2月6日に88歳で亡くなった世界的指揮者、小澤征爾さんの音楽性や流儀などについて、音楽評論家で慶応大教授の片山杜秀さんに聞くインタビュー。前編は小澤さんがタイプの異なる名指揮者たちから薫陶を受けたことに注目。後編では、「相乗効果」を生み出す小澤さんのオーケストラとの関係づくり、日本から世界へ飛躍し、小澤さんが戦後日本文化の“アイコン”(象徴)になっていった時代背景を掘り下げる。【聞き手・須藤唯哉】
上はこちらです。
変幻自在の小澤征爾さん、唯一無二の流儀とは
やる気を引き出すカリスマ性
小澤さんは、常にプラスの方向に、オーケストラのみんなを気持ちよくさせて、「そうだ! 行け、行け!」と乗せていきました。
特定の芸風で引っ張るのではなく、その場でいろいろ話すことによって、みんなのやる気を引き出していく感じです。小澤さんのキャラクターでは、割り算の作用は起きず、かけ算しか起きないような人なんです。それは小澤さんのカリスマ性によってなせる業です。
米国やカナダなど、ヨーロッパに比べて歴史が浅く、伝統的な流儀が固まっていないようなオーケストラで力を発揮する指揮者だったと思います。しかし、2002年にはウィーン国立歌劇場という、ある意味で秩序のはっきりした組織のトップになりました。クラシック音楽家として、一つの頂点に達したわけです。
お祭りのように化学反応が起きる
ただ、小澤さんがやりたいようにやれたのは、やっぱり小澤さんの師匠である指揮者の斎藤秀雄(1902~74年)の教え子たちが中心となって結成されたサイトウ・キネン・オーケストラ…
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