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内定切り:悪質「自己都合で辞退と書いて送れ」/内定取り消しってどんな場合に許されるの?

2009-02-03 01:54:46 | 国内労働
 内定切り:悪質「自己都合で辞退と書いて送れ」

 途切れなくかかってくる内定取り消しの相談電話の対応に追われる連合のメンバー=東京千代田区の連合本部で2008年12月10日午前11時、東海林智写す 雇用状況の悪化に伴い、来春卒業予定の大学生の内定取り消しが相次いでいる問題で、連合は10日までの2日間、緊急電話相談を実施した。2日間に寄せられた相談は21件。内定した職種の変更を迫られたり、採用してもすぐ解雇することを明言された例があり、内定者が入社前から退職勧奨を受けているような状態にあることが浮かび上がった。【東海林智】

 悪質なケースとしては、内定取り消しを通告された男子学生が理由を聞くと「内定だから、説明する必要はない」と言われた例があった。会社は「こちらの取り消しではなく、自己都合で辞退すると書いて書面で送れ」と言い、学生が拒否して働くことを希望すると「採用してもすぐに解雇する」と言われたという。内定は実質的な雇用契約で、取り消す場合は基本的に解雇と同じ扱いになる。やむなく取り消す場合も合理的な理由の説明などが求められる。

 内定は設計などの職種で得たのに営業職でないと仕事がないと言われた例や、「大阪で仕事をするという内定を取り消し東京でならば可能性がある」などと伝えられた例もあった。「経営が厳しく採用を延期する」と言いながら、延期期間を明確にしないケースも。連合は、自ら内定を辞退させるための嫌がらせとみている。

 連合は11、12日も午前10時~午後8時まで、非正規雇用労働者の解雇・雇い止め、内定取り消しの相談に応じる。相談電話は全国共通(0120・154・052)。

(出所:毎日新聞 2008年12月11日 2時30分(最終更新 12月11日 11時18分)

 質問なるほドリ:内定取り消しって許されるの?=回答・小泉敬太

 <NEWS NAVIGATOR>

 ◆内定取り消しって許されるの?

 ◇合理的理由ある時のみ 経営苦しいだけではダメ

 なるほドリ 来春卒業予定の学生が企業から採用内定を取り消されるケースがまた増えたみたいだね。

 記者 厚生労働省の調査によると、19日現在で769人(大学生632人、高校生137人)。11月の前回調査の2・3倍にも達しました。まだ年度途中なのに、97年度の1077人に次ぐ多さです。この時に内定を取り消した事業所は80で、廃業した山一証券が1社で490人も占めましたが、今回の事業所数は172と既に93年度の調査開始以来最多で、広範囲に及んでいることを示しています。

 Q 許されるの?

 A 基本的には許されません。内定を取り消された学生がその企業を訴えた裁判で79年の最高裁判決は「採用内定によって学生と企業との間で労働契約が成立したと認められる」とした上で「取り消しは客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合に限られる」と判断し、これが今も基準になっています。

 Q 認められる場合って?

 A 裁判所が個別に判断することになりますが、卒業が採用条件なのに卒業できなかったなど学生側に明白な落ち度がある場合が考えられます。内定後に企業が経営破綻(はたん)した場合も、やむを得ないと言えるでしょう。

 Q 今のような景気悪化や経営悪化も認められる?

 A 今回の555人は経営の悪化が理由です。経営上の理由で社員を整理解雇する場合、経営が苦しいというだけではだめで▽どうしても人員削減しなければならない必要性がある▽解雇回避にできる限りの努力をした▽本人に十分説明し、納得を得る努力をした--など厳格な要件が必要だという判例が確立し、内定取り消しも同様に考えるべきだとの司法判断が出ています。安易な取り消しは認められません。

 Q 学生はどんな心構えをしたらいいの?

