一通の手紙で〝双方向・循環型〟の党活動が実現できるとは思われない、民主集中制廃止と党首公選を実現しなければ党勢回復は文句に終わる、8中総の「あいさつ・報告」を読んで、共産党の再生は可能か(その12)

日本共産党第8回中央委員会総会の「志位議長あいさつ」、田村委員長と山下副委員長の「幹部会報告」(赤旗3月14日)を読んだ。志位議長はあいさつで「この総会は文字通り日本共産党の命運がかかった重要な総会」と位置づけ、田村委員長が第一報告(政治報告)、山下副委員長が第二報告(党建設に関わる報告)を行った。志位議長あいさつの骨子は以下の通り。

(1)ロシアのウクライナ侵略や米国トランプ政権のベネズエラ侵略、イランへの先制攻撃など世界の平和秩序が脅かされているもとで、世界はいま戦後かってない重大な歴史的岐路に立っている。日本でも衆院選で圧倒的多数を獲得した高市政権のもとで、憲法9条の改悪など平和・暮らし・人権を脅かす戦後かってない歴史逆行の危険が生まれている。日本でも総選挙の結果に強い危機感を抱く人々が、高市政権と真正面から対決する日本共産党に対して新たな期待を寄せ、新しいたたかいと連帯の輪が広がっている。世界でも日本でも、歴史の本流に立ち、逆流に正面から断固として奮闘する日本共産党の存在意義がこれほど鮮やかな時はない。

(2)党中央は、総選挙の結果について寄せられた声の一つ一つをしっかりと受け止め、総活作業を行ってきた。選挙活動を日常的に推進する上で、①「要求対話・アンケート」の取組を一貫して戦略的課題として追求すること、②早い段階から衆院比例ブロックごとに得票と議席の目標を明確にすることにおいて党中央のイニシアチブに弱点があり、選挙活動の立ち遅れにつながった。総選挙の後退の根本には、党の自力不足の問題があった。昨年9月の6中総決定に基づき「世代的継承を中軸に質量ともに強大な党をつくる集中期間」に取り組んできたが、目標に大きな距離を残したまま解散・総選挙をたたかうことになった。

(3)2024年1月の第29回党大会で決定した「党づくりで後退から前進への歴史的転換を果たす」という目標を、来年1月の第30回党大会までにやり抜くには、現在少数の支部と党員によって担われている拡大の現状を打開し、すべての支部と党員が参加する運動に発展させる以外にない。中央委員会と支部・グループが互いに学び合い、一緒に党づくりを前進させる「双方向・循環型」の取り組みを発展させることが必要だ。第8回中央委員会総会として支部・グループに「新しい手紙」を送ることを提案する。

 

志位議長の提案を解説する山下副委員長の「党建設に関わる報告」の骨子は以下の通り(一部は共産党ウェブサイトから補足)。

(1)2024年1月の第29回党大会は、党勢拡大の目標として第30回党大会までに2020年1月の第28回党大会現勢(27万人の党員、100万人の赤旗読者)を回復・突破することを目標とした。しかし、党勢の到達は党員でも赤旗読者でも長年にわたる後退から前進に転じることができず、第29回党大会の時点からさらに後退している。その結果「これだけは必ずやりきる」という目標に修正し、第30回党大会までに第29回党大会現勢(25万人の党員、85万人の赤旗読者)を回復・突破することを新たな目標とする。

(2)必要な拡大数は、党員拡大は現勢で1万3750人の前進、赤旗読者拡大は現勢で日刊紙は紙と電子版の合計で1万2803人の前進、日曜版は紙と電子版の合計で6万8398人の前進となる。党勢拡大の目標は、1支部あたり平均1人の党員拡大、日刊紙読者1人、日曜版5人の前進で達成することができる。

(3)新たな目標達成の唯一の道は、全支部・グループが参加する運動にある。そのため「双方向・循環型」の党づくりの大原則に立ち返り、全支部・グループに向けた「手紙」を送ることにした。「手紙」の一番の核心は、「党建設の前進はできるか、自信が持てない」という支部と党員の思いから問いかけ、「党づくりの大きな可能性が生まれている」ことを、客観的可能性、主体的可能性の両面から明らかにしたことにある。

(4)常任幹部会でも、幹部会でもかなり突っ込んで議論した。40年来の後退を克服するには、従来通りの活動でそんな大仕事ができるのか、できないんじゃないか――、そう考えながら活動の仕方を変えなければならないことを列挙した。

 

山下報告からわかる2026年3月現在の党勢は、党員23万6250人(25万人-1万3750人)、赤旗読者(紙と電子版を合わせて)76万8799人(85万人-1万2803人-6万8398人)となる。2026年1月に開催予定だった第30回党大会では、党員27万人・赤旗読者100万人の目標が掲げられていたが、現状は2年間で差引党員3万3750人・赤旗読者23万1201人のマイナスが出ている。これでは2027年1月の第30回党大会までに党員25万人、赤旗読者85万人回復を「必ずやりきる」目標に設定しても、実現できるかどうかは疑わしい。

 

山下報告では、「党づくりの大きな可能性が生まれていることを、客観的可能性、主体的可能性の両面から明らかにした」とある。だが、それを裏付ける客観的データはどこにも示されていない。時事通信社の最新の世論調査では、共産党の支持率は2026年2月2.0%から3月1.1%に下落している。その他各紙の世論調査でも共産党の支持率は押しなべて2~3%のレベルに低迷している。これでは党勢回復の〝客観的可能性〟が生まれているなどとは到底言えない。

 

党勢拡大の〝主体的可能性〟についてはどうか。山下報告では「1支部あたり平均1人の党員拡大、日刊紙読者1人、日曜版5人の前進で達成することができる」とあるが、これらの数字は全て「たられば」の仮定に基づくものであって、党活動の実態を反映していない。「現在少数の支部と党員によって担われている拡大の現状を打開する」(志位議長あいさつ)ためには、その現状と問題点を解明することが先決であって、「たられば」の数字を並べることではあるまい。

 

ざっと流し目で読んだだけでも、8中総の「あいさつ・報告」は杜撰(ずさん)極まるもので論評に値するものとは思われない。言い換えれば、それだけ共産党の政治方針が行き詰まり、党幹部会が「手紙」を出す程度の提案しかできないまでに衰退していることを示している。40年来の党勢後退の原因を解明できず、志位議長ら党指導部が何の責任も取らないことを前提とする8中総報告は、全支部・グループからブーイングを受けてもおかしくない代物だ。にもかかわらず、赤旗には「8中総 あいさつ・報告への(賛同する)感想」が恥ずかしげもなく掲載されている。志位議長らは、赤旗とともに共産党を墓場まで持っていくつもりなのだろうか(つづく)。

党勢の現状把握には「社会増減=入党者数と離党者数の差」と「自然減=死亡数」の基本データが不可欠、共産党の中央委員会総会報告や党大会報告は基本データが欠落している、共産党の再生は可能か(その11)

 国や地域の人口動態を正確に把握するには、「自然増減」(出生数と死亡数の差)と「社会増減」(転入数と転出数の差)を知る必要がある。日本が直面している深刻な〝人口減少〟の実態を知るには、「少子化=出生数の減少」と「多死化=死亡数の増加」の分析が不可欠であり、「東京一極集中」など各地域の転入・転出状況も把握しなければならない。国や地方自治体の基本統計の最初に「人口動態」が出てくるのは、このためである。

 

