


③ with Matt Mitchell / One More Please
Label: Intakt Records
Rec. Date: Dec. 2021
Personnel: Tim Berne (as), Matt Mitchell (p)
Berne Tim_202110_One More Please
1. Purdy
2. Number 2
3. Rose Colored Missive
4. Oddly Enough / Squidz
5. Middle Seat Blues / Cheken Salad Blues
6. Motian Sickness
7. Rolled Oats / Curls
[all songs by Tim Berne, except “Number 2” by Julies Hemphill]

 この二人のデュオ・アルバムとしては、本作が『1』(2010年録音、Screwgun Records)、『Angel Dusk』(2017年録音、同左)に次いで三作目に当たります(ダウンロード・オンリーの音源は他にもあります)。
 これまでも何回か同じ表現を使ってきましたが「コンポジションとインプロヴィゼーションとの融合」・・・この二人の演奏はこれに尽きます。彼らのデュオはコンポジションのパートからアドリブに移っても違和感、と言うか「はい、テーマが終わりました、アドリブがこれから始まりますよ」という「境目」が全く感じられずに演奏が進んでいきます。これは譜面に書かれている(はずの)コンポジションの部分が充分に練られて、「高度な師弟関係」にある二人がそれをこれまた充分に抽象化して(アドリブのパートと同化して)再現しているから・・・私はそういう風に理解して聴いています。そしてアクティブに(さらにはリズミカルに)アルトとピアノが動き、躍動的と言いたくなるくらい活性したデュオになっているというのも前二作と同様です。
 私にはもはや「聴き慣れた」いつもの演奏ではありますが、このレベルまでやられると「参りました」と言うしかありません。

Marcus Strickland / At Last

Label: Fresh Sound New Talent
Rec. Date: August and December 2000
Personnel: Marcus Strickland (ts, ss), Robert Glasper (p), Brandon Owens (b), E.J. Strickland (ds)
Strickland Marcus_200008_At Last
1. Iris [Wayne Shorter]
2. Three for Her [Glasper]
3. At Last [Marcus Strickland]
4. The Ninth Life [Marcus Strickland]
5. When in Doub… [Marcus Strickland]
6. Joy Song [Glasper]
7. Serenity [Joe Henderson]
8. February 21 [E.J. Strickland]
9. Gar-Zone [Marcus Strickland]

 今さらという感じが(強く)しますが、今回はサックス奏者Marcus Strickland(マーカス・ストリックランド)の最初のリーダーアルバムである『At Last』を取り上げたいと思います。
 以前にも述べましたように、「ジャズ批評」2004年7月120号の原田和典氏の文章によるとマーカスが「初アルバム『ザ・シティ』を出したのは97年、18の時」とありますが、この『ザ・シティ』というアルバムの存在がどうにも確認できません。従ってここでは2000年に録音された本作を彼の「初リーダーアルバム」として話を進めることとします。
 まあそんなことはどうでもよくて、私を含む多くのリスナーはこの『At Last』でマーカス・ストリックランドというサックス奏者を、さらにはロバート・グラスパーというピアニストを知ったことに違いはなく、その後私がマーカスを追っていくきっかけとなったアルバムでもあります。そして録音当時マーカスと双子の兄弟E.J.は21歳、ロバート22歳、ベースのブランドン・オーウェンズ19歳と、正にフレッシュなタレント達によるカルテットです。

 ずいぶん前のことにはなりますが、このアルバムを最初に聴いた時に受けた「ちょっとした衝撃」はよく覚えています。
 それは冒頭曲、すなわちマイルスの『E.S.P.』(1965年録音、Columbia)に収録されたスローテンポ3/4のバラード”Iris”(ウェイン・ショーター作)を(ノンビートのイントロはオリジナルの世界なのですが)なんとアップテンポの4ビートでスマートに、そしクールに演奏するその解釈に「やられてしまった」ということです。この曲に対して抱いていた「これはショーターらしいバラードだよね」という固定概念をあっさりと否定されたわけです。一方でマーカスのテナーを切り取ればこれは明らかにショーターからの影響が色濃く反映されており、何とも言えない魅力を放つパフォーマンスに仕上げているのです。この曲だけでなく全てのトラックで、ショーターに憧れて無心に吹いている心意気が伝わってくる、といったところでしょうか。特に彼のキャリア初期の本作ではその傾向(つまりショーターの強い影響下にあるプレイ)が強く感じられ、その後しばらくすると彼はあらぬ方向に飛んで行ってしまう(『Marcus Strickland's Twi-Life / Nihil Novi』参照)のですが、このデビュー作の時点で彼の個性は既に結実しているのではないかと私は思っています。まるで「オレの原点はショーターだ。ここを出発点にこれからもやっていくぜ」と宣言しているかのようです。