 A 内定取り消しにすぐに同意せず、学校やハローワークに相談してください。企業に撤回を迫ったり、十分な補償を求めたりする権利があります。泣き寝入りすべきではありません。(論説室)

==============

 ◇あなたの質問をお寄せください
 〒100-8051(住所不要)毎日新聞「質問なるほドリ」係([email protected]

(出所:毎日新聞 2008年12月28日 東京朝刊)



 社説:内定取り消し 悪質企業の公表もっと早く

 企業から採用内定を取り消される学生が後を絶たない。厚生労働省の調査では、3月卒業予定の大学生や高校生らの内定取り消しは1月23日現在、271事業所で1215人。1カ月前の調査より446人も増え、93年度の調査開始以来最多だった97年度の1077人を年度途中なのに軽く抜いてしまった。

 急速な景気悪化が背景とはいえ、取り消された学生はたまらない。この時期の新たな就職活動は極めて厳しい。落ち度のない若者が企業の都合で理不尽な目に遭うことは許されない。

 内定取り消しを防止する「切り札」として厚労省が打ち出した施策が、内定取り消しを行った企業名の公表だ。公表基準は▽2年度以上連続の取り消し▽同一年度で10人以上を取り消し、全員に他の雇用先を確保していない▽事業活動の縮小が明白に認められない▽取り消し理由の学生への説明が不十分▽他の就職先確保の支援をしていない--のいずれか一つでも該当する場合だ。倒産した企業は公表対象から除かれる。

 厚労省は既に省令を改正し、施行した。施行前の内定取り消しでも、撤回や他の雇用先確保をせずにその後も公表基準に当てはまる企業は公表対象だ。バブル崩壊直後の92年度に一度だけ内定取り消し企業名が当時の労相の政治判断で公表されたことはあるが、制度化されたのは初めてだ。企業への抑止力になると、効果を期待する声は大きい。

 ところが、厚労省の公表は今のところ、4月を予定しているという。そんなに遅くなるとは一体どうしたことか。公表の最大の目的は翌年度から就職活動をする学生への情報提供だから、と厚労省は説明する。厚労省が公表前に取り消し撤回などを企業に指導する時間も必要だという。

 確かに名前を公表される企業にとってダメージは大きく、慎重さは欠かせないが、公表が遅くなるのでは内定取り消しの歯止めにはならないだろう。企業への指導も厳格でなければならない。10人の取り消しを1人減らせば公表を免れるなどと「抜け道」を伝授するのではないかと誤解されては元も子もない。

 倒産したわけではないのに10人以上の内定を取り消した企業は複数に上るという。内定取り消しとみられないために学生が自ら辞退するよう強要する企業もある。厚労省は悪質な企業には厳しい姿勢で臨み、企業名はできるだけ早く公表すべきだ。

 ここにきて、内定を取り消された学生を積極採用しようという企業も出てきた。留年して翌年度の就職活動を目指す大学生のために低額の納付金で卒業の1年間延期を認める大学や、取り消された高校生らのために入学金を半額にする大学も現れた。社会人として羽ばたく直前に企業に裏切られ、傷ついた学生には、さまざまな支援が必要だ。

(出所:毎日新聞 2009年2月3日 0時05分(最終更新 2月3日 0時11分)

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クローズアップ2009:雇用情勢悪化の一途、前途見えぬ失業者 少ない求人争奪

2009-02-03 01:52:40 | 国内労働
 クローズアップ2009:雇用情勢悪化の一途、前途見えぬ失業者 少ない求人争奪

 厚生労働省は30日、非正規雇用労働者の雇用状況などをまとめた。3月までの半年間の失職者数は、昨年11月調査では約3万人、12月は約8万5000人、そして今月は約12万5000人と膨らみ続ける。一方で、NECが2万人超の人員削減を発表するなど、業績悪化で大手企業の雇用カットも加速する。雇用状況は深刻化するばかりで、労組関係者からは国の早急な対策を求める声が高まっている。

 「失業者が増えて、ただでさえ少ない求人の奪い合いになっている。早く仕事を見つけたいが、どうあがいても見つからない」。25日に雇用契約を打ち切られた元派遣労働者の男性(44)は疲れ切った表情で語った。