 政党組織の現状把握も同様で、「自然減=死亡数」と「社会増減=入党者数と離党者数の差」を知らなければリアルな議論をできないし、拡大目標を設定することもできない(党員は自然に生れてこないので出生数に該当するデータはない)。共産党の場合、これまで入党者数は毎月の赤旗で報告されるが、死亡者数は大会ごと報告されるだけで、離党者数に至っては報告されたことがほとんどない。党勢は政党間の力関係に直結するだけに、離党者数といった「マイナス要因」を公開するのは得策でないと判断されてきたためであろう。

 

問題はマイナス要因の大きさの程度である。それが微々たるものでもあればまだしも、無視できないほどの大きさになれば、非公開は「問題の隠蔽」と受け取られかねない。しかも、非公開が外部に対してだけでなく組織内部でも徹底されるようになると、組織の透明度は限りなく低くなる。党指導部の一部が知っているだけで下部組織や一般党員は実態を知らされず、ただ「拡大」を指示されても頑張り様がない。

 

第29回党大会(2024年1月)の「開会のあいさつ」で、志位委員長は前大会から(4年間)の党員死亡者数は1万9814人(約2万人)、入党者数は1万6千人、前大会時の党員現勢は27万人、現時点は25万人と報告した。ここから「27万人(2020年1月現勢)+1万6千人(入党者数)-2万人(死亡者数)-1万6千人(離党者数)=25万人(2024年1月現勢)」の計算式が導けることになり、4年間に入党者数と同数の離党者数が発生し、死亡者数が年々増加していることがわかる。死亡者数(自然減)の増加は党員の高齢化によるもので避けることはできないが、離党者数(社会減)は党員の意思に基づく冷厳な結果である以上、その原因や背景を究明しなければ離党者数の増加を防ぐことができない。

 

入党者数と同規模の離党者数が発生している事態は、党組織の存亡に関わる重大事だと言わなければならないだろう。社会一般でも、新入社員と同数のベテラン社員が毎年辞めていくような会社はどこかに大きな問題(欠陥)があり、健全で持続可能な企業とは見なされない。それと同じことが発生しているにもかかわらず、共産党が実態を報告せず、原因究明もしないというのでは、近代的な党組織運営の「イロハ」も学んでいないことになる。これでは、全てが家父長の一存で決まる前近代的組織の典型だと言われても仕方がない。

 

前回の拙ブログでも指摘したが、前大会から今年1月(2年間)の入党者数は8133人(年平均4066人、月平均339人)、死亡者数は1万375人(推計、年平均5187人、月平均432人)と、死亡者数が入党者数を年平均1000人も上回る状態が続いている。人口動態の比喩で言えば、転入人口(入党者数)を大きく上回る死亡者数が発生している下で、人口減少(党勢後退)を食い止めようとすれば、転出人口(離党者数)を減らす以外に方法がない。つまり、年平均4000人にも達する離党者数を減らさなければ、党勢拡大はおろか後退の歯止めすらかけることができない。

 

赤旗(3月7日)には「第8回中央委員会総会の幹部会報告」についての呼びかけが掲載されている。

――8中総は3日間とって開催されます。総選挙の総活と第30回党大会に向けた活動方針について明らかにする「党の現状を打開するうえで死活的な重要性をもつ」総会です。党大会に向けての諸課題の成功と統一地方選挙・中間選挙と国政選挙で反転攻勢に打って出ようという会議になります。

 

言葉は勇ましいが、党の現状を離党者数の分析も含めて討議しなければ、いつものように党勢拡大目標は空文句に終わるだけだ。幹部会報告の中身を注視したい(つづく)。

〝翼〟をもぎ取られた共産党は再び空中に舞い上がれるか、〝地べた〟を這う党勢拡大はもはや限界に来ている、共産党の再生は可能か(その10)

衆院選前、志位議長は日経新聞インタビュー(2月6日)の中で、「共産党の最大の弱点は数が少ないことだ。議長として国会議員の数を増やすことに専念し、強く大きな党をつくる」と力説していた。だが、選挙結果は衆院議員が8人から4人へ半減し、共産党は議場のどこにいるかもわからない「ゴマ粒」のような存在になってしまった。

 

高市首相の施政方針演説に対する衆参本会議での代表質問でも、共産党は衆院で田村委員長が代表質問に立てず、最終日を迎えた2月26日になってようやく小池書記局長が参院で代表質問に立っただけだった。共産は衆院で議員運営委員会に委員を出せなくなり、56年ぶりに代表質問の出番を失った。朝日新聞(2月27日)は、この有様を「共産・れいわ 最終日に代表質問、衆院「出番」なく参院のみ」と伝えている。衆院の代表質問にも立てない政党は〝翼〟をもぎ取られたのも同然だろう。国民や有権者の眼に党の姿が映らなければ、政治力を発揮しようにも発揮できない。国政政党としての存在感は日々薄れていくばかりである。

 

一方、惨敗を喫した「中道改革連合」の立ち位置については、雑誌『世界』(2026年3月号)で2人の政治学者が新党結成の背景や性格を論じている(この時点では選挙結果はまだ判明していない)。水島治郎千葉大教授(政治学)がインタビューに答えて語った「改革中道の世界的潮流」の骨子は、以下の通りである。

(1)19世紀末以降のヨーロッパでは資本主義対社会主義という大きな対立があり、この階級闘争に対して中間をとる協調路線として中道が出てきた。市場原理主義的な自由主義ではなく、無神論で私有財産を制限しようという革命運動や社会主義でもない漸進的な社会改革、福祉国家を志向する路線であり、1990年代から2000年代にかけて社会民主主義系の中道左派路線がヨーロッパ各国に広がった。20世紀型の中道右派は基本的に業界団体や宗教系団体を、中道左派は労働団体をベースにしていた。

(2)日本の場合、安全保障が重要な対立論点だったので、両者のスタンスも明確に分かれ、中道右派・中道左派ともに吸引力があった。ところが、21世紀に入るとそれぞれの支持団体が崩れ、しかも安全保障をめぐる状況が大きく変わって「防衛力強化か護憲か」という図式が鮮明ではなくなり、中道右派・中道左派の2大勢力のヘゲモニーが崩れていく。その中で、移民問題やアンチグローバリズムといった問題を積極的に取り上げた急進右派・急進左派が勢力を伸ばした。両者は政治的スタンスが真逆に見えても、既存政治への拒否感、反エスタブリッシュメントといった視点では共通している。両者が中道右派と中道左派を下から突き上げていく形で伸びていったのが、2020年代の状況だ。

(3)世論調査では、日本人の有権者の3人に1人は保守と革新の「中間」を選んでいる。ただ、中道に人が多い一方、単に中道政党をつくるだけではアピールできず、「改革中道」を的確に訴えることが不可欠になる。日本では、参政党と国民民主党が勢力を伸ばし、旧来の政党群が色褪せた。その状況下で解散総選挙になり、立憲民主党(中道左派)と公明党(中道右派)が「改革中道」を掲げて起死再生の策を取った。だが、立憲民主党の大半が中道に合流したため、「中道左派」の空間が空白になった。

(4)今後は、ぽっかり空いた「左」の空間をめぐる争奪戦が起こるかもしれない。社民・共産・れいわが「左派結集」の旗のもとに大同団結し、「新人民戦線」を結成するようなことがあれば、風を起こすこともあり得ると思う。

 

もう1人は、中北浩爾中央大教授(現代日本政治論)の「中道改革連合とは何か―公明党の政治戦略と政界再編」である。中北教授は、今回の中道改革連合の主導権を握ったのは公明党であり、「中道改革」という名称にしても、基本政策の5つの柱にしても、すべては公明党が提案したものだと指摘している。公明党が自民党との連立離脱から立憲民主党と合流するまでの経過は省略し、結論部分だけを紹介しよう。

