勤務外の連絡は拒否 欧州発「つながらない権利」 日本で導入進むか

退勤後は連絡がとれなくなる機能のあるアプリ「cyzen(サイゼン)」=レッドフォックス提供
退勤後は連絡がとれなくなる機能のあるアプリ「cyzen(サイゼン)」=レッドフォックス提供

 仕事のメールや電話でプライベートの時間を奪われる――。こんな経験をした社会人は少なくない。通信技術の発達でテレワークが可能になった半面、長時間労働の温床にもなりかねないとの指摘もある。最近ではヨーロッパを中心に、勤務時間外は電話やメールを拒否できる「つながらない権利」が確立されつつある。日本でも導入に向けて本格的な議論が始まる。

フランスで2017年に法制化

 「海外との取引が多く、深夜にメールや電話で依頼が来ることはしょっちゅう」。国際物流会社で貨物輸送の手配業務に携わる東京都内の男性会社員(32)はこうぼやく。夕方の退勤後も散発的に業務の指示や調整の連絡が届き、趣味の時間が奪われがちだ。

 同様の悩みを抱える人は多い。連合が2023年12月に発表した18~59歳の会社員ら1000人を対象にしたアンケートでは、72・4%の人がこうした経験があると回答。勤務時間外の業務連絡にストレスを感じていた人は62・2%に上った。

 情報通信技術の発達で、メールやチャットなどで連絡が取りやすくなる一方で、労働者のプライベートを守る意識は主にヨーロッパで先行して広がってきた。プライベートの時間を重視するフランスでは、02年にパリ第1大学のジャン・エマニュエル・レイ教授が「つながらない権利」の源流となる考え方を提唱。退勤しても仕事から離れられない人のメンタルヘルスが社会問題化し…

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