2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

激減した日本人の北朝鮮観光、(近くて遠い国、北朝鮮への訪問、その7)

いま現在、北朝鮮に決定的に不足しているのは、食糧、エネルギー、外貨だといわれる。石油燃料の絶対的不足から軽油やガソリンなどの自動車燃料の使用が極度に制限され、走っているのは特権層の乗用車(ベンツなどドイツ系高級車が好まれる)、軍関係のジー…

平義線沿線の農地・農村・農民のリアルな情景、(近くて遠い国、北朝鮮への訪問、その6)

新義州からピョンヤンに至る平義線の沿線一帯は、山岳地帯が国土の大半を占める北朝鮮のなかでも比較的平地部が多く、その多くは水田地域になっている。とりわけ新義州周辺は穀倉地帯と言われ、慢性的な食糧難に直面している北朝鮮にとっては、いわば一国の…

鴨緑江鉄橋からみた北朝鮮大洪水災害の前兆、(近くて遠い国、北朝鮮への訪問、その5)

この数日間、鴨緑江周辺で豪雨による大洪水災害が発生したとの報道が相次いでいる。中国の新華社電によれば、北朝鮮の朝鮮中央通信は、21日午前0時から午前9時の間に300ミリの大雨が降り、中国と北朝鮮の国境を流れる鴨緑江が氾濫して、新義州市では…

危機的状況にある北朝鮮の鉄道施設(2)、(近くて遠い国、北朝鮮への訪問、その4)

鉄道施設のなかでも、橋梁はきわめて重要な施設だ。とりわけ大河を渡る橋梁は、高度な建設技術と莫大な建設コストを要するだけでなく、いったん戦争になると最大の攻撃目標になるので、橋梁を攻撃から守ることが軍事作戦上の至上命令となる。1970年代初…

危機的状況にある北朝鮮の鉄道施設(1)、(近くて遠い国、北朝鮮への訪問、その3)

鉄道や道路などの「交通インフラ」は、一国の生産と生活を支える不可欠の社会基盤施設だ。交通インフラの整備はまた、軍事目的とも不可分に結びついている。とりわけ中国東北部や朝鮮半島の鉄道網は、日本帝国が大陸進出・植民地支配の戦略的手段として敷設…

ピョンヤンまでなぜかくも長時間を要するのか、(近くて遠い国、北朝鮮への訪問、その2)

北京駅からピョンヤン駅までは、週に4本(月・水・木・土)の国際列車K27が出ている。路線距離は、北京から丹東(中国側国境駅)まで1142キロメートル、新義州(北朝鮮側国境駅)からピョンヤンまで225キロメートル、鴨緑江を挟む但東・新義州間…

閑話休題、(近くて遠い国、北朝鮮への訪問、その1)

2010年は、韓国併合条約が発効してから100年を迎える歴史的な年だ。菅政権は、過去の植民地支配への反省を含めた首相談話を8月10日閣議決定し、そのなかで朝鮮総督府時代に宮内庁へ「移管」した「朝鮮王朝儀軌」を韓国政府に「引き渡す」ことを明…