(1)立憲民主党は、公明党との新党結成を通じて、安保法制の合憲と原発の再稼働を打ち出した。中道改革連合の結成は、民進党から立憲民主党へと続いた共産党を含む「市民と野党の共闘」、いわゆる野党共闘からの最終的な決別を意味する。

(2)「中道保守」を自認する野田代表は、安保法制の違憲部分の廃止という立憲民主党の基本政策を変えなければならないと考えていたが、党内の軋轢を考えて慎重に進める一方、政界再編の機会をうかがっていた。公明党の連立離脱でそのチャンスが訪れると、野田代表は公明党への接近を追求していった。

(3)公明党は立憲民主党との協力を強めながらも、そこに決して軸足を置こうとはしなかった。斎藤代表が「『中道改革』の旗を高く掲げ、与野党の結集軸として新たな地平を切り開く」と訴えたのは、公明党が触媒となって自民党、国民民主党、立憲民主党を対象に「中道改革」勢力の結集を図ろうとする政治戦略に基づくものであった。高市首相とその周辺の右派を抜きにした自民党及び国民民主党を含む「中道改革」勢力の結集が最終的な目標であり、立憲民主党との新党結成はその第一歩にすぎないという位置づけだ。

(4)高市政権に対抗して選挙に勝利するには、新党結成が最も有効な選挙戦術だと考えられた。比例代表で公明党を優遇する代わりに、小選挙区で公明党の支援を受けられれば、立憲民主党は獲得議席を大きく増やすことが期待できた。メディアの予測でも、公明票が立憲民主党に流れれば政権交代もあり得るとの観測が飛び交った。衆院選に勝ち抜くため、野党共闘に熱心だった議員も全員が新党に参加した。中北氏は、この事態を「立憲民主党はすでに政党としての活力を失っていたと言わざるを得ない」と断じている。

 

この時点では、衆院選の結果はまだ判明していない。おそらく『世界』次号では「惨敗を喫した中道改革連合(立憲民主党)」の特集が組まれると思うが、私なりの予測では「ぽっかり空いた左の空間」を一体だれが埋めるのかが、メインテーマになるのではないか。だが、中道改革連合の重心が公明寄りの「中道右派」にシフトした現在、新党代表を立憲出身の小川淳議員に代えても「ぽっかり空いた左の空間」を埋めるのは容易でない。今国会の予算委員会での質疑一つを取ってみても、中道委員の中にはまるで与党まがいの質疑に終始したメンバーも少なくなかった。政府答弁の度に大きく頷き、自民閣僚からは「前大臣の仰せの通り」などと打ち返されて満足げな表情を見せる野党質問など、およそ迫力を欠くことおびただしい。

 

NHKの日曜討論番組でも中道、立憲、公明の「各党」が出席しており、いったいどの党が「中道改革連合」を代表しているのかよくわからない。これでは「中道ってどんな党?」といった疑問が膨らむばかりで、中道の影はますます薄くなる。このまま統一地方選や次期参院選を戦うとなると「各党共倒れ」になり、中道は影も形もなくなるのではないか。衆院選で壊滅した立憲の余波が、今度は公明にも及ぶかもしれないからである。

 

2月末から3月上旬にかけての各紙の論評は厳しい。日経新聞は「野党内憂 揺らぐ足場」「中道、落選者の離党相次ぐ、反転攻勢の道険しく」(2月25日)、「中道、止まらぬ遠心力」「落選者の意見聴取、融合機運乏しく、比例名簿 公明優遇に不満」「地方議員、合流先送り論」(3月1日)など、悲観的な見出しが並ぶ。

 

朝日新聞も2月28日に行われた中道改革連合の「落選者ヒアリング」の模様を、「中道 離れる立憲支持者、「らしさ」喪失 落選者も批判」(3月1日)と伝えている。落選者ヒアリングで出た主な意見は以下の通りである。

・中道結成は正しかったのか。選挙協力にとどめるべきだったのでは。

・比例名簿では公明出身者が上位に。立憲出身者の比例復活当選のめどがほぼ立たず、意欲をそがれた。

・落選者が立ち上がるためには、党からの資金面での援助が重要だ。

・「立憲らしさ」が失われたのではないか。

・中道は組織が整っていない。いったん立憲に籍を置いたほうが活動しやすい。

 

 朝日新聞の「月初めのコラム」(3月1日)では、松田政治部長が「野党に必要な次世代の戦略家」とのタイトルで、小池東京都知事と高市首相の会談(1月22日)の内容を紹介している。小池氏が2017年、衆院解散に合わせて「希望の党」を結党した時、憲法や安全保障などの考えに違いのある旧民進党リベラル派を「排除します」と宣言し、反発した議員らが立憲民主党を結党した。その立憲が今度は公明党との合流で中道をつくりにあたり、基本政策で妥協したのである。17年衆院選で希望の党は50議席で惨敗、今回の中道も49議席の惨敗だった。コラムの結論はこうである。「今回の中道は、比例上位で公明候補を処遇することで、選挙区での見返りを立憲側が当て込む姿があからさまだった。比例名簿は選挙戦略にとどまらず、党のありようを示す。政策でも妥協を重ねた立憲から多くの支持層が離反した。新党はイメージづくりに失敗したうえ、冷徹な計算ができず、詰めが甘かった」。

 

 立憲と同じく惨敗を喫した共産党はどうか。立憲が中道に合流して「ぽっかり空いた左の空間」を共産が果たして埋めることができるのか。事態は極めて深刻だと言わざるを得ない。最近のメディアでは、共産党関係の記事はニューバリューがないのかほとんど見られなくなった。しかし、赤旗日刊紙や日曜版を読んでいれば、その姿が正確にわかるというものでもない。党員や機関紙の拡大活動一つにしても個々の事例紹介はあるが、党勢全体の動向を分析した客観的報道は皆無に近い。赤旗では党員や支持者を鼓舞する「プロパガンダ」的編集の下で、党組織や党活動の欠陥や問題点は忌避(隠蔽)され、志位議長をトップとする党中央の見解が上から流されているだけだからである。

 

 前回の拙ブログで紹介した碓井敏正氏(哲学者)の市民フォーラム投稿には、「政党組織は固有の問題を抱えている。それは、組織は一旦成立すると、本来の目的よりも組織の維持を自己目的化する。そのため社会変革より勢力の拡大(党員や機関紙像)を重視するようになる」との指摘がある。事実、赤旗の党活動欄は党勢拡大一色に染められ、下部組織や党員は〝地べた〟を這うような党勢拡大活動に明け暮れている。だが、高齢化する一方の党組織がSNS時代の若者世代にアプローチすることは難しい。毎月報告される1カ月間の党勢拡大の結果は、党中央の𠮟咤激励にもかかわらず後退一方で回復の兆しが見えない。

 

第29回党大会(2024年1月)以降の2年間の党勢拡大の結果を見よう。

〇2024年:入党者数4852人(月平均404人)、死亡者数5110人(推計、月平均426人)、日刊紙7884人減(月平均657人減)、日曜版3万6047人減(月平均3004人減)

〇2025年:入党者数3281人(月平均273人)、死亡者数5265人(推計、月平均439人)、日刊紙6869人減(月平均572人減)、日曜版3万5066人減(月平均2922人減)、日曜版電子版9303人増(月平均775人増)

 ※死亡者数は、第28回党大会から第29回党大会までの2年間の死亡者数を母数、同期間の赤旗訃報欄掲載数を分子とした比率(38%)から算出した推計値。

 

