ペリリュー 楽園のゲルニカ 9-11巻 再読感想
ペリリュー 第9-11巻 再読時の感想です。
外伝についてはこれまでに一部触れてきましたので、
ペリリューの感想は今回でいったん終わりになります。
ネタバレ前提ですので、ご注意ください。
本文は折りたたみ&隠し文字で書きます。
宴会用の酒に燃料用アルコールを仕込んで混乱を巻き起こす小杉伍長。
混乱に乗じて壕を抜け出す吉敷、田丸。
それを追う「仲間」たち。投降は死罪―。
最後の夜。
故郷の母と妹を想う吉敷くん(号泣)
隠れていた二人。島田少尉と遭遇。
そして―――
雨の中。主人公と同じく、
私も吉敷くんの亡骸を前にどれだけの間ページをめくらずにいたかわかりません。
作者様の立場からすれば、
読者が第1巻からずっと願い続けてきたこと「生きてほしい」
を百も承知で、それでもそれを裏切る必要があった、のでしょう。
後で振り返ると、吉敷くんの最期が、
無二の戦友と一緒に実家に帰った光景に
笑顔を浮かべたものであったことは
読者に対する救いで、
この描き方でなければこの作品は成立しえなかったのではないか
とすら思えてきます。
投降後、戦争が終わっていたことを聞かされ、
改めて涙する田丸くん。
「功績係」としての立場を活かして仲間の投降を促す。
必然的に第1巻冒頭からの田丸くんの視点を通した経験が思い出される。
死んでいった仲間の功績を伝えるのではなく、
今度は、仲間が生きるために…
第11巻。後日談。
時系列が飛ぶこと、世代が増えること、
リアルとオーバーラップすることで、
人間関係の整理が難しく、
私は一度読むだけでは理解できない部分が多かったですが、
初めはあまり考え込まずに読み進めて、
後から理解できたときに「泣いてしまう」という感じの方が良いと思います。
2017年、吉敷くんにそっくりな青年―
吉敷佳助くんの大甥(妹の孫)にあたる後村亮くん視点、
および、亮くんが田丸均爺ちゃんに話を聞くという形の展開。
1947年水戸。戦争から息子が帰ってくる/親元に帰るって、
ちょっと想像がつかないですね。
戦死した戦友たちの実家を訪ねる田丸。
これも想像を絶する。
息子の「最期の勇姿」なんて必要ない。納得。
誰もが快く迎え入れてくれる訳じゃない。辛い。
吉敷くんの実家。
田丸くんがチョークで描いていた壁画はこの景色だったのでしょうか…?
その後の人生も各人悲喜こもごも。
ともすれば現代に生きる私達と同じ
普通の人生、普通の生活にしか見えないかもしれない。
しかし、第10巻まで読んできた今なら、
表面からはうかがい知ることのできないものを
読み取ることができる。
文字通り、「戦争を伝える」ことを見事に体現している。
一通り読み直して―――
本作の目的である「戦争を伝える」ことのみならず、
読者の気持ちを考えたストーリー展開、描写含め、
本作の緻密さや技巧に気付かされました。
何より、作者様がどれだけ真剣に本作に取り組まれたのかを
うかがい知ることができました。
本作に出会えて本当に良かった。
製作に携わられた方々に御礼申し上げます。
外伝についてはこれまでに一部触れてきましたので、
ペリリューの感想は今回でいったん終わりになります。
ネタバレ前提ですので、ご注意ください。
本文は折りたたみ&隠し文字で書きます。
宴会用の酒に燃料用アルコールを仕込んで混乱を巻き起こす小杉伍長。
混乱に乗じて壕を抜け出す吉敷、田丸。
それを追う「仲間」たち。投降は死罪―。
最後の夜。
故郷の母と妹を想う吉敷くん(号泣)
隠れていた二人。島田少尉と遭遇。
そして―――
雨の中。主人公と同じく、
私も吉敷くんの亡骸を前にどれだけの間ページをめくらずにいたかわかりません。
作者様の立場からすれば、
読者が第1巻からずっと願い続けてきたこと「生きてほしい」
を百も承知で、それでもそれを裏切る必要があった、のでしょう。
後で振り返ると、吉敷くんの最期が、
無二の戦友と一緒に実家に帰った光景に
笑顔を浮かべたものであったことは
読者に対する救いで、
この描き方でなければこの作品は成立しえなかったのではないか
とすら思えてきます。
投降後、戦争が終わっていたことを聞かされ、
改めて涙する田丸くん。
「功績係」としての立場を活かして仲間の投降を促す。
必然的に第1巻冒頭からの田丸くんの視点を通した経験が思い出される。
死んでいった仲間の功績を伝えるのではなく、
今度は、仲間が生きるために…
第11巻。後日談。
時系列が飛ぶこと、世代が増えること、
リアルとオーバーラップすることで、
人間関係の整理が難しく、
私は一度読むだけでは理解できない部分が多かったですが、
初めはあまり考え込まずに読み進めて、
後から理解できたときに「泣いてしまう」という感じの方が良いと思います。
2017年、吉敷くんにそっくりな青年―
吉敷佳助くんの大甥(妹の孫)にあたる後村亮くん視点、
および、亮くんが田丸均爺ちゃんに話を聞くという形の展開。
1947年水戸。戦争から息子が帰ってくる/親元に帰るって、
ちょっと想像がつかないですね。
戦死した戦友たちの実家を訪ねる田丸。
これも想像を絶する。
息子の「最期の勇姿」なんて必要ない。納得。
誰もが快く迎え入れてくれる訳じゃない。辛い。
吉敷くんの実家。
田丸くんがチョークで描いていた壁画はこの景色だったのでしょうか…?
その後の人生も各人悲喜こもごも。
ともすれば現代に生きる私達と同じ
普通の人生、普通の生活にしか見えないかもしれない。
しかし、第10巻まで読んできた今なら、
表面からはうかがい知ることのできないものを
読み取ることができる。
文字通り、「戦争を伝える」ことを見事に体現している。
一通り読み直して―――
本作の目的である「戦争を伝える」ことのみならず、
読者の気持ちを考えたストーリー展開、描写含め、
本作の緻密さや技巧に気付かされました。
何より、作者様がどれだけ真剣に本作に取り組まれたのかを
うかがい知ることができました。
本作に出会えて本当に良かった。
製作に携わられた方々に御礼申し上げます。