 そしてこのアルバムのもうひとつのポイントは、ロバート・グラスパー以下三人が叩き出すリズムの心地良さです。
 ロバートは本作の二年後にデビュー作『Mood』(2002年録音、Fresh Sound New Talent)をリリース、そして2005年にBlue Noteに移籍してからの活躍ぶり(?)は多くのリスナーの知るところです。その開花前夜、と言うかおそらくレコーディング・デビューとなった本作でのプレイは、後の諸作で見え隠れする(というかモロに見せる)「あざとさ」(言うまでもなく個人的な感覚です)は希薄で、E.J.の素軽いドラミングも相まって小細工なしで小気味の良いストレートなモダン・サウンド~やはり60年代マイルスバンド、ハンコックの香りは漂いますが~を聴かせてくれます。彼が提供した2曲のオリジナルも新鮮に響きます。ついでにジョー・ヘンの7曲目(『In’n Out』収録)も良い雰囲気が出ていますよ。

 以前ここで取り上げた『Idiosyncrasies』からしばらくすると私の好みとは違う方向に行ってしまうマーカスですが、二十年以上前に録音されたこのデビュー・アルバムを聴くと、ショーターからの影響をベースにした瑞々しくも潔いプレイに私は惹きつけられます。

Tim Berne / Oceans and

Label: Intakt Records
Rec. Date: Aug. 2022
Personnel: Tim Berne (as), Hank Roberts (cello), Aurora Nealand (accordion, cl, voice)
Berne Tim_202208_Oceans and
1. The Latter
2. Framed
3. Eez
4. Low Strung
5. Clustard
6. Mortal and Pestered
7. Frosted
8. Fess
9. 10tious
10. Sutile
11. Partial 2
12. Peeled
 [all music by Berne, Roberts, Nealand]

 前回記事に引き続いて昨年聴いた新譜から、ティム・バーンの『Ocean and』というアルバムを取り上げます。メンバーは、ティムとは共演の多いお馴染みハンク・ロバーツのチェロと、ここでは主にアコーディオンを弾きクラリネットやヴォイスでも絡む女流ミュージシャンAurora Nealand(オーロラ・ニーランド、1979年西海岸産)が加わる変則トリオ編成です。

 CDのクレジットによると全曲が三人の共作とあり、全体的な印象としては決まり事の感じられない自由な演奏ではあるものの、注意深く聴いていると作り込まれている部分(すなわちあらかじめ譜面が用意されている部分)があるのもわかります。これまでにこのblogで何度か書いていますが、ティムのパフォーマンスにおけるコンポジションとインプロビゼーションの融合というヤツです。
 そして、こういうドラムの居ない編成ですので当然ながらリズムが躍動するということにはならずに基本的には「静」のフリージャズのサウンドですが、曲(トラック)ごとに様々な味付けが施されていて、しっかりと練られ、そして充分に工夫されたサウンドということが(私のような好き者には)伝わってきます。
 ハンク・ロバーツのチェロとオーロラ・ニーサンドのアコーディオンが主に低音部でトリオの土台(と言うか骨格と言うか)を形づくりそこにティムのアルト(高音)が切り込み、場面によっては語彙の豊富なハンクのチェロが泳ぎ回り、さらにはオーロラがクラ(彼女の吹くクラリネットは面白い!)やヴォイスでもちょっかいを繰り出す・・・乱暴に括ってしまうとこのような基本形でトリオの演奏が進んでいきます。「静」のフリージャズではありますが、コンポジションの部分と三人の自発的な絡み合いに発展していく局面が交互に出現する様は実に刺激的です。
 こういうサウンドですので、トラック毎にひとつひとつコメントするのはナンセンスと思いますが、特に9曲目、チェロの深い音色のピチカートとアルトの絡み(これは完全に二人のデュオ・アルバム『Cause & Reflect』の世界)からスタートし、そこにアコーディオンが加わってトリオの温度が上昇する中で、三人の純度の高いコレクティブ・インプロへと発展していく12分強のパフォーマンスは、このトリオによる演奏の態様を味わえる典型的なトラックです。食わず嫌いの方々にも、このトラックだけはお聴きいただきたいくらいです。