 最近2年間の党員数の推移を総括すると次のようになる。

(1)入党者は2024年4852人(月平均404人)、2025年3281人(月平均273人)と3分の2(67%)に縮小している。

(2)死亡者は2024年5110人(月平均426人)、2025年5265人(月平均439人)と増加し、死亡者が入党者を上回る状態が続いている。

(4)離党者数(未公表)を2020年1月現勢27万人、2024年1月現勢25万人から推計すると、4年間の離党者は1万6千人(年平均4000人、月平均333人)となる。

   ※27万人(2020年1月現勢)+入党者1万6千人-死亡者2万人-離党者1万6千人=25万人(2024年1月現勢)

(5)死亡者1万375人と離党者8千人を合わせると1万8375人になり、入党者8133人の2.3倍になる。

(6)離党者数がその後も継続しているとすると、党員現勢は2025年1月24万5742人(25万人+4852人-5110人-4000人)、2026年1月23万9758人(24万5742人+3281人-5265人-4000人)となり、2年間で1万人(月平均416人)減ったことになる。

 

 最近2年間の党員数の推移を総括すると次のようになる。

(1)入党者は2024年4852人(月平均404人)、2025年3281人(月平均273人)と3分の2(67%)に縮小している。

(2)死亡者は2024年5110人(月平均426人)、2025年5265人(月平均439人)と増加し、死亡者が入党者を上回る状態が続いている。

(4)離党者数(未公表)を2020年1月現勢27万人、2024年1月現勢25万人から推計すると、2年間の離党者は1万6千人(年平均8000人、月平均666人)となる。

※27万人(2020年1月現勢)+入党者1万6千人-死亡者2万人-離党者1万6千人=25万人(2024年1月現勢)

(5)死亡者1万375人と離党者1万6千人を合わせると2万6375人になり、入党者8133人の3倍強になる。

(6)離党者数がその後も継続していると、党員現勢は2025年1月24万1742人(25万人+4852人-5110人-8000人)、2026年1月23万1758人(24万1742人+3281人-5265人-8000人)となり、2年間で1万8千人(月平均750人)減ったことになる。

 

機関紙「しんぶん赤旗」購読者数の推移を見よう。機関紙は電子版の発行で「起死回生」を目指したが、その効果があらわれていない。

(1)2024年:日刊紙7884人減(月平均657人減)、日曜版3万6047人減(月平均3004人減)、計4万3931人減(月平均3661人減)

(2)2025年:日刊紙6869人減(月平均572人減)、日曜版「紙」3万5066人減(月平均2922人減)、同「電子版」9303人増(月平均775人増)、計3万2632人減(月平均2719人減)

(3)2年間の購読者数は、日刊紙1万4753人(月平均614人)、日曜版6万1810人(月平均2575人)、計7万6563人(月平均3190人)減少し、前大会現勢85万人から77万人余(9割)となった。

 

第29回党大会(2024年1月)の党勢拡大目標は、①第30回党大会(2026年1月予定)までに、第28回党大会現勢(党員27万人、赤旗読者100万人)を必ず回復・突破する、②2028年末までに、党員35万人、赤旗読者130万人を達成する――というものだった。しかし、党勢拡大が進むどころか、党員は逆に2年間で25万人から24万人へ、赤旗読者は85万人から77万人へ後退し、第30回党大会を2027年1月に延期せざるを得なくなった。「翼=国会議員」をもぎ取られた共産党は、いまや「胴体=党組織」そのものが老化し、機能不全を起こしている。第8回中央委員会総会は、衆院選の総活を通してこの深刻な現状にどう向き合うかが問われている(つづく)。

立憲民主党の安保・原発政策の変質を批判した共産党が、なぜリベラル層の「受け皿」にならなかったのか、共産党の再生は可能か(その9)

衆院選投開票日から2週間余り、各紙では高市自民党の圧勝と中道大敗の原因についての分析が続いている。前者についてはもう言い尽くされているので省略するが、後者の方はさほど見るべき分析がない。その中で、落選した元立憲民主党の重鎮たちが語った日経新聞のインタビュー記事「大敗の中道、どう生きるか」が目に留まった(「ニュースぷらす」2月20日)。

 

【馬淵澄夫・中道前共同選挙対策委員長】

――中道路線というコンセプトは間違っていなかった。比例で1043万票を取ったのは新党の大きな成果だ。これだけの民意を得ているんだから中道の灯を消しちゃダメだ。政権交代を叫び、与党に対峙した民主党の姿勢は古い政治だと思われてしまった。政策実現のための政策集団でスタートを切る以外ないと考えた。中道結成で一番争点化すると思われたのは原発と安全保障政策だ。両党の政調会長が知恵を出して皆さん賛同して参加し、ここは問題ないと思っている。だが、選挙戦は思うようにいかなかった。本当にあっという間に無党派が離れていく感覚だった。希望の党騒動では駅頭で怒鳴られ、罵られたが、今回は全くない。今までと同じ選挙では戦えない。必ず雪辱を果たして再起を期す。中道で活動を続ける(抜粋)。

 

【岡田克也・元外相】

 ――敗因は3つ感じている。まず政策論争が不十分で、争点がない選挙になった。次に中道は衆院解散の1週間前に結成したばかりで、党名や何をする党なのかという主張が浸透しきれなかった。中道という言葉は含蓄のある言葉であるものの、分かりづらかった。短期決戦において比例票が増えない理由になったかもしれない。立憲民主党の支持者による公明党への距離感もあっただろう。中道結成に際し、立民が安全保障法制に関して現実的な主張に立ったことも浸透しきらず評価に至らなかった。政策を真ん中に寄せたことがマイナスだったとは思わない。第3に、SNS上の誹謗中傷の問題は深刻だ。私や安住淳氏も集中的な個人攻撃の影響を受けた。中道の小川淳代表には政権交代を目指すことを、ぶれずに中心に据えてもらいたい。あくまでも大きな固まりをつくっていくべきだ。国民民主党やみらいなどと協力する立場に立つ必要がある。中道に合流していない立民や公明党の参院議員も同様だ(抜粋)。

 

【吉田晴美・元立民代表代行】

 ――新党が衆院選の直前にできて「どういう党なのか」という声が多かった。「立憲民主党の吉田」でずっと活動してきたので、「吉田さんは変わったのではないか」と言われることが多かった。憲法や安全保障、原発といったリベラル系の支持層が一番気にする政策が不安材料になったと思う。小川淳代表には党の組織運営の方針を早く出してほしい。焼け野原になったと言われるが、向き合うしかない。100人以上落選した元議員が言いたいことを言い、敗因分析しなければ次のステップを踏めない。私は若い世代が大事だと思い活動してきた。一番難しいのは、難しい議論をいかにシンプルにするか。それをきちんとやれるかが若い層に訴求できるポイントだ(抜粋)。

 

同じ党の要職にありながら、3人3様で言うことがそれぞれ違う。中道の理念、安保・原発政策変更に関する評価、今後の党運営に関しても各人各様の異なる主張が展開されている。そこには新党の理念や政策を十分煮詰めず、各候補者がバラバラで選挙戦に突入せざるを得なかった様子がよくあらわれている。これでは、立憲・公明両党の支持者が戸惑ったのも無理はない。とりわけ、立憲民主党を支持してきたリベラル層の戸惑いは大きかったのではないか。高市首相による衆院解散という「奇襲攻撃」と「推し活選挙」が相まって、空前の「高市人気」が沸き起こり(引き起こされ)、馬淵氏が言う如く、中道は「あっという間に埋没」してしまったのである。

