晒しみたいになって悪いんだが、「島耕作描いてる人間はレコードの持ち方を知らない」って言うのがバズってるワケよ。
https://twitter.com/belmie2001/status/1709766808201527649
「正しい持ち方」っていうのは、レコードの端をもって盤面を指で触らない。指紋が付いて溝に脂が入ったり後でカビたりするから。
だけど、レコードっていうのは実はずっと現役メディアなんよ。何処でか?というとクラブDJで。
それでDJっていうのはそういう持ち方しない。普通に島耕作みたいな持ち方で扱う。
例えばこれは自宅でDJプレイしてようつべ配信している素人愛好家なんだが、島耕作持ちしてる。
https://youtu.be/afjS-Km6juU?si=1ldtDQ1E2mQpzdPs
他にもDJ配信してる人は多数居るが、皆マニア持ちじゃなくて耕作持ちしてる。
そういえば、シスコとかのレコード店でも商品なのに耕作持ちしてたな。
今レコード需要の主流って、しっとりとした音を楽しむオーディオマニアよりも、こういう感じでクラブ音楽流したりDJっぽいことしたりっていうのが主流なんで、持ち方は耕作持ちが主流って事になる。
島耕作は年齢的にディスコソウル~Hi-NRG(ハイエナジー)DJだったのかも知れないな。
あともう一つ、オーディオマニアが「テクニクスのダイレクトドライブが(マテ)」みたいな感じでテクニクスのダイレクトドライブが過去のものと思ってネタにしてるのもたまに見る。
いやいやいや、テクニクスのダイレクトドライブって現役なんよ。
ダイレクトドライブっていうのは、レコードの回転軸にそのままモーターが付いてる形式で、ハードディスクのスピンドルとか、今では当たり前の技術だ。
レコードというのは回転ムラがあると音がぐわんぐわんと揺れて(ワウ・フラッター)滑稽な感じになってしまう。
だからモーターを高速回転させて回転ムラを平準化して、ベルトで繋がれた重たいターンテーブルを回すっていうデザインにする事が多い。ターンテーブルが重いのはフライホイールマスにして回転ムラを無くすっていう手段だ。重いものは急に動かせないし急に止めれない。だから速度を一定にしやすい。
でもこれだと一度回転を止めると回転速度が元に戻るのにタイムラグがある。
テクニクスは松下ナショナルの高級オーディオブランドだが、1972年に冒険的な製品を開発した。それがSL-1200というターンテーブルで、回転軸に直接モーターが付いている。
そのままだと回転ムラが酷くなるが、松下はこれを電子技術で解決した。写真を見れば判るが、https://ja.wikipedia.org/wiki/Technics_SL-1200
ターンテーブルの横に赤い光が出ている箇所がある。これは、ターンテーブルの横に模様が描かれており、それを赤外線フォトトランジスタで読み取っているのである。今のマウスに使われているフォトエンコーダとかロータリーエンコーダの走りだ。
これで常に回転数をフィードバック制御している。この制御は今の光学ディスクやNC工作機械などのブラシレスDCモータと同じだ。今のは電線が4本出てる(電源+、アース、回転数読取、制御)が、SL-1200ではターンテーブル横のフォトトランジスタからのフィードバックになっている。
ただ、セイコーがクオーツ回路の特許を公開する前だったので初期型だけ水晶発振子が載っていない。故に少しづつ回転数ズレが起きるのでピッチコントローラのスライダを付けた。
普通に作ればいいのに、最近技術満載で作った異形のような野心作だったわけだ。
・回転が落ちても直ぐに戻る(ずっと回転数見てフィードバック制御されてるから)
・ターンテーブルを逆回転させるなどラフな扱いしても壊れない(ベルトが外れたりしない)
松下のエンジニアがアメリカ行くとDJがみんなこれを使ってるのを目にする。DJに意見聴取すると「いやこれ最高に使いやすいんで何もいじらないでくれよ」と。
そんな中で生まれたのがある意味無茶苦茶で斬新だった、ハービーハンコックの『Rock It』だ。
https://www.youtube.com/watch?v=jWeBJsg6FHA
使ってるのがSL-1200かは不明だが、これなんかダイレクトドライブが無いと出来ないような演奏である。
ハービーハンコックはジャズ&フージョンの人だったのが、突然気が触れたように過激な事をし出したんだが、この後はまたしっとりした曲に戻ったので、ダイレクトドライブによる熱病みたいな曲である。
