Rez Abbasi & Junction / Behind the Vibration
Label: Cuneiform Records
Rec. Date: Aug. 2015
Personnel: Mark Shim (ts, midi wind-controller), Rez Abbasi (g), Ben Stivers (kyb, org, elp), Kenny Grohowski (ds)
1. Holy Butter
2. Groundswell
3. Inner Context
4. Uncommon Sense
5. And I You
6. Self-Brewing
7. New Rituals
8. Matter Falls
以前このblogでMichele Rosewoman / The In Side OutとCarlos De Rosa's Cross-Fade / Brian Danceを取り上げた贔屓のサックス奏者Mark Shimが参加するギタリストRez Abbasiのリーダーアルバムです。
Rez Abbasiはネット情報によると1965年パキスタン生まれ、4歳の時に家族でLAに移住し、それ以降アメリカで活動しているようです。本作を含め既に10枚以上のリーダーアルバムを出していますが、私の手元には本作を含め3枚、残りの2枚もそれぞれに贔屓のサックス奏者であるTony Malaby(「Out of Body」1999年録音、Feroza Music)とDavid Liebman(「Snake Charmer」2003年録音、Earth Sounds)が参加・・・すなわち本作を含めて共演者が目当てで入手した3枚です。
本アルバムは全曲リーダーのオリジナルが演奏されており、メンバーはリーダーとMark ShimにBen Stiversのキーボード・オルガン、Kenny Grohowskiのドラムという4人編成で、ご覧のとおりベースがいません。またMark Shimはテナーの他に、近作で彼がしばしば手にしているmidi wind-controllerも吹いています。
M-Baseの流れを感じさせる16ビートのメカニカルな曲からスタートします。Kenny Grohowskiというドラマー~手元ではLonnie Plaxicoのアルバムに参加していましたが~は非常に手数の多いタイプで、リーダーのギターと、シンセ、オルガン、エレピを使い分けるBen Stiversのキーボードとの3人が創り出す「饒舌」なリズムは、ベーシスト不在ということを全く感じさせない密度の濃いサウンドです。どの曲もしっかりと作り込まれていて、16ビート主体のサウンドは曲ごとに実に多彩で、アルバムを一気に聴かせてしまう勢いがあります。
以前の記事でも述べましたが、Mark Shimのテナーは明らかにJoe Hendersonからの強い影響がベースにあるとしても、完全に彼固有の個性として確立されていると私は思っています。さらに2015年録音の本作での彼のプレイは、この記事の冒頭に掲げた2枚(それぞれ2005年、2009年録音)に比べて明らかにパワーアップしています。特に2,4,8曲目での力強く逞しいテナーソロにはファンとして痺れます。またテナーだけでなく、特に7曲目でのmidi wind-controllerのプレイは、以前に比べて表現の幅が間違いなく広がっており、ここにきて彼はこの楽器で新しい表現力を手に入れたと言ってよいでしょう。
最後になってしまいましたがリーダーRez Abbasiのギターは、エフェクターを効果的に使ってスペースを切り裂く変態フレーズを繰り出す・・・この手のギタリストには正直弱い(「好み」という意味です、念のため)ところでして、「誰々に似ている」ということが思いつかないくらい個性的なプレイは、私が所有する前2作に比べてはるかに先鋭化しているように聴こえます。
メカニカルな中にも熱さを感じさせる刺激的なこのバンドのサウンドは私の好みのど真ん中とするところで、突出した個性の持ち主であるリーダーのギターと、何よりもMark Shimの逞しいテナーやmidi wind-controllerの巧みな表現力を味わうことができて、聴きどころ満載の力作です。
Rec. Date: Aug. 2015
Personnel: Mark Shim (ts, midi wind-controller), Rez Abbasi (g), Ben Stivers (kyb, org, elp), Kenny Grohowski (ds)
1. Holy Butter
2. Groundswell
3. Inner Context
4. Uncommon Sense
5. And I You
6. Self-Brewing
7. New Rituals
8. Matter Falls
以前このblogでMichele Rosewoman / The In Side OutとCarlos De Rosa's Cross-Fade / Brian Danceを取り上げた贔屓のサックス奏者Mark Shimが参加するギタリストRez Abbasiのリーダーアルバムです。
Rez Abbasiはネット情報によると1965年パキスタン生まれ、4歳の時に家族でLAに移住し、それ以降アメリカで活動しているようです。本作を含め既に10枚以上のリーダーアルバムを出していますが、私の手元には本作を含め3枚、残りの2枚もそれぞれに贔屓のサックス奏者であるTony Malaby(「Out of Body」1999年録音、Feroza Music)とDavid Liebman(「Snake Charmer」2003年録音、Earth Sounds)が参加・・・すなわち本作を含めて共演者が目当てで入手した3枚です。
本アルバムは全曲リーダーのオリジナルが演奏されており、メンバーはリーダーとMark ShimにBen Stiversのキーボード・オルガン、Kenny Grohowskiのドラムという4人編成で、ご覧のとおりベースがいません。またMark Shimはテナーの他に、近作で彼がしばしば手にしているmidi wind-controllerも吹いています。
M-Baseの流れを感じさせる16ビートのメカニカルな曲からスタートします。Kenny Grohowskiというドラマー~手元ではLonnie Plaxicoのアルバムに参加していましたが~は非常に手数の多いタイプで、リーダーのギターと、シンセ、オルガン、エレピを使い分けるBen Stiversのキーボードとの3人が創り出す「饒舌」なリズムは、ベーシスト不在ということを全く感じさせない密度の濃いサウンドです。どの曲もしっかりと作り込まれていて、16ビート主体のサウンドは曲ごとに実に多彩で、アルバムを一気に聴かせてしまう勢いがあります。
以前の記事でも述べましたが、Mark Shimのテナーは明らかにJoe Hendersonからの強い影響がベースにあるとしても、完全に彼固有の個性として確立されていると私は思っています。さらに2015年録音の本作での彼のプレイは、この記事の冒頭に掲げた2枚(それぞれ2005年、2009年録音)に比べて明らかにパワーアップしています。特に2,4,8曲目での力強く逞しいテナーソロにはファンとして痺れます。またテナーだけでなく、特に7曲目でのmidi wind-controllerのプレイは、以前に比べて表現の幅が間違いなく広がっており、ここにきて彼はこの楽器で新しい表現力を手に入れたと言ってよいでしょう。
最後になってしまいましたがリーダーRez Abbasiのギターは、エフェクターを効果的に使ってスペースを切り裂く変態フレーズを繰り出す・・・この手のギタリストには正直弱い(「好み」という意味です、念のため)ところでして、「誰々に似ている」ということが思いつかないくらい個性的なプレイは、私が所有する前2作に比べてはるかに先鋭化しているように聴こえます。
メカニカルな中にも熱さを感じさせる刺激的なこのバンドのサウンドは私の好みのど真ん中とするところで、突出した個性の持ち主であるリーダーのギターと、何よりもMark Shimの逞しいテナーやmidi wind-controllerの巧みな表現力を味わうことができて、聴きどころ満載の力作です。