 

もともとリベラル層とは縁の薄い野田佳彦氏が立憲代表に選ばれ、「中道リベラル」ならぬ「保守中道」を目指していたことは周知の事実だった。野田氏が公明の連立離脱を好機と捉え、新党結成に動いたのは当然の成り行きだった。だが、公明の連立離脱が「反自民」の空気を伝えるものとして予想外の反響を呼んだことから新党結成への期待が高まり、マスメディアや専門家の間でも「ひょっとすると」の観測が流れた。だが、今となって見れば、この期待は全くの「的外れ」に終わった。政党政治への不信と苛立ち、民意の流動化の影響の方がはるかに大きかったのである。

 

前回衆院選(2024年)と今回衆院選の投票先を聞いた毎日新聞の世論調査(2月21,22日実施)によれば、中道大敗の原因となった有権者の投票行動の変化がよくわかる。以下は、その骨子である。

 (1)回答者全体の35%を占める無党派層の今回の小選挙区投票先は、自民20%、中道16%、国民民主5%、維新3%、共産3%。前回の小選挙区投票先は、立憲16%、自民12%、維新4%、参政党3%、国民民主3%だった。

 (2)前回の小選挙区で立憲に投票したと答えた人のうち、今回、中道に投票したのは66%、12%は自民に投票したと回答。前回、公明に投票した人は約7割が中道、約2割が自民に投票したと答えた。前回小選挙区で立憲、公明が獲得した票のうち約3分の1が他党に流れ、3分の2程度しか中道に投票しなかった。

 (3)ただ、自民が強い「数の力」を持つことには慎重な意見も多い。衆院選前の1月調査で自民の単独過半数が好ましいかを聞いた質問には、「望ましい」27%、「望ましいとは思わない」42%だった。2月調査でも、自民が単独で3分の2超の議席を得た結果について、「よかったと思う」30%、「よかったとは思わない」39%だった。

 

世論では、衆院選前には自民が単独過半数を占めることについて「望ましいとは思わない」が多数を占め、選挙後は自民が単独で3分の2議席超を占めたことについても「よかったとは思わない」が多数を占めているにもかかわらず、自民が圧勝したのはなぜか。私はその原因の一つに、共産党が新党結成に失望したリベラル層の「受け皿」になれなかったことがあると考えている。事実、毎日世論調査では、前回衆院選小選挙区で「立憲に投票した」人の12%が今回は自民に投票し、共産はその対象にならなかったのである。

 

紆余曲折はあったが、市民と野党の共闘が2016年に成立して以降、現在まで4回の衆院選が行われてきた。この間、立憲民主党の比例得票数・得票率は、2017年1108万4千票(19.8%)、2021年1149万2千票(20.0%)、2024年1156万5千票(21.2%)と得票数は1100万票台、得票率は20%前後の高台を維持してきた。これに対して共産党は、2017年440万4千票(7.9%)、2021年416万6千票(7.2%)、2024年336万8千票(6.1%)と減少の一途をたどってきた。選挙結果から言えば、共産は野党共闘に貢献したにもかかわらず票を減らし、立憲はその成果を「独り占め」してきたと言える。立憲支持層は(京都選挙区でも見られたように)もともと「非自民・非共産」の体質が強く、候補者を立てない選挙区でも共産に票を回すようなことはなかった。今回の衆院選では立憲が解党したにもかかわらず、共産はそれに失望した立憲支持層3分の1の「受け皿」になれなかったのである。

 

市民活動家が意見交換するネットの「市民フォーラム」では、立憲が壊滅し、共産が衰微する一方の政治情勢の下で、革新勢力の再興を図るための意見や提案が飛び交っている。その中には共産党に対する「民主集中制」党規約の改革や党首公選制の提案も含まれている。さまざまな意見や提案が交錯する中で、最近注目すべき見解が投稿された。以下、少し長くなるが、哲学者・碓井敏正氏のコメントを紹介しよう(市民社会フォーラム、2月20日)。

――皆様、初投稿をする碓井敏正と申します。皆様のご意見に賛成ですが、共産党の抱える問題は想像以上に深刻です。この問題は、すでに100年以上前にドイツ社会民主党の幹部で社会学者のミヘルスが『現代民主主義における政党の社会学』(1911年)で、また最近ではパーネビアンコが『政党』で明らかにしたように、一般の組織以上に、政党組織は固有の問題を抱えているからです。それは、①組織は一旦成立すると、本来の目的よりも組織の維持を自己目的化する、そのため社会変革より勢力の拡大(党員や機関紙像)を重視するようになる。②幹部が組織と自己を一体化することにより、寡頭的支配が強まり、異論を受け付けつけず排除する。民主集中制がその根拠となる。松竹、鈴木氏の除名問題はその現れでしょう。

 これらの傾向は専従幹部の自己利益と結びついているため、改革は容易ではありません。特に反体制の社会主義政党は、専従幹部は組織外で生活できないため、この傾向が強くなります。これらの問題について、私の専門は哲学ですが、経営組織論を参考にして、これまで『日本共産党への提言』(2023年)、『日本共産党、再生への条件』(2025年、いずれも花伝社)において論じてきました。また今年中に(来年1月の党大会までに)花伝社から3冊目の著書を出す予定です。なおこの点について、2年前に松竹氏とユーチュブで対談をしています。視聴者は1万人を超えていますが、参考にしていただければ幸いです。

 ただ今回の総選挙の結果は、共産党だけの問題ではなく、深刻です。特に若者層を中心とした社会意識の変化、すなわち戦後の平和主義や憲法理念を当然視しない国民が増えているという事実が、背景にあるのではと思っています。それだけに今後の日本の革新運動は、これまで以上に困難になる気がします。その点でまず求められるのが、国際情勢の変化(特にアメリカの一極支配の終焉、中国の台頭など)をはじめ、現状の分析だと思います。

 

拙ブログにおいても碓井氏の見解はその都度紹介してきたが、今回のコメントはそれらのエッセンスとも言うべき内容が簡潔に述べられている。碓井氏の著書に対する共産党の反論はまだ出ていないが、今年3月の第8回中央委員会総会あるいは来年1月の第30回党大会ではいつまでも黙殺することは許されないだろう。共産党の再生の第一歩は、今回衆院選の総活をどう打ち出すかに懸かっているからである(つづく)。

衆院選で惨敗した「中道改革連合」、参院選と統一地方選は元の「立憲・公明」で戦うという、〝2面相〟政党は国民に信頼されないだろう、共産党の再生は可能か(その8)

衆院特別国会は2月18日に召集される。会期は7月17日までの150日間、召集日に首相指名選挙が行われ、高市首相が再び選出される予定だ。20日には首相の施政方針演説、24~26日には衆参両院で代表質問が行われることになっている。投開票日から現在に至るまでの間、中道改革連合の代表選挙や党人事などが行われ、また選挙結果に関する各紙の世論調査も実施された。未曽有の惨敗を喫した中道改革連合はこれからいったいどこに向かうのか、世論は中道改革をどう評価しているのか、それらの動向を中心にこの間の経緯を追跡してみた。

 

立憲民主党の水岡俊一参院議員会長は2月12日、衆院で中道改革連合を結成した公明党との関係について、18日召集予定の特別国会では参院の統一会派を見送ると記者団に表明した。中道への合流を巡っても「結成の際の条件や約束を聞いていないので、述べることができない」と慎重姿勢をにじませた。中道は衆院選直前に結成したため当初は衆院議員のみが参加し、将来的には参院側の合流を見込んでいた。参院での統一会派結成がそのステップになるとみられていたが、衆院選惨敗を受け、参院側では合流への慎重論が出ている(共同通信2月12日)。