 男性は昨年5月から長野県内のソニー子会社のパソコン製造工場で働いていたが、年末に1カ月後の契約解除と寮からの退去を通告された。それから住み込みの仕事を探しているが、面接を受けたタクシー会社や飲食店など10カ所で断られた。今は東京都内のカプセルホテルに滞在しながら求職活動を続けている。

 「若い人はまだ仕事はあるだろうが、私はこの年齢で何のスキルもない。仕事がないままお金が底をつけばどうなるか分からない」と表情を曇らせた。

 都内に住む男性(37)は昨年10月、1年近く働いた神奈川県内の自動車工場の仕事を切られた。契約は2カ月以上残っていたが、派遣切りが社会問題化する前だったため、抵抗もできずに寮を出た。

 インターネットカフェなどを転々として仕事を探したが見つからなかった。20万円あった所持金が10万円を切ったころ、ネットカフェで声を掛けてきた労働組合の若者が相談に乗ってくれ、生活保護を申請してアパートを借りることができた。

 昨年11月中旬から3カ月の契約で、自動車部品工場の派遣で働き始めた。ネットカフェ生活で体調を崩していて、仕事を始めてから2週間目に2日休んだ。担当者に呼ばれ、「仕事が減って人がいらなくなった。休む人はいらない」とまた中途解雇を告げられた。年末を前に再び失職。生活保護を再申請し仕事を探している。「2回も切られてますからね。もう派遣ではダメだってつくづく思う」と深いため息をついた。

 派遣労働者など非正規雇用労働者を中心とした個人加盟労組、首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は「厚労省の調査は正確に実態をつかんでいるのか」と疑問を投げかける。あるトラック工場は計500人の中途解除を公表したが、それ以外にも構内請負や請負会社に派遣された労働者などが失職していたからだ。

 労組では「年越し派遣村」以来、支援の動きが広がりつつある。連合は、失職した人の就労と生活を支援するカンパ活動を全国的に展開することを決めた。電機連合も産別としてカンパに取り組み、企業にも資金の拠出を迫る方針だ。河添書記長は「企業にこれ以上の解雇を許さないためにどう手を打つか、厚労省には真剣に考えてほしい」と訴える。【東海林智、山本太一】

 ◇人員削減の波、さらに 大手企業「収益改善のため」

 大手自動車、電機メーカーは急激な業績悪化を受け、人員削減を加速している。30日は日立製作所、NEC、富士重工業などが新たな削減を発表。国内自動車メーカー12社の非正規社員削減数は計約2万3000人に達する。日立、ソニー、東芝、NECの大手電機4社の削減数は正社員を含め4万人を超える勢いで雇用カットの波はさらに大きくなる気配だ。

 NECは30日、09年度末までに国内外で2万人超の人員を削減すると発表、正社員削減も1万人程度に及ぶ。矢野薫社長は会見で「収益改善のため手を打たなければならない」と理解を求めた。日立の古川一夫社長も国内外で7000人を削減・配置転換する方針を表明した。

 自動車メーカーでも、富士重工業が同日、約1万台の追加減産と期間従業員約100人の契約を更新しない方針を発表。6万9000台減産で2月の稼働日が通常より13日少なくなる日産自動車の栃木工場は、座学研修などで雇用を維持する意向だが、「そろそろ限界」と話す。

 労組からは「内部留保を取り崩してでも雇用は維持すべきだ」との声も出るが、経営側は「内部留保は万が一の備え」と慎重姿勢を崩さない。第一生命経済研究所の中本泰輔氏は「雇用は深い調整局面を迎え、失業率もさらに上昇するだろう」と指摘している。【森禎行、宇都宮裕一】

==============

 ◆主な自動車、電機メーカーのリストラ◆

トヨタ   期間     6000人

ホンダ   期間・派遣  4350人

日産    派遣     2000人

マツダ   派遣     1500人

スズキ   期間・派遣  960人

 (自動車12社合計で約2万3090人)