こうして高級オーディオを作ったはずが、意に反してDJスタンダードとなってしまった。
その間にCDが普及してレコード市場は消えて行くが、DJの世界ではCDでの演奏は自由度が低く、CDJ等の製品はあったがあまり普及しなかった。ずっとレコード主流だったのである。
これに呼応してベスタクス社がDJ用ターンテーブル市場に参入したりもしたが、これも日本メーカーである。
だが既にテクニクスSL-1200はスタンダードブランドとなっていて、クラブDJの真似事したい層の憧れはやはりSL-1200、という訳で、高級オーディオが衰退して行く中で、テクニクス製品は殆ど終売になっているのにターンテーブルだけが延々と世界に向けて出荷されていた。
因みに1998年頃までテクノとかハウスとかトランスなどの電子ダンス音楽はCDでは販売されず、専らレコードで売られていた。電子音楽がアナログメディアだけというのは今では変に見えるが、家で聞く音楽じゃないしクラブではレコードしか扱わないしで、最初からレコードだけで発売されていた。
つまり、クラブ音楽とかクラブ文化を支えていたのは日本メーカーの音響機器、特にダイレクトドライブのターンテーブルであったのだ。「日本スゴイ」の人らは視野が狭いし技術にも疎いので知らない現実である。
地球の何処でも松下電器とベスタクスが溝を刻み音楽を鳴らし続けていた。
はてなのココロ社氏が昔書いているが、https://kokorosha.hatenablog.com/entry/20071121/p1 ずっとクラブを支えていたレコードの時代は2010年頃には終わってしまう。
それにはネット配信の伸張が大きかった。元々クラブ音楽は大変市場が小さい。またネット配信は中間コストが媒体マージンだけなのでインディーズに特に向く。そこでクラブ音楽もネットが中心になっていった。
更に使いにくいCDJじゃなくてファイルをそのまま突っ込んで演奏できるデジタルDJ商品の使い勝手が良く、レコード市場が急速にシュリンク、SL-1200も終売、これだけで持っていたに等しいテクニクスブランドも消えてしまった。ベスタックスの方は2013年に倒産しており、レコードの時代は終わった。
…と思うじゃない?
だが2014年頃になるとネット配信に押されてCD市場の方も急速に収斂してしまう。
一方で、クラブ音楽はやっぱレコードの方がカッコいいよなぁという人が増えて行く。
またYoutubeのライブなどでCDプレイを披露する人も増え、デジタルDJよりも難しいが見た目がカッコいいレコードDJへの憧れも高くなっていった。
それでSL-1200の中古の価格は高騰、美品なら100万円を超えるような事になっていった。程度普通の中古でも60万程度した。
そんな中で松下のテクニクスチームが再結成、SL-1200が2016年にまさかの復活を遂げたのである。
今は丁度生産の谷間のようで価格が安定しないが、新品で約12万円程度となっている。
またこのレコードブームに呼応してパイオニアからも5万円程度の入門用ターンテーブルも販売され、活気がある市場となっている。
このブームを支えているのはまた日本の音響メーカーという訳だ。
因みにレコードはLP(アルバム)で4000円くらいとなっている。普通のCDアルバムが3000円なのにぼったくり価格である。
以前のレコードと違うのは、90年代のレコードは12インチシングルばかりでLPは無かったが、今のはLPが中心という事である。
そういう事で、オーディオマニア達の見えないところでずっとテクニクスのダイレクトドライブは現役だったし今も現役なのだ。
レコードは古いんじゃなくてずっと新しくて、今もまた新しいままなんである。
どゆこと? 島耕作のキャラからしてDJ持ちをするのが自然な筈だということ?
DJ持ちしてる島耕作はDJだったorDJなんじゃ?という話では。 個人的にはガバDJだったのがいいけど。普通にソウルかもしれない。
原作にそんな展開あったっけ? 彼が自宅でレコードを聞いてる場面があったのは覚えているけれど、、
音質にうるさいオーオタならば盤面を触ることはないがDJなら気にするもクソもない、じゃあ作者の取材不足でない限り島耕作はDJ界隈の出身に違いないということ
見識ヒロいカネえ先生がトキトーにアシに投げただけじゃろ
作者の取材不足でない限り ← そんなことは有り得ないとでも言いたいのかな? それとも「原因はそこだ!」と暗に言いたいのかな?