 

中道改革連合の小川淳也新代表は2月15日のNHK番組で、幹事長をはじめとする執行部人事を巡り、党内融和を重視する考えを重ねて強調した。「一致結束した上で外に訴えていく。極めて慎重に、いろいろなバランスに配慮したい」と述べた。両党に残ったままの参院議員の合流は、時間をかけて検討する考えを示した。「衆院選の厳しい結果を受け、固定観念を持って考えるわけにいかない。柔軟に、時間の幅を持って考えたい」と説明した(同、2月15日)。

 

この2つの記事には、中道改革連合の将来を展望する上で看過することができない重大な内容が含まれている。衆議院の惨敗を目の当たりにした立憲民主党の参議院側が中道改革への合流に「待った」をかけ、統一会派も組まないことを表明した。小川新代表も、参議院側の合流は「時間をかけて検討する」と確たる方針を示していない。もしこのまま時間が経過すれば、来年4月の統一地方選や2年後の参院選では、立憲民主党と公明党がバラバラに選挙を戦うことになり、中道改革は身動きができなくなる。

 

自民党をはじめ与野党各派が今後激しい選挙戦を繰り広げることが予想される中で、立憲・公明両党の候補はいったいどのようにして統一地方選・参院選を戦うのか。選挙政策一つにしても、立憲・公明それぞれが独自の政策を掲げるのか、それとも衆院側とすり合わせて共同の政策を掲げるのか、まったく予測が付かない。それぞれが独自の政策を掲げるのであれば、衆院側との整合性が問われるだろうし、共同の政策を掲げる場合は「どっちつかず」の曖昧な内容になり、有権者にアピールすることが難しくなる。どっちにしても衆院側と参院・地方側の顔が異なる〝2面相〟政党は、政党の存立に関わる根本的矛盾を抱えることになる。

 

読売新聞の投開票日直後の2月9~10日に行った緊急全国世論調査によれば、今回の衆院選の結果を「よかった」と答えた人は全体で55%、男女別では男性61%、女性49%、年代別では18~39歳63%、40~59歳58%、60歳以上48%となり、若い世代の男性を中心に自民党の圧勝を歓迎している。一方、中道改革に「期待しない」と答えた人は80%、衆院解散直後の前回1月調査から11ポイント上昇し、「期待する」は6ポイント下落して16%になった。また、自民が大きく議席を増やした理由(9項目から複数回答)を見ると、「高市首相の政治姿勢が期待された」81%で第1位、「野党の党首に魅力がなかった」64%で第2位となり、高市首相の人気の高さに比べて中道党首への不評が際立っている。

 

その後、朝日新聞(2月14~15日)と日経新聞(2月13~15日)の世論調査が相次いで実施された。朝日新聞は中道改革に関する質問がないので比較できないが、自民党が3分の2を超える議席を得たことに対する回答は「ちょうどよい」29%、「多すぎる」62%、「少なすぎる」2%となっている。「多すぎる」と答えた割合は年代が上がるほど多く、18~29歳では44%に対して70歳以上では78%に達した。また、国民の間で賛否が分かれている政策は「慎重に進めるほうがよい」63%、「積極的に進めるほうがよい」30%となった。この回答は男女差が大きく、「慎重に進めるほうがよい」は男性52%、女性73%となっている。朝日の質問は、自民党の国会運営に関する内容が中心になっていて、ブレーキをかける回答も用意されているので、回答もその方向に傾いている。

 

日経新聞の質問は読売新聞に近い内容となっている。自民党が3分の2の議席を獲得したことについては、「妥当な結果だった」44%、「もっと少なくても良かった」49%、「もっと多くて良かった」4%となり、中道の新代表への期待に関しては「期待する」29%、「期待しない」60%だった。朝日・日経の調査は投開票日から少し日が経っていることもあって世論が沈静化し、読売調査よりも自民党圧勝に対する評価が否定側に傾いている。しかし、中道改革に対する期待感が薄いのは同じで、代表選挙が行われたばかりの中道新代表に関しても「期待しない」が「期待する」をダブルスコアで上回っている。

 

各紙の世論調査から見ても、中道改革の前途には想像以上に厳しいものがある。小川新代表は、参院側や地方に残った議員の去就について「時間をかけて検討する」とは言っているが、残されている時間はそう長くない。もし特別国会で「野党第1党」としての中道改革の存在を発揮できなければ、政治力学の遠心力は「解党」に向かって働くことになる。いわば「薄氷を踏む」ような事態が待ち受けているのであって、今後の政局の動きは予断を許さない。

 

一方、議席数「4」に半減した共産党の方はどうか。小池晃書記局長は2月16日の記者会見で、3月13~15日の日程で中央委員会総会を開き、議席減に終わった衆院選の総括を行うと発表した。投開票日翌日に出された常任幹部会声明は、「なぜ日本共産党が重大な後退をきっしたか。その総活については党内外の方々の声によく耳を傾け、学びながら、あらゆる面で自己検討を深め、次の中央委員会総会で明らかになるようにします」とあるので、どのような総括を行うかが注目される。

 

しかし、いつものような「党の力が足りなかった」ことが得票数と議席減の最大原因であり、「強く大きな党をつくる」ことが今後の課題だとする通り一遍の総括は、もはや通用しない。また、党指導部の責任を棚に上げ、党員や支持者の奮起を促すような一方的で偏った総括も受け入れられないだろう。党組織の抜本的改革と党指導部の刷新が具体的に提起されない限り、共産党の再生が難しいことは誰もが知っているからだ。最後に、前回の拙ブログに対して寄せられたある党支持者のコメントを紹介して終わりにしたい。

 

「党組織の抜本的改革と党指導部の刷新に関しては、わたしは常任幹部会のメンバーは退き、新しい指導部のもと、党名・規約・綱領(社会主義という目標など)・幹部政策(選抜方法・定年制・任期・給与など)の検討をして出直すのがす筋だと思います。いままでそうできなかったから、今日の惨状があると思います。わたしは選挙のたび、票読みもし、カンパもしてきましたが、今回はやめました。赤旗発行に毎年10億円の赤字を出し、それを党員のカンパで補填するといったでたらめな党運営では太平洋に塩を投げ込むようなものだと思ったからです。投票日に、党の地区委員に現状維持ならば「大勝利」、普通に行けば「半減」と言って悲しそうな顔をされましたが、同時にその方はそうなるかもしれないと言っていました。ネットの登場した社会と人々の意識の変化がわからない幹部たちには、残念というより怒りです。党員の皆さんはなんのために苦労してきたのでしょうか」                 

 

このコメントには、国政選挙における共産党の得票数と議席数が構造的に減っていく有様が、まるで「絵のように」描かれている。その上で共産党の再生を図るための具体的で現実的な提案が附されている。共産党が本当に「党内外の方々の声によく耳を傾け、学びながら、あらゆる面で自己検討を深める」のであれば、このコメントにあるような声に応えることが何よりも求められるのではないか(つづく)。

国民世論がポピュリズム化している、「日本型ポピュリズム=推し活選挙」が自民党の歴史的圧勝を導いた、共産党の再生は可能か(その7)