 途中で投げ出すリスナーがいる(いや、ほとんど)でしょうが、トラックごとに施された様々な工夫が良い方向に作用して、(一線を乗り越えることができた好き者リスナーにとっては)緊張感を持続させながら聴き通せる不思議なサウンドです。特にティム・バーンとハンク・ロバーツの深い相互理解に裏打ちされたパフォーマンスは力強くも美しいと言うしかありません。

David Liebman / Live at Smalls

Label: Cellar Music
Rec. Date: Jan. 2022
Personnel: Peter Evans (tp), David Liebman (ss), Leo Genovese (p), John Hébert (b), Tyshawn Sorey (ds)
Liebman David_202201_Smalls
1. The Beginning
2. The Middle
3. The End
 [all tracks composed by David Liebman]

 今年最初の記事は例年どおり昨年聴いた新譜から、我らがデビッド・リーブマンがNYのクラブで行ったステージの模様を収めた『Live at Smallls』というアルバムを取り上げます。
 メンバーは、ラッパPeter Evans(ピーター・エバンス)との2管フロント、ピアノはLeo Genovese(レオ・ジェノヴェス、アルゼンチン産)にこのblogではお馴染みのベースJohn Hébert(ジョン・エイバート・・・正解かどうか知りませんがこう表記します)とドラムTyshawn Sorey(タイショーン・ソーリー)が加わるクインテット編成です。

 不愛想なタイトルから想像できるように、基本的にフリージャズのセットです。ただし、(程度問題はありますが)それほどグシャグシャにはならずに、調性、リズムとも「比較的」維持されている、と言ったところでしょうか。
 右ラッパ、左ソプラノとピアノ、中央にベース、右寄りにドラムと、バランスはあまり良好とは言えないし、それほどクリアな音質ではありませんが、ステージの雰囲気や生々しさが伝わってくる録音には好感が持てます。

  “The Biginning”はパルスのように提示し続ける(基本4ビートの)リズムが躍動する演奏、”The Middle”は前半はビートが後退し、やや思索的なフリージャズ、しばらくするとバンドの温度は上昇し、徐々にリズムが顕在化し、後半は再びビート後退、30分過ぎになってパッセージがベースから提示されて、それを発展していってプツリと終わる、”The End”はノンビートからスタート、ソプラノとラッパが「同化」しながらのコレクティブ・インプロ、その後バンドの温度上昇とクールダウンを繰り返すが、テンションは下がらない・・・そう、このバンドのフリージャズは、どのような局面になっても緊張感が保たれている、というところが特徴と言ってよいでしょう。

 ラッパのピーター・エバンスは、アルバム名は敢えて記しませんがこれまでにあまり良い印象がなく本作を聴く前はだいぶ及び腰だったのですが、ここでは「器用に」(或いは「わかりやすく」)フリージャズしています・・・偉そうな物言いをしますが彼を見直しました。
 そしてピアノのレオ・ジェノヴェス(グレッグ・オズビーやラビ・コルトレーンが参加したトランぺッターJason Palmer(ジェイソン・パーマー)の『Songbook』(2006, Ayva Music)でのプレイは記憶にあります)も、豊富な語彙でフリージャズしていて、まずまず、というよりはむしろ好ましいに属するピアニストだと思います。(好き者には)フリージャズの気持ち良さが伝わってくるという感じでしょうか。
 ベースとドラムは100%予想どおりのパフォーマンスで、技巧的ではあるもののゴツゴツ感満載のプレイで、このバンドのフリージャズを骨太にしています。この二人は大したものです。
 最後にリーブマン。全編ソプラノでキレている、の一言に尽きます。リーブマンがたまにやる大きくフリーに傾くサウンドで、そのようなアルバムの中には「ちょっと付き合ってられないな」というのもあるのですが、ここでのリーブマンはよほど体調(調子)が良かったのでしょうか、パワー・マックスの鋭いプレイに終始していますし、何よりもソプラノ一本に絞ったのが大正解で、音域の「被る」ラッパとの組み合わせの面白さが際立っています。

 収録時間70分を超え、聴き手に忍耐力を求めるようなアルバムですが、ピリッとした緊張感が持続する充実のフリージャズ・ライブ(ただし拍手の音は聞こえません)で、メンバー全員が好プレイを披露し、そして何よりも録音時75歳のリーブマンがインプロヴァイザーとして全く劣化・老化していないことが伝わってくる力作です。
プロフィール

sin-sky

Author:sin-sky
半世紀ジャズを聴いている新米高齢者♂です

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