鳥インフルエンザ「日本経済」への打撃
鳥インフルエンザといえば、2003年から04年にかけ、東アジアの養鶏業で大流行した。その後、日本にも伝わり、各地の養鶏場で自衛隊が駆り出されて鶏を穴に埋める光景を目にした。世界中で処分された鶏は実に1億羽に上る。
おまけに同じ03年には、中国広東省で判明した原因不明のウイルス急性肺炎SARSの恐怖が襲った。こちらもあっという間に香港やベトナム、シンガポールと広がり、全世界の感染者は8000以上、1割近くの774人が死亡するという惨事を引き起こした。
鳥インフルエンザとSARSというダブルパンチ。その10年前の苦い記憶が蘇ってくる。それは厚労省や医療関係者ばかりではないだろう。日本の産業界にとって当時は、対中国ビジネスが隆盛を迎える走り。中でも最も大打撃を食らったのが航空業界だった。
奇しくもこの時期は、日本の航空業界にとって大きな転機でもあった。まず日本航空(JAL)が02年10月、国内路線を運営する旧日本エアーシステム(JAS)と経営統合。それまで羽田空港を拠点に国内路線で稼いできたライバルの全日本空輸(ANA)はピンチに立たされ、2大キャリアの競争が激化していった。
そんな折も折、中国初のSARSと鳥インフルエンザという猛毒の感染症が、JAL、ANAを襲ったのである。結果、東アジア路線はむろん、世界中でヒトやモノの流れが停滞。この年、JAL、ANAともに赤字に転落し、経営危機にさらされた。
なにやら今の状況に似ている気がしませんか。