第51回衆院選は2月8日、投開票され、定数465(小選挙区289、比例代表176)のうち、自民党は単独過半数(233議席)を大きく上回り、少数与党の参院で法案を否決されても再可決できる3分の2(310議席)を超え、316議席に達した。一つの政党が3分の2にあたる議席を確保するのは戦後初めてのことであり、そこには自民党が小選挙区の議席を31都県で独占したことがある。一方、立憲民主党と公明党が結成した新党「中道改革連合」は、公示前の167議席(立憲143、公明24)から3分の1以下の49議席(立憲21、公明28)に激減して惨敗した。国会地図は、与野党の間に歴史的とも言うべき大変動が生じたのである。

 

しかも、惨敗した中道の中身が尋常ではない。立憲民主党が143議席から21議席へ122議席(85%)失ったのに対し、公明党は逆に24議席から28議席へ4議席(17%)増やしている。鳴り物入りで新党を立ち上げたにもかかわらず、一方の立憲が壊滅し、他方の公明が増大するという「複雑骨折=ねじれ現象」が生じた。この事態は、中道の選挙戦略に致命的な誤りがあったことの結果であり、立憲の中に抜きがたい不公平感と不信感を生み出し、このまま一つの政党として存続できるかどうか、大きな影を落としている。

 

世間では、自民党の歴史的圧勝は「高市人気」がもたらしたもの――との観測が有力だ。しかし、歴史的圧勝の原因を高市氏個人の資質によるものと考えるのは、あまりにも単純すぎる。この間、選挙結果に関する各紙の膨大な情報を前にして判断に迷っていたのは、高市人気と国民世論との間にどんな関係があるのか、見当がつかなかったからである。それでも各紙を読み比べているうちに、幾つかの手掛かりが見えてきた。その一つは、日経新聞(2月10日)の「推し活化の波つかんだ」とする、山田昌弘中央大教授(社会学)の分析だった。山田教授はこう指摘する(要旨)。

――自民党が圧勝した背景には、好きなアイドルやキャラクターを応援するように、選挙の「推し活」化が進んでいる影響がある。経済停滞が長引き、努力しても報われず、将来に希望が持てない「希望格差社会」の中で、自分の応援で「推し」が活躍すれば、満足感が得られるアイドルグループの「総選挙」が広がっているように、実際の選挙でも同様の現象が見られる。高市首相が衆院解散を表明した1月の記者会見で「高市総理か、別の方か」と自らの職を賭す姿勢を示した言葉が、推し活化が進む状況とうまくかみあった。

――政策の中身よりもイメージやキャラクターが重視された選挙戦で、他党と違う明確な対立軸を打ち出せなかった中道は伸び悩んだ。政党はタレントを育成・演出する芸能プロダクションのようになりつつある。有権者が政治を身近に感じられる効果はあるものの、政策が二の次になり、長期的な視野での課題解決が先送りされる懸念は大きい。

 

山田教授の分析は、今回の選挙の一面をよく捉えている。高市首相の選挙戦の模様をテレビニュースで見たが、政策の中身をあまり語らず、ただ決意を繰り返すだけの演説に対して数千人の聴衆が歓呼する有様は、指摘通りの光景だった。ヒットラーやゲッペルスが万余の聴衆を魅了したナチス党の集会とまではいかないまでも、それに似た空気が集会に溢れていたのには、ある種の脅威を感じないわけにはいかなかった。

 

この視点を日本政治全般にわたって論じたのが、翌日の日経新聞(2月11日)、「『推し活』選挙 政党政治を溶かす、戦後民主主義に引導」とする、政策報道ユニット長の論説である(要旨)。

――日本の政治構造が大きく変わった。自民党は8日の衆院選で316議席を獲得した。単独の政党が衆院定数の3分の2を上回るのは戦後初となる。この圧勝は政党勢力図の変化を表すにとどまらない。欧米のような激しい社会分断や衝突こそないものの、静かに政党政治が溶解していく「日本型ポピュリズム」の一つの到達点を指し示す。

――れいわ新選組や国民民主党、参政党が氷河期世代対策や外国人政策などを通じて政党ブームを巻き起こした選挙はあったが、それでもブームの中心には政策があった。一方、高市首相を支えたネットからは政策が消え、あるのは「サナ推し」という「推し活」だった。政策を説明する内容はほとんどなく、目立ったのは「持ち前の明るい笑顔で逆境に立ち向かうヒロイン」の姿だった。政治家への支持において「推し」ほど強力な形態はない。政治家と有権者の関係は、間接民主主義における「負託」でもなく、成果や見返りへの「期待」でもなく、フアンからの「貢献」があるだけだ。

――「推し活選挙」の末の高市1強体制は日本をどこに導くのか。地殻変動の一つは、「護憲vs改憲」を対立軸とした戦後民主主義の構図に引導が渡されたことだ。自民大勝の背景には、「左派の旗手」という立ち位置ながら選挙直前に公明党と「中道改革連合」を結成し、肝心の安全保障政策への姿勢を曖昧にした立憲民主党への不信がある。本来なら他のリベラル政党が新党への失望票の受け皿となるはずだが、むしろ議席を減らし、存在感は風前のともしびとなった(以下略)。

 

ここで指摘されている最大のポイントは、「推し活選挙」が政党政治の溶解を引き起こし、「護憲vs改憲」を対立軸とした戦後民主主義の構図に引導が渡された――とする分析であろう。論説には、護憲勢力が「風前のともしび」であることを示す数字は掲載されていないが、共産党が8議席から4議席へ半減、れいわ新選組が8議席から1議席へ壊滅寸前、社民党が1議席も取れなかったことを思えば、まさに「風前のともしび」というほかない。

 

共産党は「総選挙の結果について」(常任幹部会声明、赤旗2月10日)において、後退の原因を次のように記している。

――「高市旋風」がつくられ、多くの政党が高市政権に迎合・屈服する状況がつくられたことは、高市政権と正面からたたかうわが党にとっては大きな逆風として作用しました。それは高市強権政治に立ち向かうわが党のかけがいのない役割が、多くの有権者に伝わるならば、わが党の前進・躍進の契機にもしうるものでしたが、逆風を押し返すには党の力があまりにも足らなかったというのが、私たちの強い実感です。

 

同様のことは、志位議長が衆院選直前の日経新聞のインタビュー(2月6日)の中でも、「共産党の最大の弱点は数が少ないことだ。議長として国会議員の数を増やすことに専念し、強く大きな党をつくる」と語っている。いずれも「党の力が足りない」「数が少ない」というだけで、なぜ足りないのか、なぜ少ないのかについては語らないのである。

 

この5年間に5回の国政選挙があったが、共産党の比例得票数・得票率は、2021年衆院選416万6千票(7.2%)、2022年参院選361万8千票(6.8%)、2024年衆院選336万8千票(6.1%)、2025年参院選286万4千票(4.8%)、2026年衆院選251万9千票(4.4%)と縮小し続けている。その根本原因である「民主集中制」など党の構造的な閉鎖的・権威主義的体質にメスを入れないで、四半世紀にもわたって党指導部トップに居座っている人物が、「国会議員の数を増やす」「強く大きな党をつくる」と言っても通用しない。

 

上記の常任幹部会声明には、「なぜ日本共産党が重大な後退をきっしたか。その総活については党内外の方々の声によく耳を傾け、学びながら、あらゆる面で自己検討を深め、次の中央委員会総会で明らかになるようにします」とあるが、言葉の上でいくら反省しても、党組織の抜本的改革と党指導部の新陳代謝が進まない限り「空文句」にしか聞こえない。事実、志位氏は「議長として国会議員の数を増やすことに専念する」と発言しており、(不破議長のように)90歳を過ぎても党指導部に居座り続ける決意を示している。

 