どういう論理? オーディオおたくの補集合はDJってこと? 世の中にはレコードを聞く人はオーディオおたくかDJしか居ませんてか?w それか、世の中でレコードをDJつかみするのは...
「回転軸に直接モーターが付いている」という表現はちょっと残念。 ターンテーブルがモーターそのものになっている構造だからね。 ターンテーブルは上に引っ張ると外れるんだけど、...
普通にPCファンの中身をデカくしたみたいなモーターが入ってるぞ。適当言うな。
DJ島耕作の可能性があるのか。
DJが仕事場でああいう風につかむのはわかるけど、盤面を指で触れるとあとでカビが生えて面倒なんだよな。だから自宅ではできるだけ避けたいと思ってた。 まあ、カビが生えたっ...
熱い記事。ありがとうございます
逆になんで一般家庭にやたら盤面をクリーニングするグッズが流行って溝を指で触らない神聖化になったんやろね 音の違いも劣化も体験したことが無いはずなのに信仰に近い形でがん保...
スクラッチノイズって言葉しらんのか…😩
いやおんなじ言葉を繰り返しになってしまうけど、なんで「一般の家庭」にレコードの盤面をクリーニングするとか指で触れないとかメガネクリーナーみたいな布でふくのとかやたらメ...
やっぱり当時からは聴いてなかった人か …レコード盤って以外と脆くてな、例えば再生している音響機器の近くで飛んだり跳ねたりしただけで物理的に飛び上がった針先が盤面に着地す...
なるほどねー 当時から聞いてたんだけどソノシートとか雑誌のおまけとかお菓子のおまけについてたやつも聞いてたよ いわれたらたしかにノイズとかあったような気もしないでもない程...
みんなそんなに違いがわかるような音響もってたの? って、おまえ何言ってんだよ。盤面に塵や埃が付着してたらノイズが発生してどんな音響機器でもハッキリわかって不快じゃん...
ホコリ拾うとパチパチ音がするんだよな 日本語版はだいたい薄いポリ袋に入ってて、輸入盤はポリ袋はないんだけど あのポリ袋はいったい何?よけいに静電気が起きてホコリつきそうな...
レコードの再生音やわーくらいだったわ 逆に生音のフルオケとか知らんのかっていわれたら知らんかった部類だとおもう そんな違いもわからんのにイコライザーいじるのが好きだったり...
ダイレクトドライブのフィードバック読み取り部はあの外周のドットではないぞ。あれは人間が見て確認するだけの内蔵ストロボスコープだ。…
そうだったん?!「あんなの飾りです! 偉い人にはそれがわからんのですよ」ってことかぁ
だいたいあれはひねったら消えるだろう。じゃあオフの時は暴走するのか?
所持したことも見たこともないひとばっかりやで、ここにおるのは インプレ書いてくれや
レコードの音質問題はDD方式で解決されたはずの回転速度ブレによる所が依然として大で昨今の高速マイコンや新しいBLDCドライバを使い精密に加工されたターンテーブルではそれだけで...
言及が長くなっとる! …ありがとう、出典ないしちょっとわかりにくいけどわかったやで
これはまず頭だけ登録して編集で追記すればトラバは最初の送信分だけが反映されるから「続きを書く」が実現できるというハックだ
👦(👴)「そんなのずるい!!」
いや、「普通の常識あるあの年代の人」ならああいう持ち方しないよね?って話だと思ってたが。
面白い話だった。ありがとう。
ヒロカネ先生!
明らかにあれは作画ミスだと思うがDJ畑からの熱いウンチクを聞いて新たな知見を得た。ありがとう。
先生っぽい、律儀だし
シマコーが一般的なオーディオマニアとは思えないレコードの持ち方してる! ↓ いや、DJは昔からこんな感じで扱ってたよ? ↓ シマコーってDJやってたの?上場企業の肩書きをかさにき...
https://anond.hatelabo.jp/20231007180430 元オーディオショップの店員ですが補足させてください。 DJはアナログレコードを雑に扱うのではなく、「外人はアナログレコードを超雑に扱う」が正しい...
「外人は」レコードを雑に扱うのではなく「アメリカ人は」では? 日本はレコード高価だったけど、ヨーロッパでもそれなりに高価で、 アメリカは激安のイメージ
え? 「外人」て、アメリカ人のことだろ? だって、外国ってアメリカのことじゃん。 ほか思いつかねえし....
えー