講演会「未来の図書館、はじめませんか?」ご報告
神戸市立中央図書館との共催で開催した講演会
今、公共図書館を考えるPart7
未来の図書館、はじめませんか?
を昨日無事開催いたしました。
講師はいわずと知れた岡本 真 氏 です。
(アカデミック・リソース・ガイド株式会社代表取締役/プロデューサー )
参加者は29名。
一般の利用者・市民の他、現役司書、書店、出版社、大学図書館司書、小中学校図書館司書、指定管理業者、行政職員と、図書館にさまざまな立場で図書館と関わっている皆さんにお集まりいただきました。
講師の岡本さん、お世話いただいた中央図書館の皆さん、参加してくださった方々にお礼申し上げます。ありがとうございました。
図書館のプロデューサーを講師に迎え、私たち図書館を応援する市民団体が主催し、中央図書館が共催してくださり、多彩な顔ぶれの参加者と「未来の図書館」を考える時間と空間を共有する…まさに図書館をめぐるネットワークを拡げるという私たちが目指す姿がそこにありました。(ちょっと規模は小さいですが…)
まずは、岡本さんの自己紹介から始まりました。ヤフー株式会社でyahoo!知恵袋など多くの企画を設計・運用されてきたことは、ご存知の方も多いと思います。yahoo在籍中からメルマガ「ACADEMIC RESOURCE GUIDE」の編集長をしておられ、その後、アカデミック・リソース・ガイド株式会社を創業されています。私が岡本さんを知ったのはまだヤフーにおられたころです。
さて、過去10年ほどの図書館をめぐる状況の変化についての説明です。戦後、誰もが図書館に入れる制度を作って維持してきたことは大きな功績と認めたうえで、現在、図書館は、その集客機能が注目され、他施設・機能との連動が期待されるようになっているとのことです。
「自分たちは使わないからいらない」という反対運動さえ起こるようになった今、図書館の重要性を理解してもらうにはいろいろな点で「役に立つ」を目に見える形で示すことが必要だということでしょうか。
岡本さんはたくさんの図書館を訪ねてこられました。その数1000施設! 今回も神戸に入られる前に、ずいぶんあちこちの図書館を見学されたようです。私たちはそんなにたくさんの図書館を訪ねることはできませんが、他都市の図書館を見学することの大切さはよくわかります。見学会、大事です!
その1000施設の中から、最近の図書館事例を紹介してくださいました。
駅前再開発の一環でオープンし、年間来場者が少しも減らない図書館、市長の下に部局の壁壁を超える組織を編成・運用している図書館、日本でここだけという地元主要産業資料を収集し全国から泊りがけで研究にくる図書館、これに呼ばれることがステイタスだといわれる友の会とのライブラリーカフェを開催している図書館、住民の活動拠点となっている図書館、図書館がなかった町のIターン・Uターン者の希望に基づいて作られた図書館。
それぞれが、特徴ある個性的な図書館です。
図書館は特定産業のためにあるのではないが、特定産業の支援に見えても、それが税収を増やすことに貢献するのであれば、公共施設としての機能を果たしているというお話が印象的でした。
そしてここからは「2階建ての図書館論」
図書館は1階:根本機能、2階:発展機能という2階建てになっています。
図書館根本機能は「知る権利の保障」にあります。知ることを可能にするには「遺っていること」が大切。「遺す」ことは権利でもあります。
1階部分がしっかりと保障されてこそ、2階部分の可能性が広がります。
図書館の発展機能について具体例を詳しく紹介してくださり、その多様さに驚きました。
市民の大半が図書館を本来機能を理解していれば、2階部分は必要ない。しかし、その理解が不十分なため、「図書館いるよね」と一般市民が考えるために2階部分が必要。2階部分しかない図書館は必要ないという岡本さんのお話です。いつもわたしが考えていることと全く一緒なので(そしてそれを言う人があまりいないなと思っていたので)我が意を得たりの気分でした。
今は図書館の発展機能にばかり注目が集まっていて、それでいいのかなあと思っていました。でも、図書館のつくり手がしっかり基本を押さえていて、ゆるがせにしなければ、図書館の可能性を広げることには大いに賛成です。
神戸市立中央図書館の「賀川サッカー文庫」の取組の紹介もありました。大絶賛でした!