国民世論がポピュリズム化し、「日本型ポピュリズム=推し活選挙」が政党政治を溶解させつつある現在、共産党が「憲法を真ん中にすえた確かな共同」をつくると言っても、衆議院議員465人のうち「4人」、れいわ新選組を入れても「5人」というのでは、「象の前のアリ」の発言に等しい。現在の党組織と党指導を前提にした「確かな共同」を呼びかけは、むなしく空中に消えていくだけだ。

 

「憲法を真ん中にした確かな共同」をもし本気でつくるのであれば、立憲民主党と同じく、共産党も「解党的出直し」を求められる。新しい立憲民主党と共産党が本気で向き合うとき、国民世論のポピュリズム化を阻止し、政党政治を復活させることができる。次の国政選挙までにその態勢が整うかどうか、そこに日本国憲法と戦後民主主義の命運が懸かっている(つづく)。

自民は単独過半数を超え大幅議席増、中道は半減の可能性、通常国会冒頭解散にあたって(4)、共産党の再生は可能か(その6)

1月29日から30日にかけての日経・読売・毎日各紙の「衆院選序盤情勢調査」、2月に入ってからの朝日の「中盤情勢調査」を読んで、予想外の展開に驚いた。選挙前は中道改革連合の結成もあって「保革・中道対決」になると予測されていたが、各紙の予測はいずれも「自民単独過半数、中道議席減」を予測するものとなっている。各紙の見出しは以下の通り。

〇日経新聞(1月29日)、「自民、単独過半数の勢い」「中道、議席減の可能性」「維新・国民振るわず、参政・みらい 比例で伸長」「自民に保守層回帰、参政と競合の小選挙区、7割で『有力』『優勢』、中道、北海道・東北『有力』ゼロ、公明票の影響見えにくく」「比例 全地域で自民リード、中道は若者支持苦戦」

〇読売新聞(同)、「自民、単独過半数うかがう」「中道伸び悩み、国民横這い、参政大幅増」「『高市人気』自民勢い」「中道『公明票』見通せず」「比例 自民大幅増、中道・維新は苦戦」

〇毎日新聞(1月30日)、「自民 単独過半数視野」「中道は浸透遅れ」「維新・国民 伸び悩み」「短期戦 選挙区態度未定46%」「自民 与党競合区でも堅調、比例も大幅積み増し、割喰った維新」「『高市人気』半数先行」「中道 新党効果乏しく、公明票仁後さん」

〇朝日新聞(2月2、3日)、「自維 300議席超うかがう、中道ふるわず半減も」「国民横這い 参政・みらい勢い」「自民追い風、首相人気 無党派層も支持」「中道に逆風、野党間調整不足 共倒れも」

 

 これらの見出しからわかることは、「保守・右翼勢力」(自民・維新・参政・みらい)が465議席の3分の2以上を占める勢いであるの対し、「中道勢力」(中道改革・国民)は大きく後退し、「革新勢力」(共産・社民・れいわ)は紙面の片隅に追いやられる程度の存在になりつつある――ということである。朝日新聞の議席推計(中心値)で比較すると、「保守・右翼勢力」335議席(72.0%)、「中道勢力」103議席(22.1%)、「革新勢力」11議席(2.3%)となり、これがその通りになると従来の政治地図が激変することになる。

 

ちなみに前回の2024年衆院選の結果は、現在の党派別議席数に置き換えると、「保守・右翼勢力」232議席(49.8%)、「中道勢力」200議席(43.0%)、「革新勢力」18議席(3.8%)と保守・右翼勢力と中道勢力が拮抗していた。それが今回の選挙で中道と革新を合わせても3分の1に満たないことにり、事態は中北教授が指摘していたように、「中道が惨敗すれば解党し、元の立民と公明党に戻る可能性が高まる」かもしれない。いずれにしても中道の野田・斎藤共同代表の辞任は免れず、政界再編の第2幕が開くことになる。

 

一方、苦戦が伝えられる共産党は2月2日、「残る6日間の大奮闘で、必ず勝利・前進をかちとろう」との常任幹部会の緊急の訴えを出した(赤旗、2月3日)。訴えの趣旨は、「どの問題でもわが党が政治論戦をリードし、『自民党政治対日本共産党』という政党対決の構図がきわめて鮮明になっている」にもかかわらず、党の主体的活動の到達点は、「突然の党略的解散・総選挙が押し付けられるもとで、対話数は前回総選挙の同日比で6割弱、支持拡大は7割弱と、これまでのどの国政選挙の到達点よりも立ち遅れている」「私たちの活動の到達点をリアルに直視するならば、7中総で確認した目標の達成はおろか、現有8議席の維持にも届いておらず、議席の大幅後退の危険がある」というものである。毎月初めに公表される「支持拡大実績」が、今月は未公表であることもそのことを物語っている。

 

保守・右翼勢力の予想を超える勢いは単に「高市人気」の所為だけではなく、その背景に政治対決の構図が従来の枠組みから変化しつつあることをうかがわせる。「新しい政治対決の構図」とは何か。選挙結果が判明してから、この課題について考えてみたい(つづく)。

 

〈2月6日追加分〉

 衆院選終盤情勢について、毎日新聞(2月6日)が「自維3分の2うかがう」「自民勢い 300超も、中道大幅減、みらい躍進」と大見出しを打った。3面の解説では「『裏金』候補 優勢6割」「中道 幹部・大物も暗雲」とある。信じられないような雲行きだ。日経新聞(2月6日)も「自維、300議席超うかがう」「中道、半減の可能性、国民横這い、参政・みらい伸長」と、ほぼ同様の予測を示している。

 

 中道の敗因についての分析はまだ出ていないが、小沢一郎前衆院議員が地元の岩手県奥州市で記者団に語った発言が気になった(朝日新聞電子版、2月5日)。

 ――(中道が)大いなる政界再編の一歩になればいいなと思っているが、「新党」というイメージになかなかならないのが人気の沸かない理由だろう。(立憲民主党代表だった野田佳彦氏が中道の共同代表に就いたことについて)当時の(立憲)幹事長には「絶対にダメだ」と厳しく言ったが、意見は採り入れられなかった。「昔の名前で出ています」では新党にならん。自民党の大多数は温厚な保守層だから、高市(早苗)君は必ず行き詰まる。いずれ、今回の我々の新党をきっかけに大きな(政界)再編になっていく。

 

 中道不振の原因については、各紙ではもっぱら公明票の動向に焦点が当てられているが、この小沢氏の指摘が案外的を射ているのかもしれない。私の年老いた友人たちも「野田共同代表の『ドヤ顔』は新党のイメージにふさわしくない。あれでは有権者(特に若者世代には)アピールしない」とかねがね言っていた。今さらながら、国政選挙における党首イメージの影響の大きさ痛感する。

 

 一方、共産党は、公明党と中道改革連合を結成した立憲民主党に対して「市民への裏切りだ」と激しく批判しているが、中道が半減しても共産には票が回ってこない状況に焦りがにじむ。志位議長は日経新聞のインタビュー(2月6日)の中で、「共産党の最大の弱点は数が少ないことだ。議長として国会議員の数を増やすことに専念し、強く大きな党をつくる」と力説している。だが、この発言には大きな矛盾がある。国会議員の数を減らしてきた最大の原因である党指導部の高齢化と硬直化を棚に上げ、その張本人である志位議長が「国会議員の数を増やす」と言うのだから、自己矛盾も甚だしい。小沢氏は、野田共同代表に対して「昔の名前で出ていますでは話にならん」と言ったが、私の年老いた友人たちも同じように、志位議長に対しては「昔の名前で出ていますでは話にならん」というところだろう。

 

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