NEC   正・派遣など 2万人超

ソニー   正・派遣など 1万6000人超

日立    正・派遣など 7000人

東芝    期間・派遣  4500人

村田製作所 派遣など   4500人

日本IBM 正      1000人

 ※期間は期間従業員、派遣は派遣社員、正は正社員。日立は削減と配置転換の合計。NEC、日立などは国外も含む

(出所:毎日新聞 2009年1月31日 東京朝刊)
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毎日新聞・日本の雇用ー製造業派遣の是非が争点に/頼りになったのは日本共産党の地区委員会-

2009-02-03 01:44:12 | 国内政治
 日本の雇用:大津波が直撃 製造業派遣の是非、争点に(1/3ページ)

 リーマン・ショックの大津波が労働現場を直撃している。大量の派遣労働者に支えられてきた「日本の雇用」のもろさが現れた。

 総務省が昨年12月の完全失業率を4.4%と発表した1月30日午前、与党は衆院第1議員会館で新雇用対策プロジェクトチーム(PT)の会合を開いていた。失業率の対前月悪化幅は過去最大。同じ日に経済産業省が発表した12月の鉱工業生産指数も過去最大の下げ幅を記録した。

 「2、3月はさらに失業者が増えるぞ。一体どうするんだ」「やれることは超法規的にでもやるべきだ」

 出席議員が厚生労働省の役人に迫る大声が、廊下にもれた。

 自民、公明両党は昨年末、失業手当の拡充などを軸にした雇用対策をまとめた。ただ、政府の雇用保険法改正案は4月1日施行を想定。それ以前に失職した人は救済できない。しかも、雇用政策の焦点は小泉内閣当時に解禁された製造業への「派遣」を見直すかどうかに移っている。

 民主党は社民、国民新両党とともに、3年後の製造業派遣禁止を目指している。厚労省の調査によると、昨年10月から3月までに失職が見込まれる非正規雇用労働者12万人余りのうち、96%が製造業だ。製造業派遣の是非は次期衆院選の一大争点に浮上してきた。

 「経営者が人をモノとして見るようになった。弱い立場の派遣元を守れる形にしなければ」。PT座長の川崎二郎元厚労相(自民)は現状の問題点を指摘するものの、「製造業は中国、インドとの競争が続く。派遣を頭から全部否定するのはどうか」とも言う。

 政府・与党の雇用政策はまだ定まらない。

 「(製造業派遣)制度をつくったのはだれかと言われると、内心忸怩(じくじ)たる思いだ。誰か一人でも職を賭して止められなかったのか。私は謝りたい」

 1月6日、連合広島の旗開きで飛び出したそのあいさつは労組幹部を仰天させた。発言の主は厚労省キャリアの落合淳一広島労働局長(53)だった。

 ニュースで伝え聞いた上村隆史厚労審議官は翌7日、落合氏を上京させ、「法の施行者として不適切な発言だ」と口頭で注意した。落合氏は「大臣(舛添要一厚労相)が製造業派遣の規制を表明したのでいいと思った」と釈明したという。

 厚労省は派遣の禁止対象を日雇い労働に限る労働者派遣法改正案を国会に提出済みだ。落合発言はその不十分さを自ら認めたことになる。ただ、省内では、製造業派遣の規制強化に同調する声が決して少なくない。

 戦後の労働政策は直接雇用が原則だった。しかし、米国型経営が国内に流入してきた99年、政府は産業界の声に押されて派遣労働を専門分野以外にも拡大した。04年3月には製造業への派遣も解禁され、03年度に236万人だった派遣労働者は07年度に381万人にまで膨れ上がった。

 03年5月の国会審議で当時の鴨下一郎副厚労相は、派遣労働が安易な解雇につながらないかとの質問に「解雇に関する制約を免れるために利用されることはない」と答弁している。法改正に当たった坂口力元厚労相(公明)は「一定期間たてば正規雇用に置き換えられると思っていたが、思うようにいかなかった」と振り返る。

製造業派遣について民主党は昨年までは禁止に踏み込んでいなかった。自動車、電機業界の労組を支持母体とする議員を中心に慎重論が強かったためだ。今年に入って他の野党と共同歩調をとったのは、小沢一郎代表の強い指示による。

