「増えてもどうせ…」 教員と教員の卵が給料アップに期待しない理由

学校の教室(イメージ)=ゲッティ
学校の教室(イメージ)=ゲッティ

 公立学校教員の給与を巡る文部科学省と財務省の予算折衝がヤマ場を迎えた。どちらの案も給与の引き上げで一致しているが、その増加分と時期、条件の有無で主張が対立している。

 実はこの両案とも歓迎しない、という現場の教員や教員志望の大学生もいる。なぜなのか。

二者択一にしないで

 「どちらの案も微妙。二者択一にはしないでほしい」。2人の子どもを育てながら関東地方の小学校に勤務する男性教員(39)は冷めた口調で話した。

 文科省案は残業代を支払わない代わりに給料月額の一定割合を上乗せ支給する「教職調整額」を4%から13%へ引き上げるというもの。一方の財務省案は、業務縮減の進捗(しんちょく)を確認した上で段階的に調整額を10%まで引き上げ、将来的な残業代の支払いを検討するとしている。

 この男性は文科省案について教職調整額が上がるのはありがたいが、働き方改革の進め方は現場任せだと感じる。ただし財務省案も残業代支払いが実現すればうれしいものの「どうせ(残業代の対象にならない)持ち帰り残業の圧力が増えるだけ」と諦めが口をつく。

学校に仕事を求め過ぎ

 一定の残業は受け入れ、日々の業務を要領良く済ませるよう努めている。「連絡帳への返事はスタンプだけ。コメントを書き込んだり、家庭での状況を尋ねたりした方が良いかもしれないけど、やり始めたらきりがないので。報告書なんか、雑かもしれない」と言い、こう続けた。「先生としては理想的ではないかもしれません」

 探究的な学び、不登校など課題を抱えた児童へのケア、保護者による要望への対応。勤務年数とともに業務は増えたが、20代の頃のようにこなすことは難しくなっている。一方で管理職からは業務縮減を要求され続ける。

 男性の考えは明快だ。「国も社会も、学校に仕事を求め過ぎですよ」。最近、ネット交流サービス(SNS)での児童同士のトラブルについて保護者から相談があった。「家族が買った携帯電話で、学校外で起きたトラブルなら家庭で解決してほしい。でも、校長にも保護者にも、面と向かっては言えない」と自嘲気味に話した。

両案とも「担い手確保につながらず」

 文科省案でも財務省案でも、教員の担い手確保にはつながらない――。…

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