講演会「社会教育施設の民営化について」の報告
今、公共図書館を考えるPart3
「社会教育施設の民営化について・・・公共図書館を中心に・・・」
12日、無事開催しました。
参加者19名。様々な立場の方が集まってくださいました。京都や高松からの参加者も・・・。
皆様どうもありがとうございました。
まずは自治体の文化政策について。
私たちには「文化的生活に参加する権利」があるというところからのお話です。「文化的に生きる権利」とは①自己表現する権利②コミュニケーションの権利③学習する権利のことです。
パフォーマンス・コミュニケーション・スタディ(PCS)のサイクルの活性化が文化的生活に参加する権利を推し進めることになるのです。
表現権には「自由権的表現権」と「社会権的表現権」があり、後者は日本では紹介されてきませんでした。
また、日本では、教育権の中に文化権があるという位置づけがされていますが、中川先生の見解では 文化の中に教育があります。日本は特殊な状況に置かれてきたと言えるのかもしれません。
図書館はこれらを踏まえた自治体文化政策の拠点です。
ハードに偏りがちだったこれまでの文化政策は、ソフト資源と人的資源の充実に転換すべき時が来ています。
図書館に今求められているのは、人づくり、仕組みづくり、施設の活用なのです。
図書館にも要求課題と必要課題があります。要求にのみ答えることはポピュリズムです。
不特定多数の公的利益のみを追求すれば少数者が取り残されます。
特定少数の私的利益に見えても必要なことはあり、それは第三者利益につながっているのだという先生の言葉は説得力がありました。
また、図書館側の願望と市民の要求にはすり合わせが必要で、そのために図書館協議会があるとのお話は、図書館協議会を熱望し、設置実現に努力してきた図書館ネットとしては嬉しいお話でした。
行革論における成果主義・市場原理の導入・分権化・顧客満足志向の4原則すべてにおいて、日本では解釈の間違いか失敗を犯しているのだそうです。図書館をはじめとする社会教育施設もその間違いと失敗に巻き込まれているということでしょうか。
指定管理者制度について、まずは行財政改革のツールではありません。
経済性にばかりとらわれてしまい、施設効用の最大化というのも取り違えているとのことです。効用ではなく「施設使命(公益性)の最大発揮」とするべきなのだと、中川先生はおっしゃいます。
この点について2010年12月の総務省通知で修正され、そのニュースは私たち図書館を応援している全国の仲間たちの間を駆けめぐりました。
先生のお考えでは、施設管理のみであれば民営化することは否定されないが、政策事業主体でもあるのならその公益性と専門性を発揮するためには民営化はそぐわないということです。もちろん、図書館は後者であり、民営化には馴染みません。
また、全国規模の会社であれば、指定管理費が本社のある東京に単純に流出しているともいえます。図書館は地域性の強い施設ですから、全国基準だけで運営できるものではありません。これらも私たちが訴えてきていることと重なります。
指定管理、民営化はその公的施設の持っている性格で、導入してもよいか、導入してはいけないのかを考えなければならないのです。図書館としての政策理念がきちんと確立され、明確な図書館政策があってはじめて、事業計画が作られ、実施されるのです。
最後に、中川先生が作成された、政策評価軸ヒエラルキーを掲げておきます。
*****参加者の感想より(一部抜粋しました)*****
・教育の中に文化があるのではなく、文化の中に教育がある。
文化の全体像から図書館の存在についてわかりやすい講演であった。
不特定多数と特定少数の利益の問題提起は、これまでもやもやしていたものが明確になった気がする。
・外郭団体を審査する委員として、指定管理の仕組み等が不思議で仕方ありませんでした。
今回のお話でソレも解けました。公益性の重要性に改めて気づきました。
・地域づくりを意識した活動をされるうえでは、ベストの講師だったと思います。
私は神戸市民ではないので会への参加はご遠慮させていただいておりますが、今後とも遠くから応援させていただきます。
・民営化の流れはもう止めることはできないと思います。その中でよりよい民営受託者と市民との協働のあり方を探りた かったからです。
最後の10分、ボランティアや司書資格を持つ有識者がNPOを立ち上げ受託するというのは、いいアイデアだと思った。(東京都中野区の中央図書館は まさにこれである)
もっと具体例の紹介を聞きたかったので、残念でした。
・非常におもしろかったです。指定管理のことはちゃんとわかっていなかったので勉強になりました。
・素晴らしく、政策、地域、役所の実態に通じておられ、視野が広がりました。
・市民としての生き方を勉強しました。