 1月初旬、社民、国民新両党と個別に開いた懇親会で「民主党はもっと3野党側に歩み寄るべきだ」と求められた小沢氏は、党緊急雇用対策本部長の菅直人代表代行に「与党との違いを際立たせるように」と求めた。

 共産党は派遣に最も厳しい立場をとる。

 99年の派遣法改正時に共産党は「大量の低賃金・無権利の労働者を作り出す」として唯一反対に回った。スタンスの微妙な違いが野党共闘に影を落とす。

 中京地方の大手メーカーで派遣社員だった独身男性(59)は昨年10月、突然「今月いっぱいで辞めてくれ」と言われ、3日後には派遣会社の借り上げアパートを追い出された。

 名古屋市で仕事を探しながらネットカフェやサウナで過ごしているうちに所持金は底をついた。相談に訪れた市役所では「市の施設はいっぱいです。寒いから風邪をひかないでください」と気休めを言われただけだった。

 頼りになったのは共産党の地区委員会だ。党の集会場所になっている一軒家に3日間泊めてもらい、生活保護受給手続きにも党員が付き添った。その日、「一緒に支援しませんか」と誘われた男性は共産党に入党した。

 男性は言う。「同じ境遇の人に私がもらった支援を返したい」

 共産党の党員は約40万人。07年秋以降、新たに1万4000人以上が入党したという。

 【吉田啓志、堀井恵里子、佐藤丈一、小山由宇】

(出所:毎日新聞 2009年2月1日 23時02分(最終更新 2月1日 23時05分)

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記者の目:失業者「希望も、頼るものも、何もない」

2009-02-03 01:40:37 | 国内労働
記者の目:失業者「希望も、頼るものも、何もない」

 「今の自分はただ生きるためだけに生きている。希望も、頼るものも、何もない」

 昨年12月に失職し、年明けから2週間近く野宿を続けていた元派遣社員の杉山光伸さん(31)のうつろな表情と小さな声が忘れられない。取材から30分後、杉山さんは名古屋市の無料宿泊施設にねぐらを求めて窓口の区役所に足を運んだが、既に満室で「明日お越しください」という事務的な言葉を返された。

 自動車関連産業を中心に「100年に1度」の大不況の直撃を受ける東海地方。昨年暮れから、日本経済をけん引すると言われた東海経済を底辺で支えていた日本人や日系ブラジル人の失業者に取材する中で、私は「頼りにできる人、心の支えになる存在はありますか」と必ず聞くことにしてきた。失業よりも野宿よりも悲惨なのは、生きる希望や意味を見失ってしまうことだと思ったからだ。

 日本人とブラジル人から返ってきた反応の違いに驚いた。

 「神様」「家族」「ブラジル」--。多くのブラジル人には、何らかの答えがあった。スーパーを解雇されてアパート代を払えなくなったアドリアーノ・アントニオさん(32)は、教会の紹介で岐阜県富加(とみか)町の廃業したカラオケ店の一室に住んでいた。窓もない薄暗い部屋で、別れた妻の元で暮らす息子にクリスマスプレゼントも送ってやれないと嘆きながらも、自分の支えを聞かれると「キリストとボランティアのみんな」と即答した。

 印象的だったのは、派遣会社を解雇されたコーデリオ・エリアンヌさん(40)が身を寄せる、岐阜県可児(かに)市の友人夫婦の家で見た情景だ。同じブラジル人である友人夫婦も失職し、ローンの残るマイホームを手放すことになるかもしれない状況にある。3人の子供を学校に通わせ続けるために食費も切りつめている。だが、兄妹げんかで泣き出した2歳の女の子を抱き上げてあやすエリアンヌさんや、彼女のためにコーヒーをいれる夫婦からは、笑顔が絶えなかった。「家族と友人」がエリアンヌさんと一家の支えになっていた。

 一方、20人ほどから話を聞いた日本人の失業者は、一時保護施設で「互いが互いの支え」と言った夫婦を除き、自分の支えは「何もない」と口をそろえた。

 名古屋市内の一時保護施設に身を寄せる男性(42)は、福岡市の家族に失業すら伝えていない。「気づいているかもしれないが、互いに何も言わない。仮に僕が向こうに戻っても迷惑になるだけ」。暖房の入らない施設の1人部屋で、男性は「希望なんかない」と言った。生まれ育った国にいながら、異国人よりも孤独を感じている日本人がこれほどいる、という事実に衝撃を受けた。