神戸賀川サッカー文庫
最後に、求められる図書館リテラシーについて。
自分の街の図書館を知り、よその街の図書館を知ったうえで、わが町の図書館を充実させていくチカラ。それが図書館リテラシーです。そしてそこで必要になるのは「当事者意識」だと強調されていました。
図書館職員の非正規化と人員削減の問題にも話題が及びました。神戸市は昨年度、今年度と新人司書が配置されましたが、経験豊富な職員の定年退職や指定管理の問題もあり、政策の継続性と専門性については図書館に限らず課題となっています。
岡本さんがおっしゃるように行きすぎた行革は考え直す時期に来ているのではないかと思います。
結局は私たちが市民力を向上させ、当事者として取り組むことしか、図書館の未来はありません。
今日から、未来の図書館をはじめていきましょう!
参加者感想(一部抜粋しています)
・「しっかり1階部分を守ったうえで」との言葉に信頼、共感。市民力、図書館リテラシー、自分と周囲を含めて共有したい。
・1階、2階両論で考えなければと思います。
・これから市民として図書館を考えていこうと思いました。
・いろんな図書館があり、神戸の図書館を考えるときに参考になると思いました。
・図書館の現状や今後についてとても興味深く聞くことができました。
・本を読ませていただいていたので直にお話が聞けて視界が晴れた気分です。
・10年ぶりにビジネスマンに戻った感覚がした。本当に来てよかった。
・他館の事例が多く紹介されてとてもわかりやすく勉強になりました。
・これまで図書館に無関心でしたが(それはそれで問題でしたが…)転職して図書館についても学ぶことになりました。現状の図書館未来の図書館像を学ぶきっかけになり有意義でした。
・図書館司書資格を取得する際「未来の図書館、はじめませんか?」が参考になりました。司書として働けるよう努力したいと思います。
・地元の図書館のことも考えていきたいと思います。
・図書館を図書館の中からではなく、都市、まちの市民や経済活動の中でとらえた視点が面白く興味深く拝聴しました。
・ストレートで歯切れのいい話に脳がすっきりです。勇気と元気をいただきました。
今、公共図書館を考えるPart7
未来の図書館、はじめませんか?
を昨日無事開催いたしました。
講師はいわずと知れた岡本 真 氏 です。
(アカデミック・リソース・ガイド株式会社代表取締役/プロデューサー )
参加者は29名。
一般の利用者・市民の他、現役司書、書店、出版社、大学図書館司書、小中学校図書館司書、指定管理業者、行政職員と、図書館にさまざまな立場で図書館と関わっている皆さんにお集まりいただきました。
講師の岡本さん、お世話いただいた中央図書館の皆さん、参加してくださった方々にお礼申し上げます。ありがとうございました。
図書館のプロデューサーを講師に迎え、私たち図書館を応援する市民団体が主催し、中央図書館が共催してくださり、多彩な顔ぶれの参加者と「未来の図書館」を考える時間と空間を共有する…まさに図書館をめぐるネットワークを拡げるという私たちが目指す姿がそこにありました。(ちょっと規模は小さいですが…)
まずは、岡本さんの自己紹介から始まりました。ヤフー株式会社でyahoo!知恵袋など多くの企画を設計・運用されてきたことは、ご存知の方も多いと思います。yahoo在籍中からメルマガ「ACADEMIC RESOURCE GUIDE」の編集長をしておられ、その後、アカデミック・リソース・ガイド株式会社を創業されています。私が岡本さんを知ったのはまだヤフーにおられたころです。
さて、過去10年ほどの図書館をめぐる状況の変化についての説明です。戦後、誰もが図書館に入れる制度を作って維持してきたことは大きな功績と認めたうえで、現在、図書館は、その集客機能が注目され、他施設・機能との連動が期待されるようになっているとのことです。
「自分たちは使わないからいらない」という反対運動さえ起こるようになった今、図書館の重要性を理解してもらうにはいろいろな点で「役に立つ」を目に見える形で示すことが必要だということでしょうか。
岡本さんはたくさんの図書館を訪ねてこられました。その数1000施設! 今回も神戸に入られる前に、ずいぶんあちこちの図書館を見学されたようです。私たちはそんなにたくさんの図書館を訪ねることはできませんが、他都市の図書館を見学することの大切さはよくわかります。見学会、大事です!