・とても興味深く聞きました。
「社会教育施設の民営化について・・・公共図書館を中心に・・・」
12日、無事開催しました。
参加者19名。様々な立場の方が集まってくださいました。京都や高松からの参加者も・・・。
皆様どうもありがとうございました。
まずは自治体の文化政策について。
私たちには「文化的生活に参加する権利」があるというところからのお話です。「文化的に生きる権利」とは①自己表現する権利②コミュニケーションの権利③学習する権利のことです。
パフォーマンス・コミュニケーション・スタディ(PCS)のサイクルの活性化が文化的生活に参加する権利を推し進めることになるのです。
表現権には「自由権的表現権」と「社会権的表現権」があり、後者は日本では紹介されてきませんでした。
また、日本では、教育権の中に文化権があるという位置づけがされていますが、中川先生の見解では 文化の中に教育があります。日本は特殊な状況に置かれてきたと言えるのかもしれません。
図書館はこれらを踏まえた自治体文化政策の拠点です。
ハードに偏りがちだったこれまでの文化政策は、ソフト資源と人的資源の充実に転換すべき時が来ています。
図書館に今求められているのは、人づくり、仕組みづくり、施設の活用なのです。
図書館にも要求課題と必要課題があります。要求にのみ答えることはポピュリズムです。
不特定多数の公的利益のみを追求すれば少数者が取り残されます。
特定少数の私的利益に見えても必要なことはあり、それは第三者利益につながっているのだという先生の言葉は説得力がありました。
また、図書館側の願望と市民の要求にはすり合わせが必要で、そのために図書館協議会があるとのお話は、図書館協議会を熱望し、設置実現に努力してきた図書館ネットとしては嬉しいお話でした。
行革論における成果主義・市場原理の導入・分権化・顧客満足志向の4原則すべてにおいて、日本では解釈の間違いか失敗を犯しているのだそうです。図書館をはじめとする社会教育施設もその間違いと失敗に巻き込まれているということでしょうか。
指定管理者制度について、まずは行財政改革のツールではありません。
経済性にばかりとらわれてしまい、施設効用の最大化というのも取り違えているとのことです。効用ではなく「施設使命(公益性)の最大発揮」とするべきなのだと、中川先生はおっしゃいます。
この点について2010年12月の総務省通知で修正され、そのニュースは私たち図書館を応援している全国の仲間たちの間を駆けめぐりました。
先生のお考えでは、施設管理のみであれば民営化することは否定されないが、政策事業主体でもあるのならその公益性と専門性を発揮するためには民営化はそぐわないということです。もちろん、図書館は後者であり、民営化には馴染みません。
また、全国規模の会社であれば、指定管理費が本社のある東京に単純に流出しているともいえます。図書館は地域性の強い施設ですから、全国基準だけで運営できるものではありません。これらも私たちが訴えてきていることと重なります。
指定管理、民営化はその公的施設の持っている性格で、導入してもよいか、導入してはいけないのかを考えなければならないのです。図書館としての政策理念がきちんと確立され、明確な図書館政策があってはじめて、事業計画が作られ、実施されるのです。
最後に、中川先生が作成された、政策評価軸ヒエラルキーを掲げておきます。
*****参加者の感想より(一部抜粋しました)*****
・教育の中に文化があるのではなく、文化の中に教育がある。
文化の全体像から図書館の存在についてわかりやすい講演であった。
不特定多数と特定少数の利益の問題提起は、これまでもやもやしていたものが明確になった気がする。
・外郭団体を審査する委員として、指定管理の仕組み等が不思議で仕方ありませんでした。
今回のお話でソレも解けました。公益性の重要性に改めて気づきました。
・地域づくりを意識した活動をされるうえでは、ベストの講師だったと思います。
私は神戸市民ではないので会への参加はご遠慮させていただいておりますが、今後とも遠くから応援させていただきます。
・民営化の流れはもう止めることはできないと思います。その中でよりよい民営受託者と市民との協働のあり方を探りた かったからです。
最後の10分、ボランティアや司書資格を持つ有識者がNPOを立ち上げ受託するというのは、いいアイデアだと思った。(東京都中野区の中央図書館は まさにこれである)
もっと具体例の紹介を聞きたかったので、残念でした。
・非常におもしろかったです。指定管理のことはちゃんとわかっていなかったので勉強になりました。
・素晴らしく、政策、地域、役所の実態に通じておられ、視野が広がりました。
・市民としての生き方を勉強しました。
・とても興味深く聞きました。