 小さなコミュニティーの中で寄り添って生きる外国人労働者は、不況で真っ先に解雇される互いの「痛み」を分かち合っている。それに比べ、広がる格差社会の中で、日本人の失業者や失業の危機にさらされる人と他の多くの日本人とでは、現在の状況の受け止め方に大きな開きがある気がする。ついこの間まで工場の製造ラインに立っていた人が夜空の下で寒さと空腹におびえるみじめさを、どれほどの日本人が理解できているだろう。

 製造業への派遣を認めた04年の労働者派遣法改正で、非正規労働者という名の「弱者」を大量に生み出したのはこの国の政治だ。だが、非正規労働者が失業と同時に衣食住を失う現状を見る限り、セーフティーネット(安全網)はほぼ機能していない。最後の安全網と言われる生活保護ですら、不正受給がある一方で、必要世帯には半分も行き届いていないと指摘される。

 生まれ育った国にいながら、社会から孤立し、政治からも突き放されている。日本人の失業者の孤独の背景には、冷たい社会と政治がある。

 日本人と外国人の失業者から、何度か同じ種類の話を聞いた。「失業者の子供が凍死(もしくは餓死)したらしい」といった悲惨極まりない話だ。取材を試みたが、多くは真偽がつかめなかった。失業者たちの不安が生んだ「SOS」ではないかと思う。

 政治には、早急に安全網を整えて彼らの不安をぬぐう義務がある。また、非正規労働者に頼った経済の恩恵を受けてきた人たちも、失業者たちの身に今何が起きているか知ろうと努め、共感することはできるだろう。同じ言葉や文化を共有しながら「希望なんかない」というSOSを黙殺する社会では悲しすぎる。(中村かさね・中部報道センター) 

(出所:毎日新聞 2009年2月3日 0時14分)
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かつての大企業経営はまず配当を減らし連続二年赤字になって初めて雇用に手を付けるのが「ルール」だったー

2009-02-03 00:13:35 | 国内政治
主張
大量解雇
いまこそ蓄えを使うとき

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 厚生労働省の調査によると、十二万五千人の非正規社員が三月末までに失職させられようとしています。派遣・請負の業界団体の調査では、三月末までに失職させられる派遣・請負労働者は四十万人に達する見込みです。

 昨年十二月の失業率は一気に0・5ポイントも跳ね上がりました。特殊事情による上昇を除くと「過去に例がない悪化」(総務省)です。

 財界トップ企業が先頭を切った非正規雇用切り捨ての影響が、急速に広がっています。

経営者の「堕落」
 政府の研究所も雇用削減の異常さを認めています。「過去と比べると恐らく四倍ぐらい速い。一年ぐらいかかる話が四半期(三カ月)でどっと出てくる」(岩田一政・内閣府経済社会総合研究所長)

 何より、切り捨てられた労働者のほとんどは寒空の中にほうり出され、生活保護によってしか救済されない状態です。

 衆院の代表質問で、この問題を追及した日本共産党の志位和夫委員長に、麻生太郎首相は「住居のない方も含め生活保護によって適切に支援する」と答弁しました。住居をなくした人には支給を認めない理不尽な行政を改め、生活保護を柔軟かつ迅速に適用する必要があります。

 共同通信の調査では、四万人以上の大量解雇を進めている大手製造業十六社の内部留保(ため込み金)は、この六年半で倍加して三十三兆六千億円に上っています。うち五社が株主配当を増やし、五社は配当を維持、残る六社は未定で、この時点で配当を減らす企業は一社もないというのです。

 四万人を超える人減らし計画は、巨額のため込み金のごく一部、わずか0・4%を取り崩すだけで撤回できます。

 かつては、大企業の経営者にももう少し節度がありました。経営不振に陥っても、まず配当を減らし、連続二年赤字になって初めて雇用に手を付けるのが暗黙の「ルール」になっていたといいます。株主への配当を増やしながら雇用を削減する現在の大企業のやり方は、経営者として「堕落」していると言うほかありません。

