自民党は19日、党政治改革本部(渡海紀三朗本部長)の幹部会合を開き、政党から政治家個人に支出され使途公開の義務がなかった「政策活動費」について、廃止を打ち出す方針を確認した。21日にも全体会合を開き、党として案をまとめる。
政策活動費を巡っては、論点整理の段階では存続と廃止の二つのケースを想定していたが、同本部事務局長の小泉進次郎元環境相は会合後、記者団に「両方を議論した上で、廃止の方向性を出すべきだとなった」と説明した。ただし、法律上廃止する政策活動費とは別に、第三者機関によるチェックを経て使途を非公開とする支出も温存するという。
これに先立ち、自民党の森山裕幹事長は公明党の西田実仁幹事長と東京都内のホテルで会談し、政治改革に関する与野党協議の場を設置し、今週中の協議開始を目指すことで一致した。野党各党に呼びかけて具体的な日程を調整する。28日に召集される臨時国会で、政治資金規正法再改正の審議が行われる見通し。
会談には両党の国対委員長も同席した。自民の坂本哲志国対委員長は会談後、記者団に「『熟議と公開』を念頭に話し合いをしていきたい」と説明。公明の佐藤英道国対委員長は「年内に政治改革の関連法案を成立させるためには、日程的に非常に限られている。できるだけ早く与野党で協議体を作りながら進めていきたい」と語った。
自公は立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、共産党、れいわ新選組の5党に協議参加を呼びかけ、各党の政治改革案を持ち寄って検討する形式を想定している。
与野党協議について国民民主の玉木雄一郎代表は記者会見で「与野党の垣根を越えて合意できるところは合意したらいい。速やかに協議の場を設けて政策活動費の廃止や外国人の(政治資金)パーティー券の購入規制などの実現につなげていくべきだ」と応じる姿勢を示した。立憲の小川淳也幹事長は、議論について「オープンな場、国会の場が原則になる。非公式な談合ととられるような対応は避けたい。どういう対応をとるかは今後、与党からの呼びかけを受けてからだ」と述べた。
政治改革を巡っては、政策活動費の廃止▽政治資金を監視する第三者機関の設置▽調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開――などが議論される見通し。立憲などは、自民が難色を示す企業・団体献金の廃止についても盛り込むことを目指している。【高橋祐貴、森口沙織、野間口陽、池田直】
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