その1000施設の中から、最近の図書館事例を紹介してくださいました。
駅前再開発の一環でオープンし、年間来場者が少しも減らない図書館、市長の下に部局の壁壁を超える組織を編成・運用している図書館、日本でここだけという地元主要産業資料を収集し全国から泊りがけで研究にくる図書館、これに呼ばれることがステイタスだといわれる友の会とのライブラリーカフェを開催している図書館、住民の活動拠点となっている図書館、図書館がなかった町のIターン・Uターン者の希望に基づいて作られた図書館。
それぞれが、特徴ある個性的な図書館です。
図書館は特定産業のためにあるのではないが、特定産業の支援に見えても、それが税収を増やすことに貢献するのであれば、公共施設としての機能を果たしているというお話が印象的でした。
そしてここからは「2階建ての図書館論」
図書館は1階:根本機能、2階:発展機能という2階建てになっています。
図書館根本機能は「知る権利の保障」にあります。知ることを可能にするには「遺っていること」が大切。「遺す」ことは権利でもあります。
1階部分がしっかりと保障されてこそ、2階部分の可能性が広がります。
図書館の発展機能について具体例を詳しく紹介してくださり、その多様さに驚きました。
市民の大半が図書館を本来機能を理解していれば、2階部分は必要ない。しかし、その理解が不十分なため、「図書館いるよね」と一般市民が考えるために2階部分が必要。2階部分しかない図書館は必要ないという岡本さんのお話です。いつもわたしが考えていることと全く一緒なので(そしてそれを言う人があまりいないなと思っていたので)我が意を得たりの気分でした。
今は図書館の発展機能にばかり注目が集まっていて、それでいいのかなあと思っていました。でも、図書館のつくり手がしっかり基本を押さえていて、ゆるがせにしなければ、図書館の可能性を広げることには大いに賛成です。
神戸市立中央図書館の「賀川サッカー文庫」の取組の紹介もありました。大絶賛でした!
神戸賀川サッカー文庫
最後に、求められる図書館リテラシーについて。
自分の街の図書館を知り、よその街の図書館を知ったうえで、わが町の図書館を充実させていくチカラ。それが図書館リテラシーです。そしてそこで必要になるのは「当事者意識」だと強調されていました。
図書館職員の非正規化と人員削減の問題にも話題が及びました。神戸市は昨年度、今年度と新人司書が配置されましたが、経験豊富な職員の定年退職や指定管理の問題もあり、政策の継続性と専門性については図書館に限らず課題となっています。
岡本さんがおっしゃるように行きすぎた行革は考え直す時期に来ているのではないかと思います。
結局は私たちが市民力を向上させ、当事者として取り組むことしか、図書館の未来はありません。
今日から、未来の図書館をはじめていきましょう!
参加者感想(一部抜粋しています)
・「しっかり1階部分を守ったうえで」との言葉に信頼、共感。市民力、図書館リテラシー、自分と周囲を含めて共有したい。
・1階、2階両論で考えなければと思います。
・これから市民として図書館を考えていこうと思いました。
・いろんな図書館があり、神戸の図書館を考えるときに参考になると思いました。
・図書館の現状や今後についてとても興味深く聞くことができました。
・本を読ませていただいていたので直にお話が聞けて視界が晴れた気分です。
・10年ぶりにビジネスマンに戻った感覚がした。本当に来てよかった。
・他館の事例が多く紹介されてとてもわかりやすく勉強になりました。
・これまで図書館に無関心でしたが(それはそれで問題でしたが…)転職して図書館についても学ぶことになりました。現状の図書館未来の図書館像を学ぶきっかけになり有意義でした。
・図書館司書資格を取得する際「未来の図書館、はじめませんか?」が参考になりました。司書として働けるよう努力したいと思います。
・地元の図書館のことも考えていきたいと思います。
・図書館を図書館の中からではなく、都市、まちの市民や経済活動の中でとらえた視点が面白く興味深く拝聴しました。
・ストレートで歯切れのいい話に脳がすっきりです。勇気と元気をいただきました。