 日本経団連の御手洗冨士夫会長(キヤノン会長)は、配当を減らして「株主を軽視することになれば、マーケットから見た企業価値が低下」するとのべています。配当は役員賞与に連動します。配当を減らして役員賞与を増やすわけにはいかないからです。社員よりも株価が大事、自らの賞与が大事だというのが本音だとすれば、そんな経営者は企業にとっても「百害あって一利なし」です。

政府は厳しく指導を
 安易な人減らしは、個々の企業に当面の利益を生むかもしれませんが、みんながやったら不況が深刻になります。海外で需要が冷え込んでいるときに内需を破壊すれば、企業も経営不振を打開する見通しが立たなくなります。

 財界の中枢にいた経営者からも「人間は道具でもないし部品でもない」「雇用の問題は国の責任だと思っている大企業の経営者がいたら、ビンタですよ」(前田勝之助・東レ名誉会長、『BOSS』三月号)と厳しい批判が出ています。

 大企業の「派遣切り」には一片の道理もありません。身勝手な雇用削減をやめるよう、政府は経営者を厳しく指導すべきです。

(出所:日本共産党HP 2009年2月2日(月)「しんぶん赤旗」)
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国会議員の定数を削減し民意を削るより、政党助成金、企業・団体献金の受け取りを削れ。

2009-02-03 00:02:44 | 国内政治
「身を削る」という自公民
税金山分け 政党助成金 どうする
おかしいぞ 議員定数削減

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 「国会議員自ら身を削るべきだ」として、国会議員の定数を削減しようという流れが自民、公明、民主の各党で強まっています。消費税増税のための地ならしです。しかし、本当に「身を削る」というなら、真っ先に削るべきものがあるのではないでしょうか。

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 議員定数や選挙制度の見直しに火を付けたのは、一月十八日の自民党大会での首相あいさつ。“総選挙での対決材料づくり”と指摘されています。公明党は二十四日の全国県代表協議会で同調し、与野党協議会の設置を提案。民主党も鳩山由紀夫幹事長が二十九日の代表質問で「議員定数の削減はもう既に民主党が具体的に提案している」と競い合う姿勢をみせました。

 しかし、国会議員は国民と国会を結ぶパイプです。「それが細ければ細いほどいいというのは、国民の声が国会に届かなければいいという話になる」(日本共産党の志位和夫委員長)ものです。消費税増税の地ならしのために、民意を削ることは許されません。

 一九九〇年代からの相次ぐ選挙制度改悪で、国会議員定数は減少の一途。人口あたりの議員数も決して多くはありません。(グラフ参照)

 一方、自民、民主、公明が口を閉ざしているのが政党助成金です。今年も自民、民主、公明など七党が受け取りを申請し、三百二十億円の税金を山分けしようとしています。日本共産党は、政党助成金は憲法の思想・信条の自由に反するとして受け取っていません。

 「なぜ国はこれだけの大金を出してまで政党を支援しなければならないのか」(中国新聞一月二十六日付「広場」)、「いっそ交付金制度は廃止し、雇用対策など緊急に対応しなければならない課題に充当するほうがよほど効果的である」(「朝日」同二十四日付「声」)―。新聞投書欄には、景気悪化のもと、国民が生活苦に襲われているにもかかわらず、巨額の税金を政党が山分けしていることに疑問の声が相次いでいます。

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 政党助成金 1994年の「政治改革」関連法で小選挙区制とセットで導入され、実施は95年から。赤ちゃんからお年寄りまで国民一人あたり250円の税金でまかなわれ、支持政党にかかわりなく国民の税金が各党に配分されます。配分の対象は、国会議員が5人以上か直近の国政選挙での得票率が2%以上の党です。2008年までの14年間の交付総額は4399億円に達します。

(出所:日本共産党HP 2009年2月1日(日)「しんぶん赤旗」)
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